Soundtracks, A Go Go!

ブラウザで戻る　 TOP OF PAGE　 MENU　 HOME

　 「若き獅子たち」は、 赤狩りで「ハリウッド・テン」に名を連ねハリウッドを追放された大作監督、ドミトリクが復帰後に撮った作品。　ナチズムに疑いを持つドイツ軍人ブランド、米軍に徴兵された、厭戦的な歌手ディノ、ユダヤ差別に疑問を持つクリフトが、戦場であいまみえる話。
　戦争映画ではあるんだけど、本質的には３人の軍人と、それぞれ銃後にいる女性たちとのメロドラマなんだよな。　ランタイムが３時間近い大作だし、録画も手元になかったので今回は見返すことを断念。　…正直、そんなに面白かった記憶がない。　まあドンパチ期待してたしね。

　「太陽の谷」は、原題を直訳すると「この地球は俺のもの」と一気にＳＦ感が漂うのですが、これは「大地」とか「土地」という意味ですね。　禁酒法時代のカリフォルニアで、大ぶどう農園＆密造ワイナリーをめぐるサスペンスなメロドラマらしいです。　このサントラ買うまで映画すら知りませんでしたので、もちろん私は未見です。　映像商品もないみたいですね。

［音楽とサントラ］　 ヒューゴ・フリードホーファーの二作品をそれぞれ１枚ずつ収録した、2LPs on 2CDs という２枚組。　天才チェロ少年から映画音楽オーケストレーターを経て映画音楽家として一本立ちした名手で、代表作は、この「若き獅子たち」や、復員兵のＰＴＳＤドラマ「我等の生涯の最良の年」でしょう。

　「若き獅子たち」は、上に書いた通りメロドラマですので、（トラックタイトルで察するに）男女の情愛や平和を描写するロマンチックな曲が多い。　一方で戦闘描写は硬質でそっけない楽曲です。　映画の性格を考えたら、それはそうなるでしょうね。　ただ、オープニングでは、いささかダウナーとはいえ戦争映画らしいマーチを聴かせます。　エンディングは、作中曲の多数を占める美しい曲の発展形でシメ。　１０曲４０分収録。

　「太陽の谷」は、バリトン・ボイスの落ち着いた主題歌に始まり、八割がたは木管とストリングスのゆったりした楽曲。　音楽だけ聴いてるとメロドラマというよりヒューマンドラマの建付け。　終盤になると "Catastrophe"、"Hospital" と物騒なタイトルの曲で何かが起こりますが、再びゆったりした曲をダイナミックにアレンジし、平和に終結します。　こちらは１４曲３９分収録。　さすが名手、本編はどうでもいいけど楽曲は聴かせてくれました。 (2025/11/30：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　「若き獅子たち」60%（10曲中6曲）、「太陽の谷」54%（主題歌を除く13曲中7曲）

TOP OF PAGE　 INDEX：戦争映画　 INDEX：ヒューマン映画　 INDEX：五十音洋画　 MENU　 HOME

［アルバム解説］　 "Lion's Roar"＝獅子の咆哮、といえば、ＭＧＭ映画オープニングのカンパニー・ロゴですね。　というわけでこのアルバムは、サブタイトルどおり1935年からおよそ３０年分の主要作品のメインタイトルまたは主要曲の組曲を、３７作品収めたお得用ショーケース・アルバム。　もう四半世紀も前、新婚旅行で行ったハワイで買いました。　当時はドル125円前後だったので、4000円ぐらい。

　（右写真はポスターを満艦飾に並べたブックレット） 　とは言っても、年代別収録順の前半の作品なんて、「オズ」と「日本人の勲章」と、あと何本かぐらいしか見てないんでないかな。　「ベン・ハー」あたり以降は流石に見てる作品が増えますが。　マンシーニ、ゴールドスミス、シフリン等、私が良く聴く作曲家もちらほら出てきますしね。
　ただ、このアルバム、ありがたかったのは、まだ YouTube 等動画サイトにサントラ音源がそんなに上がってなかった時代、この映画の音楽はどんなだ？と確認する時にけっこう役に立ってくれたのですよ。　ブロニスラウ・ケイパー音楽の "INVITATION" という日本未公開映画、 メイナード・ファーガソンがカバーしている のですが、おお原曲はこんななんや、と感心しましたもの。　ファーガソンがまた、めっさカッコ良くアレンジしてくれてんのよ。
　そんな資料的価値もさることながら、収録作品、みんな名作ですしみんな良い曲です。　こんなの全部サントラ買ってられないしね。　２枚組３７曲１５７分収録。

