| ひねもすサウンドトラック | （９） |
| １９９９年２月掲載 |
Soundtracks, A Go Go!
（ディスクデータは、メディア種別／発売年／レコード会社／レコードナンバー／原盤会社／定価／中古購入価格の順に記載）
スターシップ・トゥルーパーズ STARSHIP TROOPERS (1997）
音楽：ベイジル・ポールデュリス監督：ポール・バーホーベン／出演：マイケル・アイアンサイド、ビバリーヒルズ青春劇団のみなさん
CD／1997／VARESE／VSD-5877／VARESE／\2,300
「パワードスーツ」のアイディアを世に送り出したことで、日本のアニメ関係者全員お墓に足を向けて寝られないロバート・Ａ・ハインライン先生原作の「宇宙の戦士」の映画化。ただし、「ただの兵隊が戦場のど真ん中で一人になる」ための方便としてのパワードスーツなしで原作の戦場シーンの雰囲気を再現しようとしたため、戦術などまったくない稚拙な戦争が繰り広げられます。艦砲射撃なしの強襲揚陸、重火器を持たない侵攻作戦、索敵の際に密集している分隊など、「私は戦争映画としてこれを作った」というのはバーホーベン先生言い過ぎでしょう。人間ドラマなんかロクにないんだから、ただＳＦＸの残虐シーンを積み重ねるだけじゃ芸がない。
［音楽とサントラ］ ところが音楽と言えば、ポールドゥリスがたけりまくります。暗いながらもノリのいいテーマ、吠えるブラスに要所で豪快に響くティンパニなどエネルギー全開の仕上がり。音楽の方は「戦争」してます。
スターゲイト STARGATE (1994)
音楽：デビッド・アーノルド監督：ローランド・エメリッヒ／出演：カート・ラッセル、ジェームズ・スペイダー、ジェイ・デビッドスン
CD／ 1992／ BMG VICTOR／ BVCP-797／ MILAN／ \2,500 ／\1,000
変態映画専門役者スペイダーとカルト映画専門役者ラッセルの組み合わせというどんなに大作でも裏街住まいのＳＦ映画。はるか宇宙の彼方の世界へいく事ができる「スターゲイト」に秘められた謎を解くまでの持って行き方はまずまず面白いのですが、「どこでもドア」をくぐった向こう側の世界は民衆が弾圧されている中世の世界。民衆を率いて圧政者に戦いを挑む話は新味がなく、何を描きたかったのかわからない。それでもエメリッヒとしては頭を使っているほうの映画でしょう。
（一応、ウケたのか、後に「スターゲイトＳＧ−１」のタイトルでテレビシリーズにもなりました）
［音楽とサントラ］ 宗教的なコーラスを交えつつもううるさいぐらい鳴らしてます。オーケストラアレンジも大した厚みです。盛大なマーチ調こそ少ないものの同じアーノルドの「インディペンデンス・デイ」よりメロデイアスで、裏街道大作にはもったいないかも。
Stargate： ＣＤ購入
Stargate SG-1（ＴＶ）：ＣＤ購入
The Best of Stargate SG-1（ＴＶ）： ＣＤ購入
スター・トレック STAR TREK：THE MOTION PICTURE (1979)
音楽：ジェリー・ゴールドスミス監督：ロバート・ワイズ
出演：ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、ディフォレスト・ケリー、パーシス・カンバータ、スティーブン・コリンズ、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルス
CD／ 19??／ COLUMBIA／ CK36334／ COLUMBIA／\---- ／\1,500 ［輸入盤中古］
スタートレックの世界観に頼ってはいますが、職人ロバート・ワイズがなんとか頑張って普通のＳＦ映画として撮ろうとしたのが伺えます。トレック世界特有のガチャガチャした雰囲気やユーモアがなく、おごそかな進行。私は割と好きなんですが、山場が少なくちょっともたつく印象はあり。長いし。
［音楽とサントラ］ ジェリー・ゴールドスミスの代表作です。このテーマ曲も名曲となってしまいました。オープニングクレジットから日本の時代劇音楽を思わせる「クリンゴンのテーマ」に曲が移るところが特に血が騒ぎます。エンタープライズの初登場シーンに流れる壮大な曲もよし。
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スター・トレック２０周年記念コレクターズエディション
STAR TREK：THE MOTION PICTURE - 20th ANNIVERSARY COLLECTORS' EDITION
音楽：ジェリー・ゴールドスミス監督：ロバート・ワイズ
出演：ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、ディフォレスト・ケリー、パーシス・カンバータ、スティーブン・コリンズ、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルス
CD／ 1999／ COLUMBIA／ C2K66134-CK65485,CK65484／ COLUMBIA／ \3,350［輸入盤］
