| ひねもすサウンドトラック | （１３） |
| １９９９年２月掲載 |
Soundtracks, A Go Go!
（ディスクデータは、メディア種別／発売年／レコード会社／レコードナンバー／原盤会社／定価／中古購入価格の順に記載）
アンタッチャブル THE UNTOUCHABLES （1987）
音楽：エンニオ・モリコーネ監督：ブライアン・デパルマ
出演：ケビン・コスナー、ショーン・コネリー、ロバート・デ・ニーロ、チャールズ・マーティン・スミス、アンディ・ガルシア
CD／1987／CANYON／D32Y3174／A&M／\3,200
ＦＢＩ草創期の活躍を描く大ヒット作。 コスナーの「強くて良い人のアメリカ人」路線の原点と言える作品ですが、ジェームズ・スチュアートに比べるとちょいと愛敬がないわな。 ＦＢＩ対アル・カポネの激闘以上に見物なのがベテラン役者の演技マッチレース。 役に合わせて肉体を改造する「ハリウッドのカメレオン」デ・ニーロと、既にもうその渋味極まれり「アイルランドのウーロン茶」コネリーが火花を散らします。 デ・ニーロが部下の頭をエンタイトルツーベースするバットのシーンなど、デ・パルマ節も絶好調。
［音楽とサントラ］ トランペットが高らかに鳴り響くアルバム冒頭の（なぜか）「エンドタイトル」１曲でもうおなか一杯。 この荘厳で高らかなファンファーレを聞けば、会社で上司に怒られた時も学校で試験に落ちた時も女に手ひどくふられた時もドブに足を突っ込んだ時も、とにかく人生前向きに生きてみたくなる応援歌。 他の曲も、ストリングスがビートを刻むモリコーネ定番アクション曲、オルゴール調の楽器で血まみれ銃撃戦を彩るリリカルな調べ、リズムセクションのハーモニーを微妙に外したサスペンス、さながらモリコーネ・ショーケースの一枚。
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エアフォース・ワン AIRFORCE ONE (1998)
音楽：ジェリー・ゴールドスミス監督：ヴォルフガング・ペーターゼン
出演：ハリソン・フォード、ゲイリー・オールドマン、グレン・クロース
CD／1998／VOLCANO／CPC8-1002／VARESE／\2,520
無理がとおれば道理が引っ込む快作。 誰がどう見てもあやしいゲイリー・オールドマンがエアフォース・ワンに乗り込むあたりで道理は上野駅から常磐線に乗りこみ、飛行機の中で大統領が孤軍奮闘を始めると道理は筑波山に登り始めます。 そんな有事に「大統領おろし」を画策する国防長官が出てくるにいたって、筑波山中に隠遁した道理は呼べど叫べど帰って来ません。 そういう事を気にしなければ二時間半ノンストップで面白い作品です。 ちなみに「エアフォース・ワン」というのは特定の飛行機ではなく、とにかく大統領が乗っている飛行機を指す合衆国空軍のコードネームだそうで（たとえ民間機でも一時的に接収されるらしい）、ラストシーンはこれを知ってるとより楽しめます。 ということは、自動車は「アーミイ・ワン」で、船は「ネイビイ・ワン」？ホントにそうらしいですよ。
［音楽とサントラ］ ランディ・ニューマンの降板の後を受けて、ジェリー・ゴールドスミスが数週間で作曲したとか（一部ジョエル・マクニーリーが担当。 本ＣＤには未収録）。 そうとは思えぬ傑作スコアで、単純で力強いテーマのリフレインが徐々に熱く盛り上がっていく様はまさにゴールドスミス。 最近のテレビでは飛行機が飛ぶシーンや軍隊シーンでよく使われてます。 ところで公開時の発売にもかかわらず、ＣＤのどこにもスタッフ、キャストの記載がないのはどうしたことか。 賀来卓人氏の毎度のことながら力のこもったライナー・ノートはありがたいとは言え、サントラは映画を観る（た）人のためのものでしょう。 映画関係なしのコアなゴールドスミスファン（実は私もその一人ですが）のことよりも、まず映画ファンのことを考えて欲しい。 名門サントラレーベルVARESEの日本盤発売権をＳＬＣから引き継いだカルチャー・パブリッシャーズ・クラブですが、そんなとこまでＳＬＣのマネをすることはないでしょ。
［当サイトの関連音盤］
エアフォース・ワン（本盤）
エアフォース・ワン (ＮＧスコア) ［海賊盤］
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エイセス／大空の誓い アイアン・イーグルV ACES: IRON EAGLE V （1991）
音楽：ハリー・マンフレディーニ監督：ジョン・グレン
出演：ルイス・ゴセットＪｒ．、レイチェル・マクリッシュ、ポール・フリーマン、ホルスト・ブッフホルツ、クリストファー・ケイジノブ、ソニー千葉（千葉真一）
CD／1991／INTARADA／MAF7022D／INTARADA／\2,000［輸入盤］