　ちなみにこのＣＤ、観光客よりどちらかと言えばワイハ地元民向けのショッピングセンター、ワード・センターにあった「ボーダーズ・ブックス＆ミュージック」で買ったのですが、ボーダーズはもう１５年も前に経営破綻したとか。　ワード・センターそのものも客足がしょぼく、現在はワード・ヴィレッジという名前でリニューアルし、当時の面影はないそうです。　あのサブカルがゴチャゴチャ詰まった感じが懐かしいけどもうないのですね（←１回しか行ったことないくせに何を言い腐るんだか）。　ウニの天ぷらというとんでもないメニューがあった寿司屋の日本人爺はどうなったのかね（美味かったけど。あっちで調達できるウニは生で食べると美味しくないそうです）。 (2025/11/30：管理人から一言)

［収録作品］（『 』内は曲名、［ ］は作曲者、【ひ】は当サイト単独盤・関連盤へのリンク）

• 戦艦バウンティ号の叛乱 MUTINY ON THE BOUNTY (1935) 〜『Suite of themes: Main Title/Mutiny』 ［ハーバート・ストサート］
• 大地 THE GOOD EARTH (1937) 〜『Main Title』 ［ハーバート・ストサート］
• ザ・ウィメン THE WOMEN (1939) 〜『Suite of themes: Main Title/Mary Explains Divorce』 ［エドワード・ワード］
• オズの魔法使い THE WIZARD OF OZ (1939) 〜『Suite of Themes: Main Title/Crystal Gazing/Munchkinland/Poppies/The Spell』 ［ハーバート・ストサート、ハロルド・アーレン］
• フィラデルフィア物語 THE PHILADELPHIA STORY (1940) 〜『Main Title/Tracy In Love』 ［フランツ・ワックスマン］
• 心の旅路 RANDOM HARVEST (1942) 〜『Mai Title/Opening』 ［ハーバート・ストサート］
• 二日間の出会い THE CLOCK (1945) 〜『Main Title/End Title』 ［ジョージ・ベイスマン］
• 仔鹿物語 THE YEARLING (1945) 〜『Main Title/April 1876』 ［ハーバート・ストサート］
• ボヴァリー夫人 MADAME BOVARY (1949) 〜『Waltz』 ［ミクロス・ローザ］
• ゼンダ城の虜 THE PRISONER OF ZENDA (1952) 〜『Suite of themes: Main Title/The Duel』 ［アルフレッド・ニューマン］
• リリー LILI (1953) 〜『Mai Title/Prologue/Finale』 ［ブロニスラウ・ケイパー］
• 黒騎士 IVANHOE (1952) 〜『Prelude and Forword』 ［ミクロス・ローザ］
• 招待（日本未公開） INVITATION (1952) 〜『Main title/Five Eighteen』 ［ブロニスラウ・ケイパー］
• 悪人と美女 THE BAD AND THE BEAUTIFUL (1952) 〜『Theme (as re-recorded for TWO WEEKS IN ANOTHER TOWN)』 ［デビッド・ラクシン］
• 日本人の勲章 BAD DAY AT BLACK ROCK (1954) 〜『Main Title』 ［アンドレ・プレビン］
• 明日泣く �T’LL CRY TOMORROW (1955) 〜『Main Title/Don't Cry』 ［アレックス・ノース］
• 炎の人ゴッホ LUST FOR LIFE (1956) 〜『Reunion/Madness』 ［ミクロス・ローザ］
• バラの肌着 DESIGNING WOMAN (1957) 〜『Main Title』 ［アンドレ・プレビン］
• 愛情の花咲く樹 RAINTREE COUNTY (1957) 〜『Entr'acte』 ［ジョニー・グリーン］
• 走り来る人々 SOME CAME RUNNING (1958) 〜『Suite Of Themes: Prelude/Pursuit』 ［エルマー・バーンスタイン］
• ベン・ハー BEN-HUR (1959) 〜『Main Title』 ［ミクロス・ローザ］ 【ひ】
• 北北西に進路を取れ NORTH BY NORHTWEST (1959) 〜『Main Title』 ［バーナード・ハーマン］ 【ひ】
• 肉体の遺産 HOME FROM THE HILL (1959) 〜『Suite Of Themes: Main Title/Death/End Title』 ［ブロニスラウ・ケイパー］
• 地下街の住人 THE SUBTERRANEANS (1960) 〜『Main Title (Why Are We Afraid?)』 ［アンドレ・プレビン］
• シマロン CIMARRON (1960) 〜『The Land Rush』 ［フランツ・ワックスマン］
• キング・オブ・キングス KING OF KINGS (1961) 〜『The Last Temptation』 ［ミクロス・ローザ］
• 明日になれば他人 TWO WEEKS IN ANOTHER TOWN (1962) 〜『Suite Of Themes: Generique/Via Veneto』 ［デビッド・ラクシン］
• 戦艦バウンティ MUTINY ON THE BOUNTY (1962) 〜『Overture』 ［ブロニスラウ・ケイパー］
• 楽園の独身（日本未公開） BACHELOR IN PARADISE (1961) 〜『Suite Of Themes: Welcome Home/Top Shelf』 ［ヘンリー・マンシーニ］
• 逆転 THE PRIZE (1963) 〜『Suite Of Themes: Prelude/End Title』 ［ジェリー・ゴールドスミス］ 【ひ】
• 西部開拓史 HOW THE WEST WAS WON (1962) 〜『Main Title』 ［アルフレッド・ニューマン］ 【ひ】
• 卑怯者の勲章 THE AMERICANIZATION OF EMILY (1964) 〜『Weekend At Sussex』 ［ジョニー・マンデル］
• いつか見た青い空 A PATCH OF BLUE (1965) 〜『Goodbye, Salina』 ［ジェリー・ゴールドスミス］ 【ひ】
• シンシナティ・キッド THE CINCINNATI KID (1965) 〜『Gambling Man/Cockfight』 ［ラロ・シフリン］ 【ひ】
• 朝の楽しみ（日本未公開） JOY IN THE MORNING (1965) 〜『Suite Of Themes: The Hallway/The Staircase』 ［バーナード・ハーマン］
• いそしぎ THE SANDPIPER (1965) 〜『Main Title (The Shadow Of Your Smile)』 ［ジョニー・マンデル］
• ドクトル・ジバゴ DOCTOR ZHIVAGO (1965) 〜『End Title (Then It's A Gift)』 ［モーリス・ジャール］