［音楽とサントラ］ 文字通り、映画版「スタートレック」第一作公開から２０周年を記念して発売された豪華版サントラ。オリジナルのサントラに未リリースの８曲（もちろん映画使用テイク）を追加して収録時間はほぼ倍増。さらに1976年にリリースされた "INSIDE STAR TREK" という主要キャスト、スタッフのインタビューのレコード（そういやこんなのあったあった！）のＣＤ化をオマケにつけての二枚組です。追加曲を中心に改めて聴いてみますと、サントラ化の際にはカットされがちな、タイトルメロディの変奏、サスペンス曲、心理描写曲が随所にはさまる構成になりますので、オリジナルＣＤに比べ、よりバリエーションを感じます。しかも、全体としてひとつの芯を持ったスタートレックの音楽世界が見事に浮き出て来るしかけともなっております。特にシンセによる暴力的な響きが随所に出てきて、隠れたモチーフであった事に今さらながら気づきました。
２枚目の、本当はどうでもいいインタビューＣＤも「未収録インタビュー」が追加収録されています（笑）。しかし、１曲目に収録されているアレクサンダー・カレッジ版「宇宙大作戦」テーマ曲（（ＴＶ版のことですよ）が、どうも実際の放送に使われたとは思えないスピーディ＆ポップなアレンジで、これがちょっと得した気分になります。
スター・トレック２ カーンの逆襲 STAR TREK II：THE WRATH OF KAHN (1982)
音楽：ジェームズ・ホーナー監督：ニコラス・メイヤー
出演：ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、ディフォレスト・ケリー、リカルド・モンタルバン、カースティ・アレイ、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ
CD／ 1991／ KING／ KICP149／ GNP／ \2,800
ハーブ・ベネットが映画化権を買い取って、今度はベタなトレック映画。ＴＶ版のＬＤボックスをいっぱい買ってる便利なトレッキーの友人がいる私としては、こっちの世界の方がなじみます。最後にスポックが死んでしまいますが、これがトレック世界では天地がひっくり返るぐらい物凄いことだというのはファンしかわからんでしょう。
［音楽とサントラ］ アップテンポのマーチ調の曲がないので景気はイマイチですが、とにかく派手に鳴らしているのはご立派。ホーナーのメジャー出世作で、公開当時は「宇宙の７人」の人としか知らなかったんで、出世したものだと思いました。よく言えば個性が強い、悪く言えば「自作の焼き直し」の多いホーナー氏ですが、先のトレッキーの友人に「宇宙の７人」のテーマ曲を聴かせたら「これはトレックのパチもんじゃあ！」と吠えてました（関西出身）。
スター・トレック３：ミスター・スポックを捜せ STAR TREK III：THE SEARCH FOR SPOCK (1984)
音楽：ジェームズ・ホーナー監督：ニコラス・メイヤー
出演：ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、ディフォレスト・ケリー、クリストファー・ロイド、マーク・レナード、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ
CD／ 1996／ KING／ KKCP-79／ GNP／ \2,500 ／\300
死んだスポックをブッチャーのスプーン攻撃なみの反則技で生き返らせてしまうトレッキー以外は絶対納得しない一作。比較的大人しい映画となってしまいましたが、個人的にはカークが宇宙船を強奪する為に旧メンバーをかき集めるシークエンスが好きです。そうそう、男は義理と人情をはかりにかけりゃ義理が重たい男の世界。こうでなければいけません。特にＴＶ吹き替えの富山敬と似ても似つかぬシブ声のジョージ・タケイがいい。
［音楽とサントラ］ 前作に引き続きホーナー。映画同様、アルバムも鳴らしている割に大人しい印象。アルバムの最後にテーマメロディをシンセで笑えるぐらいあっ軽くアレンジした曲が入ってます。もちろん映画には使われていません。
スター・トレック４：故郷への長い道 STAR TREK IV：THE VOYAGE HOME (1986)
音楽：レナード・ローゼンマン、イエロー・ジャケッツ監督：レナード・ニモイ
出演：ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、ディフォレスト・ケリー、キャサリン・ヒックス、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ
CD／ 1986／ PIONEER／ 32XD-666／ MCA／ \3,200
もの凄いエネルギー放射で地球を破滅に追いやろうとしている謎の巨大宇宙船とコミュニケートできるのは鯨しかいない。エンタープライズ号はまだ鯨がいた頃の２０世紀へ、鯨取りのためタイムトラベル････無茶な話だなあ、これ。でも、クラシックトレック（一作目のＴＶ版スタートレックのこと）の映画作品としてはもっともよくまとまった映画でしょう。コメディタッチでテンポよく、ツボを抑えた娯楽映画です。