「アイアン・イーグル」シリーズ３作目。 といってもルイス・ゴセットＪｒ．のキャラクターを使っているだけでお話は関係なし。 第二次大戦の老兵で今は引退した各国（日独英米）のパイロットたちが、友の復讐に老骨に鞭打って博物館級の古い戦闘機で麻薬組織を襲撃するという、設定をきいただけで血が燃える大Ｂ級映画。 こういう義理人情ノリの映画ってすぐハマッてしまうのですが、予想通りストーリーはボロボロ、演出はそこそこ、作ったようにランボーみたいな強い女とか出てきて今一つの出来。 でも、我らが千葉ちゃんが日本人パイロット役で主役陣の一人って嬉しいじゃないですか。 定番の泣かせシーンもあって、これはこれでよし！
［音楽とサントラ］ 重厚さや深刻さのカケラもない軽いノリのマーチのテーマ曲がこの映画にぴったり。 アクションシーンのシンセの使い方も実に下品でＢ級ムード満点。 テーマ曲以外はつまんないけどね。 折角こんな軽いテーマ曲作ったんだから、Ｂ級と開き直ってもっとふんだんに使えばいいのに。 フレーズをちょこちょこ使うだけじゃなくて全曲テーマのアレンジでもいいぐらいだ。 まだ覚悟が足らんな（なんの？）。
［当サイトの関連音盤］
アイアン・イーグル［スコア盤］
アイアン・イーグル［コンピ盤］
エイセス／大空の誓い アイアン・イーグルV（本盤）
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狼の挽歌 CITTA' VIOLENTA (1970)
音楽：エンニオ・モリコーネ監督：ブルーノ・ニコライ
出演：チャールズ・ブロンソン、ジル・アイアランド
CD／1991／SLC／SCC-1011／ RCA／\2,500
映画の内容まったく憶えてません。 20年ぐらい前に観た映画なんで勘弁してください。
［音楽とサントラ］ ストリングスできつく刻むリズムセクションはモリコーネのアクション音楽の定番ですが、このテーマ曲は実にもうクール。 ああこんな言葉つかっちまった。 なんにも説明してないぞこれじゃ。 とにかく全編、エレキギターだろうがアクースティックだろうがビートがきつい。 サスペンスをこれ以上ないぐらい盛り上げながら、ついついクチずさんでしまうメロディアスなテーマはモリコーネの芸術です。
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クリフハンガー CLIFFHANGER （1993）
音楽：トレバー・ジョーンズ監督：レニー・ハーリン
出演：シルベスタ・スタローン、マイケル・ルーカー、ジャニン・ターナー、ラルフ・ウェイト、ポール・ウィンフィールド
CD／1993／PONY CANYON／PCCY-00488／SCOTI BROS.／\2,500／\950
航空機で輸送中の財務省の一億ドルを狙った国際的犯罪者リスゴー。 ロッキー山中に落下した金のトランクの捜索のため女性レスキュー隊員とその恋人スタさんはリスゴーに脅されてロッキー山中へ。 とにかくスタさんの登山シーンはＳＦＸなしスタントなしのリアル映像なのが度肝を抜きます。 片手で壁にぶら下がってる命知らずぶりはまさにハリウッドの香港映画。 しかし映画としては、友人の恋人を死なせたショックから山に戻れない元・山男のスタさんが実は最大のミスキャスト。 どんな大怪我をしてもひょいひょい走り回る超人的な体力では、深い心理的背景がある「普通人」としてはどうしても観客の納得を得にくいでしょう。
［音楽とサントラ］ ドッカンバリバリ系の映画に似合わぬ美しいテーマメロディを、シンセをかくし味に使いながらオーソドックスなオーケストラで演奏してます。 このテーマ曲の変奏はいく度も演奏されますが、ストリングスと高らかなトランペットが雄大に歌い上げるメインタイトル＆エンドタイトルは感涙ものの出来。 トレバー・ジョーンズはこの映画をアクション映画としてではなく山と山男の映画としてとらえているのでしょう。
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クリムゾン・タイド CRIMSON TIDE (1995）
音楽：ハンス・ジマー監督：トニー・スコット
出演：ジーン・ハックマン、デンゼル・ワシントン、ジョージ・ザンダ、ヴィゴ・モーテンセン
CD／1995／HOLLYWOOD／HR-62025-2／HOLLYWOOD／\2,300［輸入盤］
［音楽とサントラ］ コーラスをフィーチャーしまるで宗教曲のような格調を保ちながら、アクション映画としての娯楽性を失ってないのがジマーのいいところ。 このＣＤは７７分間ジマー節が堪能できます。 もっとも５曲しか入ってないから、一曲一曲は長いぞ。
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コン・エアー CON AIR （1997）