【個人的収録曲ヒット率】　（オムニバス盤なので対象外）

TOP OF PAGE　 INDEX：テーマ別コンピ　 MENU　 HOME

［アルバム解説］　 1996年、竹中直人主演のNHK大河ドラマ「秀吉」放送時に発売された大河ドラマ主題曲集。　私にとって別にこの年に買った意味があるわけじゃなく、単に中古屋で見つけただけに過ぎません。　「秀吉」は見てなかったし。　音楽についても大河のテーマ集は数年置きに出てますし、気になるものは単独サントラ盤、つまり 「元禄繚乱」 、 「新撰組！」 、 「龍馬伝」 とか買ってますしね。　モリコーネの「武蔵 MUSASHI」も買ったな。

　ただ、昔のドラマは単独盤なんかもちろん出てませんので、こういうオムニバス盤に頼るしかありません。　自分がいつごろ大河ドラマ見てたか作品ラインナップを眺めてみると、一番古いのが「天と地と」。　私は６歳か７歳ですが、うちは父親が大河ファンだったもので夕食と共に見てました。　まあ内容は理解できてなかったでしょうが、見ていた記憶はある。
　でも「国盗り物語」等は、影響されて司馬遼太郎の原作読みましたからね。　上下巻ですが、上巻の松波庄九郎（史実では庄五郎）＝斎藤道三編の立身出世過程がめっぽう面白く、上巻だけ当時４回ぐらい読んでます。　下巻の信長＋光秀編は１回だけ。

　それと、音楽、つまりメインタイトル音楽が凄く楽しみで。　1977年の「花神」あたりからはテレビからテープに録音して繰り返し聴いてました。　シンフォニック・スコアの良さを教えてくれたのは 「ウルトラセブン」 と大河ドラマですわ、私にとっては。
　音楽で衝撃的だったのは「獅子の時代」。　主演が文太ってのももちろんインパクトあったんですが、オーケストラをバックにエレキギターがフロントをとるというのが凄い。　いまになって考えれば、割と楽器編成が自由なサウンドトラック音楽ではあり得るアプローチなんですけど、それまでが冨田勲、池辺晋一郎、林光などの重鎮たちの正統派オーケストラですから、高校生の私は実に驚いたものです。　担当は、並みいる巨匠たちの中で異彩を放つ宇崎竜童。　ロックの人らしい取り組みです。　後半、ボレロになるのもすげえ。　ドラマ自体は、裏番組の 「西部警察」 と行ったり来たりしてたので、ちゃんと見れなかったのですが。

