| ひねもすサウンドトラック | （１） |
| ２０００年８月掲載 |
Soundtracks, A Go Go!
（ディスクデータは、メディア種別／発売年／レコード会社／レコードナンバー／原盤会社／定価／中古購入価格の順に記載）
ホワイトアウト WHITEOUT (2000)
音楽：住友紀人監督：若松節朗／原作・脚本：真保裕一（共同脚本）
出演：織田裕二、 松嶋菜々子、石黒賢、吹越満、中村嘉葎雄、平田満、佐藤浩市
CD／2000／VICTOR ENTERTAINMENT／VICL-60599／VICTOR ENTERTAINMENT／\2,520
厳冬の山奥、陸の孤島と化した日本イチ巨大な奥遠和ダムがテロリストに占拠された。 警察からダムの運転員に転職していた青島刑事はたまたま人質になるのを逃れ、単身、テロリスト達に闘いを挑む。 事件は会議室で起きてるんじゃない！山奥で起きてるんだ！はあそうでっか、という真保裕一のベストセラー「和製ダイハード」冒険小説の映画化。
確かにオモシロい原作でしたが、実は長すぎて描写が冗漫な部分もあるので、そこを大胆に整理できたらもっとよかったのですが。 主役の織田裕二もゼンゼン悩まないで最初っから超人的活躍するのもちょっとねえ…。 せっかく 「踊る大捜査線」 で「日本イチ泣き言が似合う俳優」の称号を獲得した織田を起用したんだから、もっとブツクサ言わせりゃいいのに。 邦画娯楽作品にありがちな、「ちょっとしたユーモアに乏しい」ところが難アリです。
などとクサしてますが、サスガに原作の重さに負けてストーリーもキャラクターも説明不足の感は否めないにしても、それでもよくやったとたたえたい娯楽大作。 大健闘したと言ってよく、きっちりエンタテイメントしてます。 ボロはあちこちにあるにしろツッコむのはやめて、素直にオモシロがっていいと思います。 泣かせますぜ、ラスト。 ただし、一晩中雪の中にいたのに、松嶋菜々子がパンパンに膨れて健康そうなのはナゼなんだ。 血色よすぎ。
ところで映画館の冷房があんまり効いてなかったのが途中で涼しくなったのですが、まさかワザとじゃないだろうなワーナーマイカル板橋。 全国的にそういう演出だとしたらスゴイけど。 これぞ体感映画（笑）。 昔、ハヤりましたねえ。
［音楽とサントラ］ シンセサイザーを中心に生音をからめての構成。 イマドキの曲らしくシンセが同じフレーズを繰り返すかと思いきや、客が飽きる頃に変化をつけたりして、「曲」として成立させるのに腐心しているのが伺えます。 シンセではリズムと不安な音の演出、メロディをストリングスやブラスの生音というフォーマットがおおむね守られるところからも、感じられるのは音楽に対する正しい姿勢というか生真面目さ。 ユーモアに乏しいマジメなアクション映画にピッタリですな。 もっとも、盛り上げるところはきっちり盛り上げてまして、特に10分もの大作のエンドタイトルは、サスペンスフルなシンセのリズムの上でホルンが吠える正しいアクション映画音楽の王道の一曲。 ちょっとジマー入ってますけどね。 制作過程で音楽担当のクレジットがなかったクセによくやった。 くだらない主題歌を採用しなかったところもポイント高し。 ただ、ＣＤのジャケットのわけわからない絵とオビなしは売り方がいかにもマズい。 レコード屋で見つからなかったぞ（笑）。 (2000/08/30)
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ブレイクアウト BREAKOUT (1975)
音楽：ジェリー・ゴールドスミス監督：トム・グリース
出演：チャールズ・ブロンソンならこう言うね、ロバート・デュバル、ジル・アイアランド、ジョン・ヒューストン、ランディ・クェイド
CD／1999／PROMETHEUS／PCR502／PROMETHEUS／\3,990［輸入限定盤］
