| ひねもすサウンドトラック | （１） |
| ２００６年１２月掲載 |
Soundtracks, A Go Go!
（このページの掲載作品： カサブランカ ／ ナバロンの要塞［再演奏］ ／ ナバロンの嵐 ／ バットマン ／ バットマン マスク・オブ・ザ・ファンタズム ）
（ディスクデータは、メディア種別／発売年／レコード会社／レコードナンバー／原盤会社／定価／中古購入価格の順に記載）
カサブランカ CASABLANCA (1942)
音楽：マックス・スタイナー監督：マイケル・カーティス／製作：ハル・Ｂ・ウォリス
出演：ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ、コンラート・ファイト、ピーター・ローレ、シドニー・グリーンストリート、ドゥーリイ・ウィルソン、Ｓ・Ｚ・ザコール
CD／1997／TOSHIBA EMI／TOCP-65124／EMI,RHINO／\----／\1,000［中古］
「君の瞳に乾杯」など様々なキザなセリフで（日本語訳者の勝利！）、今さら私が何を付け加えようもない有名なメロドラマ。 自分の生まれるはるか前の映画ってえのはどうなのよ？ と２０年前にこれを見たときは正直期待薄だったわけですが、モノクロだろうが古かろうがきっちり面白いのは流石に古典でございますねえ。
仏領モロッコという、「なんちゃって中立地帯」からのレジスタンスの大物のアメリカ脱出をめぐるサスペンスという、普通の映画なら縦軸になる副筋がちゃんとあり、通常は横軸の三角恋愛模様と縦横逆転はしているものの、先の副筋が物語の推進力となっているのでダルダルのメロドラマにはなっていません（いや、ベタベタではあるけどさ）。 ちょっとしたセリフも粋だし（よくこれだけ考えるもんだ）。 ドンデン返しもついてるし。 これに、腹黒でひょうきんで喰えないタヌキ警察署長（クロード・レインズ）など魅力ある脇役がそろえば、もう完璧。 いいキャラだなあルノー署長。 わたしゃこの人がいっとう好きだ。
［音楽とサントラ］ 収録曲２０曲中１４曲は映画と同じ内容で、つまりセリフがかぶっている曲も多いということです。 ただし音源はマスターテープらしく、フィルムに比較すれば音質はマシですが、はてＤＶＤが５００円で買えるご時世、この部分の価値はどうかなあ。 もっとも、ヘッドフォンで通勤中に聞いてたらラジオドラマみたいで面白かったですが（英語はわかんないけどね）。
残り６曲が、ＭＥ、セリフなしの、ボーナストラック扱いの純粋な音楽。 バーグマンが深夜、ハンフリー・ボガートのところにしのんでくるくだりと、エンディングの スコアが２曲。 また、黒人ピアニスト、サムを演じるドゥーリー・ウィルソンのジャズ・ボーカルが４曲。 "Shine / It Had To Be You" は本編とは別バージョン、"Dat's What Noah Done" は本編未使用と、この辺は本当にボーナストラック。 本編使用曲では、居酒屋中の客の合いの手の掛け声が印象的だった陽気な "Knock On Wood" がありますが、その合いの手は撮影現場で録音されたらしく、ウィルソンの声だけだと結構マヌケです。
ウィルソン最後の１曲、本編使用バージョンのフルコーラス収録 「時の過ぎゆくままに」 "As Time Goes By" が、このアルバムでもっとも価値がある曲だといえましょう。 あまたの録音があるこの曲ですが、やはりこのシブ甘い声は格別です。 しかし、こうしてみると、マックス・スタイナーについては書くことがないなあ。 いや、"As Time Goes By" とジャズとラ・マルセイエーズのアレンジをひたすら書き倒してますが、それぞれのシーンでうまく料理してあって、やはり練達の人であります。 (2006/12/30)
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ナバロンの要塞 THE GUNS OF NAVARONE (1961) ［再演奏盤］
音楽：ディミトリ・ティオムキン演奏：ニック・レイン指揮シティ・オブ・プラグ・フィルハーモニック・オーケストラ
監督：Ｊ・リー・トンプソン／原作：アリステア・マクリーン