　これ以降は、基本は「西部警察」見てましたので、「独眼竜正宗」や「炎立つ」ぐらいかな見たのは。　でも音楽だけを並べて聴いてみると、作曲家の個性が面白い。　大河音楽の代名詞的存在、正統派の池辺晋一郎や冨田勲、意外と実験精神のある山本直純、「おんな太閤記」、「春日局」など女性主人公大河には、ロマンチックに聴かせる坂田晃一とかわかっているオファーですねNHK。
　メロディレスすれすれで気持ち良い旋律はあまり聴かせてくれない辺りはやっぱり武満徹。　一柳慧なんて俺はすぐにＡＴＧが出てきちゃうんだけど（←偏見）、武満に輪をかけてメロディ欠乏。　そして私はあまりに聴きすぎているためいつもの佐藤勝にしか聴こえない佐藤勝と、皆さん個性が凄いです。　数少ない主題歌、故・谷村新司の『階（はし）』はめちゃくちゃ耳に残ります。

　そんなわけで、これ以降も数年置きに、最新の大河ドラマテーマ集でも買おうか、とか思ったりするのですが、これがあるのでこらえてました。　発売当時の放送作品「秀吉」のミニ・サントラも兼ねていて、これのみアンダースコアも含めて７曲３１分収録しています。　それも含めて全４１曲１１４分収録。 (2025/11/30：管理人から一言)

［収録作品］（『 』内は曲名（記載ない場合はテーマ曲）、［ ］は作曲者、《 》はボーカリスト、【ひ】は当サイト単独盤へのリンク）

• 花の生涯 (1963) 〜［冨田勲］
• 赤穂浪士 (1964) 〜［芥川也寸志］
• 太閤記 (1965) 〜［入野義朗］
• 源義経 (1966) 〜［武満徹］
• 三姉妹 (1967) 〜［佐藤勝］
• 竜馬がゆく (1968) 〜［間宮芳生］
• 天と地と (1969) 〜［冨田勲］
• 樅の木は残った (1970) 〜［依田光正］
• 春の坂道 (1971) 〜［三善晃］
• 新・平家物語 (1972) 〜［冨田勲］
• 国盗り物語 (1973) 〜［林光］
• 勝海舟 (1974) 〜［冨田勲］
• 元禄太平記 (1975) 〜［湯浅譲二］
• 風と雲と虹と (1976) 〜［山本直純］
• 花神 (1977) 〜［林光］
• 黄金の日日 (1978) 〜［池辺晋一郎］
• 草燃える (1979) 〜［湯浅譲二］
• 獅子の時代 (1980) 〜［宇崎竜童］
• おんな太閤記 (1981) 〜［坂田晃一］
• 峠の群像 (1982) 〜［池辺晋一郎］
• 徳川家康 (1983) 〜［冨田勲］
• 山河燃ゆ (1984) 〜［林光］
• 春の波涛 (1985) 〜［佐藤勝］
• いのち (1986) 〜［坂田晃一］
• 独眼流正宗 (1987) 〜［池辺晋一郎］
• 武田信玄 (1988) 〜［山本直純］
• 春日局 (1989) 〜［坂田晃一］
• 翔ぶが如く (1990) 〜［一柳慧］
• 太平記 (1991) 〜［三枝成彰］
• 信長 (1992) 〜《久岡昇、東京混声合唱団》 ［毛利蔵人］
• 琉球の風 (1993) 〜『階（はし）』《谷村新司》 ［谷村新司］
• 炎立つ (1993) 〜［菅野由弘］
• 花の乱 (1994) 〜［三枝成彰］
• 八代将軍吉宗 (1995) 〜［池辺晋一郎］
• 秀吉 (1996) 〜『テーマ、破天荒その1〜破天荒その4、夢路、恋慕、運命、放浪、幻』 ［小六禮次郎］

【個人的収録曲ヒット率】　（オムニバス盤なので対象外）

TOP OF PAGE　 INDEX：テーマ別コンピ　 INDEX：その他テレビ日本　 INDEX：五十音テレビ日本　 MENU　 HOME

　 １２世紀ヨーロッパ。　イングランド国王ヘンリー２世（オトゥール）の王位禅譲をめぐる家族の軋轢を、居城であるシノン城にクリスマスに集まった一族の数日間で描いた、中世ヨーロッパ版「清洲会議」。　「ニコライとアレクサンドラ」や 「ロビンとマリアン」 のジェームズ・ゴールドマンが、実在の人物を題材に書き上げた（中身はフィクション）ブロードウェイ・ステージを、本人の脚本で映画化。