１９７１年メキシコ。 マフィア（らしい）の祖父の陰謀で無実の罪で投獄されたデュバルを救う為、デュバルの妻ジルの依頼で奮闘する不良パイロット、ブロンソンの活躍を描く。 無実の罪とかマフィアと言っても別に深い背景がある訳ではなく雰囲気作りに過ぎませんし、人物像の書き込みをガリガリやってる訳ではないので割と淡々と話は進んでいきますが、最後のヘリコプターによる脱獄・逃走シーンはやはり盛り上げます。 この当時のノンストップ・アクション映画といったところでしょう。 ちなみに実話がベースとなっているそうです。
［音楽とサントラ］ メキシカンな雰囲気を漂わせるリズムの上でマリンバとギターが哀愁を漂わせますが、キリっとした締まりを持って泣かせのテーマにならないところが素晴らしい。 比較的編成の少ない曲で始まり、ＣＤの後半、ストリングスを重ねて盛り上げていくのもまた快感です。 このＣＤはプロメテウスというベルギーの物好きがやってる（感謝！）サントラ専門レーベルからの限定盤です。 2500枚限定品。 (2000/08/30)
晴れ着、ここ一番［テレビ］ (2000)
音楽：本多俊之制作・放映：ＮＨＫ
出演：瀬戸朝香、及川光博、高橋英樹、涼風真世
CD／2000／WARNER MUSIC JAPAN／WPCV-10068／WARNER MUSIC JAPAN／\2,100
「三人の出会いは、原宿裏の古い１軒の借家。 それぞれの夢と人生を賭けた、おしゃれな時間が今、動き出す−−ひょんなことから裏原宿の古い借家をシェアーすることになった男女３人が、ファッションにかけてどん底からはい上がるサクセス・ストーリー」（ライナーから）というテレビドラマだそうです。 もちろん見たことないんですが、「おしゃれな時間」「ひょんな」「どん底からはい上がる」という表現が、ちっとも「おしゃれ」じゃないぞ。
［音楽とサントラ］ 最近オリジナル・アルバムのない本多俊之ですが、このアルバムを聴くともしやこの人はオリジナルを発表する気がないのかも、という気がしてきます。 「サントラ」ということをまるで感じさせない伸びやかなメロウ・フュージョンは、「サウンドトラック」というレッテルの中で好き勝手にやってる風でもあります。 サックスの甘いソロからオーケストラに移りそして軽いラテンとなる最初の曲など、まるでオリジナルアルバムの曲のよう。 この辺の曲がコンポーザー本多なら、オケとの共演での「星に願いを」「オーバー・ザ・レインボウ」「ファット・ア・ワンダフル・ワールド」などは、プレイヤー／アレンジャーとしての本多の魅力たっぷり。 これはテレビ番組サントラという枠を借りた、一種のコンセプトアルバムなのかも知れません。 (2000/08/28)
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ミッション・インポッシブル２ MISSION:IMPOSSIBLE2 (2000)
音楽：ハンス・ジマー監督：ジョン・ウー
出演：トム・クルーズ、ダグレー・スコット、サンディ・ニュートン、リチャード・ボクスバーグ、ジョン・ポールスン、ヴィング・レームズ
[サウンドトラック・スコア盤] CD／2000／HOLLYWOOD／HR-62277-2／HOLLYWOOD／\1,880［輸入盤］
[コンピレーション盤] CD／2000／HOLLYWOOD／HR-62244-2／HOLLYWOOD／\1,355［輸入盤］