出演：グレゴリー・ペック、アンソニー・クイン、デビッド・ニーブン、リチャード・ハリス、ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス、ジェームズ・ダーレン、アンソニー・クェイル
CD／2005／SILVA／TADLOW001／TADLOW／$19.95［輸入プロモ盤］
（映画コメントは こちら を参照）
［音楽とサントラ］ こんなにも有名な名作なのに、エキゾチックな音楽も素晴らしいのに、なぜかサントラ盤は事実上廃盤状態。 そんなことは金輪際許さん！と思ったかどうか知りませんが、酔狂な人がこの名作音楽をオリジナル・スコアで再演奏してＣＤ化してしまいました。 しかも正規盤の内容に加えて本編中に使われた曲も再現して追加し、ほぼサントラといえる状態です。
この演奏がまた素晴らしい。 SILVA レーベルの再演奏盤でお馴染みのプラハ市フィルは、まずまず安定した演奏ながらリズミカルなフレーズになると途端に鈍重になるのが泣き処。 しかし、もともとアップテンポのロック調のリズムではなく、はずむような表現が魅力のこの楽曲に相性がいいのか、豪快なドラムとともに上手に再現しています。 さらに、それぞれの楽器の音がしっかりと前面に出ているのも良く、奥行きとか透明感を出すためなのか、音量のメリハリを付けすぎてメロディの背後の音を遠くに追いやってしまう再演奏モノもよくある中、この楽曲の良さは、音がきっかり前面に並んでいる迫力も重要なファクターであることを理解しているのでしょう。 原曲を比較的忠実に再現しつつ、「再現すること」に負けていない好盤。 ボーナストラックにフレッド・ジンネマン監督のヒューマン・ドラマ「サンダウナーズ」組曲も４曲収録。 おなじみ SILVA からのリリースで、うーんいい仕事をします SILVA。 (2006/12/27)
［当サイトの関連音盤］
ナバロンの要塞
ナバロンの要塞［再演奏盤］（本盤）
ナバロンの嵐
ミス・マープル/剣豪ランスロット/ナバロンの嵐
ドレーク４００（「ナバロンの嵐」収録）
ザ・フィルム・ミュージック・オブ・ロン・グッドウィン（「ナバロンの嵐」収録）
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ナバロンの嵐 FORCE 10 FROM NAVARONE (1978)
音楽：ロン・グッドウィン監督：ガイ・ハミルトン／原作：アリステア・マクリーン
出演：ロバート・ショウ、ハリソン・フォード、エドワード・フォックス、フランコ・ネロ、リチャード・キール、バーバラ・バック、カール・ウェザース、アンガス・マッキネス
CD／2006／FILM SCORE MONTHLY／Vol.9 4／FILM SCORE MONTHLY／$19.95 ［輸入プロモ盤］
名作 「ナバロンの要塞」の続編。 映画としての本作については、既に こちら と こちら で紹介しているので、もうくだくだ書きませんが、キャストが弱くなったといえどロバート・ショウ、エドワード・フォックス、フランコ・ネロという名優陣に、当時新進売出し中のハリソン・フォードまで揃えてこれはこれで頑張ったんじゃないかと。 ショウ、フォックスは流石にウマイしね。 しかも監督が映画に「想いを込めない」点では定評のある娯楽派職人ガイ・ハミルトンですから、これはいささかコミカルなお気楽アクションとなるのも致し方ないし、その点では十分に面白い映画です。 つうか面白いんだよ。 面白いんだって。
ところでこの映画（というか原作小説）、「ナバロンの要塞」の続編ということになってるんですが、よく考えたら舞台は前作と関係ないんですよね。 主人公が「ナバロンの方から来ました」ってだけで。 ・・・消火器詐欺？
［音楽とサントラ］ 長かった。 前述の、再演奏盤 「ミス・マープル」 や、同じく再演奏ベスト盤 "DRAKE 400" と何度もこの楽曲を入手してきたのですが、プロモ盤とはいえようやくオリジナル・サントラ盤が発売されました。 映画を見た当時、映画の音声テープから音録りしたものをＦＭラジオで録音してから約３０年、やっと入手できました。