音楽：マーク・マンシーナ、トレバー・ラビン監督：サイモン・ウェスト
出演：ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック、ジョン・マルコビッチ、スティーブ・ブシェミ
CD／1997／POLYGRAM／PHCP-11045／HOLLYWOOD／\2,548／\1,400
みんなコリン・ウィルソンか佐木隆三の殺人取材本に出てきそうな超重罪犯の輸送機ってのはウソくさく、サイコ殺人鬼をやるために生まれてきたようなブシェミにまんま幼女強姦殺人犯をあてたところがこの映画のセンスの単純さ。 でも正しいエンタテイメントはこれでよし。 そして主人公ケイジと家族の繋がりを一渡り描いたことで別のリアリティは獲得しています。 ジョン・キューザックのシークェンスが面白く、この人はノホホンとしている捜査官が似合います。
［音楽とサントラ］ 「イエス」のギタリスト、トレバー・ラビンの個性の方が強く出ている感じのアルバム。 マンシーナのメロディもちょいちょい顔を出しますが、唸るギターときついリズムは，映画なしで単独で聴くと私にはちょっとしんどい。 かといって典型的なアンダースコアというよりも、とにかく画面で鳴ってるぞ、という感じです。
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ザ・ロック THE ROCK (1996)
音楽：ハンス・ジマー、ニック・グレニー・スミス、ハリー・グレッグソン・ウィリアムズ監督：マイケル・ベイ
出演：ショーン・コネリー、ニコラス・ケイジ、エド・ハリス、マイケル・ビーン、ウィリアム・フォーサイス
CD／1996／HOLLYWOOD／162062-2／HOLLYWOOD／\----／\1,250 ［輸入盤］
反乱した将軍が核ミサイルを奪って元アルカトラス刑務所（通称「ザ・ロック」）に篭城。 ＣＩＡ工作員と「ザ・ロック」内に詳しい元英国情報部員が潜入するという説得力のない話を説得する気は全くなく、そのまま強引に見せ切ってしまう。 やはりショーン・コネリーの存在がなかったらきつい映画になったでしょうが、これはこれで面白い。
［音楽とサントラ］ ハンス・ジマーとそのお弟子さんたちが担当。 いつもの荘厳なジマー節ですが、薄めのアレンジと、メロディが強く出過ぎたために若干軽く聞こえます。 それでも、とにかくよく鳴らしていてトータルとしてはマル。
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ダブルボーダー EXTREME PREJUDICE (1987）
音楽：ジェリー・ゴールドスミス監督：ウォルター・ヒル
出演：ニック・ノルティ、パワーズ・ブース、マイケル・アイアンサイド、リップ・トーン
CD／ 1987／ INTRADA／ MAF7001D／ INTRADA ／\2,000 ［輸入盤］
［音楽とサントラ］ オーケストラにシンセを隠し味で使うときのゴールドスミスのうまさは定評がありますが、シンセを全面にフィーチャーすると「未来警察」のようにスベッてしまったりすることもあります。 では半々だとどうなるかというとこの「ダブルボーダー」のような快作が出来ます。 低音のシンセが隙間なくリズムを演ずる中を、ブラスとドラムスが積み重なっていくサスペンスフルなアクションスコア。 そんな曲が大半を占める中で、ラストに収録された哀愁のテーマも泣かせます。 （2005/06追記：上掲のＣＤは廃盤ですが、その後ボーナス・トラック追加盤がリリースされました）
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上記のＣＤにリンク
トイ・ソルジャー TOY SOLDIERS (1991)
音楽：ロバート・フォーク監督：ダニエル・ペトリＪｒ．
出演：ショーン・アスティン、ウィル・ウイートン、キース・クーガン、ジョージ・ペレス、デンホルム・エリオット、ルイス・ゴセットＪｒ．
CD／ 1991／ VICTOR／ VICP-156／ INTRADA／\3,000
全寮制高校をジャックしたテロリストに、それぞれの得意分野で知恵を絞って戦いを挑む４人の高校生を描く少年版ダイ・ハード。 原作の「少年の自立と栄光」みたいな結構重いテーマを映画ではさらりと流しているところが観た当時不満だったのですが、今思うとそれが正解で、スリリングな活劇映画としてよく出来ています。
［音楽とサントラ］ 主人公の高校生たちのテーマは非常に品のよく美しいオーケストラで、かろやかなストリングが印象的。 「ポリス・アカデミー」を担当したロバート・フォークは明るいメロディも得意です。 アクションスコアもよく鳴らして迫力を見せます。
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