「キメラ」という謎の病原菌が奪われた。 ＩＭＦ（IMPOSSIBLE MISSION FORCE）は優秀なエージェント、トム・クルーズに美女盗賊（笑）を付けて奪還に乗り出した…。 前作の出来と監督の名前からテレビ版のようなしゃれた知的冗談はもともと期待してませんで、ドッカン系アクションとしては面白く拝見させていただきました。 感染したヤツがフラフラ歩いても誰にも伝染しないウィルスが問題になるのだろうか、という野暮は言いっこなし。 このまま「現代版００７」として、「シルバーフィンガー」とか「黄金の二挺拳銃を持つ男（ただしスローモーション）」とか作り続けてもらいたいものです。 テンポのよれる恋愛シーンはサラっと流し、観客のケツが痛くなる最後３０分は大アクションでまとめ、定番とは言え力が入ります。 バイク・チェイスのシーンは近年まれに見るヒット。 このスタッフで「ワイルド７」を作ってくれたら嬉しいなあ。 オープニングの素手のロック・クライミングはどうやって撮ったんでしょうか。 やっぱりドリフのようにホントは地べたを這い回っていて、カメラ横倒しで撮ってるんでしょうか。
［音楽とサントラ］ ヒット（製作者の予定）映画の例に洩れず、シリーズ前作と同様にロック・コンピ盤とスコア盤を発売。 後者で聴かれるスコア盤は、アクション曲はエレキギター中心のハードロック調、スペインはセビリアの主役二人の出会いを彩るのはなかなか聴かせるフラメンコ、そして愛のテーマはなんか聴いたことのあるような哀愁のギターと、風格はあまり感じさせませんが可もなく不可もない仕上がりです。 シフリンの「ミッション・インポッシブル・テーマ」は、映画のオープニングで使われた40秒のアレンジを収録。
コンピ盤の方は、リンプ・ビズキット（って読むのか、これ？）のアレンジした、予告編やエンドタイトルに使われたシフリンのテーマ曲が欲しいがためだけに買った１枚。 メインのメロディをリズムのように使ってラップをかぶせた「ゴキゲンな」（爆笑）一曲。 他は激しいロック曲が収録されてますが、私はよくわかりませんのでコメントなし。 (2000/08/06)
［当サイトの関連音盤］
スパイ大作戦
スパイ大作戦／新・スパイ大作戦
ミッション・インポッシブル［スコア盤］［シングル盤］［コンピ盤］
ミッション・インポッシブル２［スコア盤］［コンピ盤］（本盤）
ミッション・インポッシブル３［スコア盤］
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ミッション・トゥ・マーズ MISSION TO MARS (2000)
音楽：エンニオ・モリコーネ監督：ブライアン・デ・パルマ
出演：ゲイリー・シニーズ、ドン・チードル、コニー・ニールセン、ジェリー・オコンネル、キム・デラニー、ティム・ロビンス
CD／2000／AVEX／AVCW13016／HOLLYWOOD／\2,548
アポロ１３では地球に取り残されたゲイリー・シニーズがようやく火星探査計画への参加をゲットしたものの、「心のビョーキ」で宇宙ステーションに居残り。 ところが「意志のある砂嵐」に壊滅に追い込まれた探検隊の救助にようやく火星に赴くことになるが…。 「２００１年宇宙の旅」＋「宇宙からの脱出」といった感じの、宇宙探査にかける男の汗と涙のド根性物語。 いかに「勇気」が大切かを教えてくれる問題作。 ・・・誰か止めるヤツはいなかったのか。 映画製作ってやめる勇気も大切だぞ。 最新ＣＧで無重力状態を描く特撮マンのカビの生えた執念に６０年代ＳＦ映画のエッセンスをふりまいた、天王州アイルで獅子てんや・瀬戸わんやの漫才を見たような時代錯誤の一作。 火星にアメリカ国旗を立てるシーンは思わず苦笑。 せめて国連旗ぐらいにしとけって。
［音楽とサントラ］ 不思議と牧歌的な香りがするのはなぜ？。 最初、佐藤勝かと思ってしまいました（笑）。 音、というか仕掛けがちょっと細い感じがしまして、もう少し厚いアレンジが欲しかった気がします。 と言うのも、メロディが強く出過ぎていて映画では説明過剰に感じるため。 その割に荘厳さに若干欠けているのが不満ですな。 (2000/08/06)
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