さて、このはずんではずんでオドロンパなテーマメロディは、前作「ナバロンの要塞」の根暗でエキゾなティオムキンのテーマを下敷きにしてるのでしょうが、それが基本的に根アカなロン・グッドウィンと結びつくと、トイレに１００Ｗの電球をつけたぐらい明るいマーチになってしまうのです。 テレビ版「スーパーマン」をベースにしたジョン・ウィリアムス版「スーパーマン」といい、ゴールドスミス版「スーパーガール」といい、「本歌取り」ってのは上手な人がやると傑作を生み出すのですね。 グッドウィン本来のカラーはテーマ曲の中間部で聴かれますが、それは作品中では、重量感がありながら根アカなスコアとして展開されていて、トータルで聞くとこれぞサントラらしいサントラ、といいたい快作であります。 おなじみ FILM SCORE MONTHLY からのリリースで、うーんいい仕事をします FSM。 (2006/12/27)
［当サイトの関連音盤］
ナバロンの要塞
ナバロンの要塞［再演奏盤］
ナバロンの嵐（本盤）
ミス・マープル/剣豪ランスロット/ナバロンの嵐
ドレーク４００（「ナバロンの嵐」収録）
ザ・フィルム・ミュージック・オブ・ロン・グッドウィン（「ナバロンの嵐」収録）
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バットマン BATMAN (1989)
音楽：ダニー・エルフマン
／編曲：シャーリー・ウォーカー（追悼）監督：ティム・バートン
出演：マイケル・キートン、ジャック・ニコルソン、キム・ベイシンガー、ジャック・パランス、ビリー・ディー・ウィリアムズ、パット・ヒングル、ロバート・ウール、マイケル・ガフ、ジェリー・ホール
CD／1989／WARNER／9 25977-2／WARNER／\----／\500 ［輸入盤中古］
ビックリするほどイキイキしているジャック・ニコルソンは別にして、ルサンチマンの塊ティム・バートンが（テレビでは）キッチュなヒーロー、バットマンを、ヒーロー顔じゃないマイケル・キートン、ヒロイン顔じゃないキム・ベイシンガーを使って別な方向にキッチュに映画化。 ま、なんであれ、しょせん「タイツをはいた自警団」。 いいオッサンがタイツだぜタイツ。 大ヒットしましたが、おかげでこの後につづくアメコミの映画化ってダーク・ヒーローばかりになったような。
［音楽とサントラ］ 言わずと知れた、ダニー・エルフマン＝作曲、シャーリー・ウォーカー＝オーケストレーションのコンビによるスコア・サントラの名盤。 ヒーローものですがダークな内容なので、音楽もヒーローらしい「調和」を演出せず、テーマメロディがちょっと聴こえても、すぐに聴く者の予想をはずす不安定感のあるメロディ展開。 それでも、そのテーマメロディはわずか数秒で「バットマン」を感じる個性をアルバムの随所で主張し、ウォーカーによるズッコンドカドカオーラア〜（＜コーラス）の編曲がそれを見事に飾ってます。 再聴して、よく出来たサントラだと感心しました（個人的にすごく好きかというとそうではないんですが）。 (2006/12/08)
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バットマン マスク・オブ・ザ・ファンタズム BATMAN：MASK OF THE PHANTASM (1993)
音楽：シャーリー・ウォーカー（追悼）監督：エリック・ラドムスキー、ブルース・Ｗ・ティム
［アニメ作品］声の出演：ケヴィン・コンロイ、マーク・ハミル、ダナ・デラニー
CD／1993／WARNER／WPCP-5736／WARNER／\----／\380 ［中古］
ティム・バートン版「バットマン」のバリエーションとして制作されたテレビアニメの劇場用作品。 だから世界観はあの作品を引き継ぎ、ダークな雰囲気のようです。 私はあまり興味がないので未見。
［音楽とサントラ］ 音楽はシャーリー・ウォーカー。 この人にも本編にもさほど興味はないのですが、なぜか手放していないサントラです。 ダニー・エルフマンの初期映画音楽作品のオーケストレーションで有名ですが、「バットマン」や「ダークマン」などインパクトあるシンフォニーを本作でも聞かせます。 本家「バットマン」を意識した、コーラスやドラムが炸裂する豪快なオーケストレーションですが、メロディの魅力は今ひとつ。（掲載したジャケ写真は輸入盤。日本盤も同じイラストです） (2006/12/08)
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