［音楽とサントラ］ ローゼンマンの大時代ながら明かるいテーマ曲は映画にぴったり。劇中の曲も、チェコフ（エンタープライズ号クルーのロシア人）に合わせたロシア民謡風やら、派手な追跡音楽やら、若干テレビ的ではありますがシリーズ中もっとも楽しめるアルバムです。アメリカのフュージョンバンド、イエロー・ジャケッツが二曲を提供。はっきり言って彼らのオリジナルより出来がいいぞ。
スター・トレック５：新たなる未知へ STAR TREK V：THE FINAL FRONTIER (1989)
音楽：ジェリー・ゴールドスミス監督：ウィリアム・シャトナー
出演：ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、ディフォレスト・ケリー、パーシス・カンバータ、スティーブン・コリンズ、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルス、デビッド・ワーナー
CD／ 1989／ EPIC SONY／ 25･8P-5300／ EPIC／ \2,348
「神」オチの映画をそのまんま「神」で落としてしまうところが工夫を感じられない映画。
［音楽とサントラ］ ジェリー君が復帰ですが、手慣れた仕事という感じでちょっと精彩に欠けます。あと、録音が昔の「左右独立モノラル方式ステレオ」みたいで少々違和感。お懐かしやＨＩＲＯＳＨＩＭＡが挿入曲を提供。１０ン年ぶりに聴いたけど、変わってねえなあ、こいつら。
スター・トレック６：未知の世界 STAR TREK VI：THE UNDISCOVERED COUNTRY (1991)
音楽：クリフ・エイデルマン監督：ニコラス・メイヤー
出演：ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、ディフォレスト・ケリー、クリストファー・プラマー、キム・キャトラル
CD／ 1991／ MCA VICTOR／ MVCM-145／ MCA／ \2,500
外交官暗殺の犯人にされたカークが逃げ回り、最後は法廷シーンで中年男の友情と口八丁の話術で決着がつくというミステリーもどきで、これはＳＦではありません。だけどピンチに陥ると「必殺ＳＦ技」を繰り出して脱出するというずるさが････好きです。クラシックトレックのある種テレビ的御都合主義の精神をもっともよく出してて、それはどんな映画でも共通してあることで、これはこれで娯楽映画だと思います。
［音楽とサントラ］ 音楽は「コロンブス」「忘れられない人」の新鋭エイデルマン。パーカッションをいろいろ鳴らして工夫してますが、映画の劇伴部分は地味な印象。しかし、オープニングとエンディングでは力のこもったファンファーレを聴かせます。
スター・トレック：ジェネレーションズ STAR TREK：GENERATIONS (1995)
音楽：デニス・マッカーシー監督：リック・バーマン
出演：パトリック・スチュワート、ウィリアム・シャトナー、マルコム・マクダウェル、ウーピー・ゴールドバーグ、ジョナサン・フレイクス
CD／1995／KING／KICP486／GNP／\2,500
ニュートレック（ＴＶ「スタートレック：ネクスト・ジェネレーション」）に一新しての一作目。ハゲ艦長と旧トレックのカークが時空を超えて出会う、トレッキー以外お断りの映画。カークの幻想シーンとか前作以上にテレビ的な演出ではありますが、トレッキー予備軍の私はそこそこ楽しめました。
［音楽とサントラ］ 音楽のデニス・マッカーシーという人はテレビの「ネクスト・ジェネレーション」や「スタートレック：ディープ・スペース・ナイン」を担当しているのですが、ライナーによるとグレン・キャンベルのアレンジャーやアレックス・ノースのオーケストレーターをしていたというから超ベテラン。だからという訳ではないけれど手堅い仕上がりです。テーマ曲では派手なマーチも聞かせてくれるし。ＣＤのラストにえんえん１５分以上に渡って効果音集を収録。「ぴよ〜ん」「しゅごっ！」面白いか、これ？
スター・トレック：ファーストコンタクト STAR TREK：FIRST CONTACT (1997)
音楽：ジェリー・ゴールドスミス監督：ジョナサン・フレイクス
出演：パトリック・スチュワート、ジョナサン・フレイクス、ブレント・スパイナー、リバー・バートン、マイケル・ドーン、ゲイツ・マクファデン、マリーナ・サーティス
観たことは観たんですが、あんまり憶えてません。とにかくハゲが機械人間にされるんだったな。
［音楽とサントラ］ おなじみのＴＶ「旧スタートレック」のテーマ曲のフレーズのあと、まるでエンドタイトルかのような格調高いメインタイトルがこのシリーズとしては珍しい。ＴＶ版ニュートレックのテーマやクリンゴンのテーマが顔を出す、「ゴールドスミス版スタートレック」・ショーケース。派手なマーチ調が少なく、ボレロまで使って非常に荘重な印象があります。ステッペンウルフとロイ・オービソンのボーカル曲も収録。エンハンスドＣＤ仕様で、ゴールドスミスと監督、プロデューサーのインタビュー等を収録。