　叛乱を企てたとして幽閉中の王妃エレノア（ヘップバーン）、粗暴な性格だが後継者に王妃イチ推しの次男リチャード（長男は死没。後の獅子心王＝ライオンハート、ホプキンス演）、ヘンリー王が推す弱弱しい末弟ジョン（テリー）、両親から無視され捻くれて陰謀家になっちゃった三男ジェフリー（キャッスル）、リチャードの嫁として子供の時から育てられたのにヘンリー王が手をつけちゃったフランス王女アレース（メロウ）、その異母弟でありリチャードの同性愛相手だったフランス王フィリップ（ダルトン）と、とにかくまあ人物設定が濃い濃い。

　この人たちが、いかにも舞台が原作らしい長回しでやたら怒鳴りあうんですが、人物が中濃ソース煮詰めたように濃いので誰にも感情移入できない上に、中世ヨーロッパ政治体制に大して興味のない私としては、「傑作と評価される傑作だということはわかる」という感想でした。　アカデミー賞、英国アカデミー賞はじめ各映画賞を受賞やらノミネートやらで総ナメしてるんですよ。　実際、本作が実質的な映画デビューであるアンソニー・ホプキンスとティモシー・ダルトン含め、役者さんの芝居は凄かった。　それだけで最後まで引っ張ってくれました。

［音楽とサントラ］　 実は音楽のジョン・バリーが、アカデミー賞、英国アカデミー賞で作曲賞受賞、ゴールデン・グローブでノミネート（受賞はアレックス・ノース「栄光の座」）という傑作なので、一般教養ということで先にサントラ買ったのです。　せっかく録画もしたし見ておこうとなった次第。

　高低差のある、格調高く大仰なシンフォニック・スコアのインパクトは大。　またドスの効いたホーン群はいつものバリー節なのですが、男女のスキャットまたはコーラスが落ち着いた雰囲気を醸し出し、地に足の着いた音楽を聴かせてくれます。　バックの楽器なしで混声合唱のみの楽曲もあり、これが格調高くていい。　宗教色が強くないのも良いところ。　そら、いろんな賞もとるだろうと感心した１枚でした。　本盤は、公開時サントラをＣＤ復刻した１２曲３７分。　本編スコアを再現した再演奏盤も出ています。 (2025/11/22：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　100%

TOP OF PAGE　 INDEX：歴史洋画　 INDEX：五十音洋画　 MENU　 HOME

　 ２０世紀初頭、戦略拠点であるモロッコの港町タンジールを狙う西欧列強を良しとしない、アラブのベルベル人の族長ライスリ（コネリー）は、アメリカ人のペディカリス母子（バーゲン）を誘拐し、外国勢力の排撃を企図する。　これに反発する大統領セオドア・ルーズベルト（キース）は、モロッコに軍隊を差し向ける。

　黒澤の影響を受けたジョン・ミリアスの傑作。　騎馬戦の豪快さとか馬が可哀そうなあたりとか、絵的な見せ方とかもろクロサワ。　右翼と言えば右に出るのはジョン・ウェインぐらいしかいないミリアスですが、この当時はイデオロギー的な描写は少ない。　ブライアン・キースがそっくりさんのモノマネしてるかのようなルーズベルトと、実在の人物をモデルにしたライスリの、直接顔を合わせないにもかかわらず、相手への敬意と、「漢」の考え方を軸としています。　タイトルの「風」は、いろいろ乱しにかかるルーズベルト、「ライオン」は地に足を付けて土地を守るライスリのことです。

　実際に起きた事件を元にしていますが、誘拐されたイオン・ペディカリスさんは還暦すぎたお爺ちゃんで、だからバーゲン演じるイーデン・ペディカリスとライスリの間にある心の交流はフィクション。　もっとも、実際に誘拐されたイオンさんも、ライスリのモデルとなったライスニとは友情を結んだそうで、それをストックホルム症候群ではなく、あくまでライスリの人物が人格的に凄いと描いているのが本作。　ショーン・コネリーの説得力ある演技は凄いです。　まあ、傑作として名高い作品ですし、こんなもんかな。

　ちなみに最後、ドイツ軍に（ネタバレ伏字→）捕らわれたライスリを救いに挑む米海兵隊のところが、西部劇になるのを忘れてました。　当時ドイツ軍は駐留してないので完全にフィクションなのですが、ミリアス、それはやり過ぎだろう。

［音楽とサントラ］　 ジェリー・ゴールドスミス御大の傑作の誉れ高い１枚ですので何を今さら。　 「１３ウォーリアーズ」 にしろ 「トラ・トラ・トラ！」 にしろ、民族音楽を大胆に取り入れつつゴールドスミス流なのは間違いないのが御大の良いところ。　豪快なメインテーマと、情愛のシーンの美しい旋律のコントラストもこの人らしい。

　あと、黒澤映画の影響も受けてる？　タイコが佐藤勝的な音だし、宮殿の描写は中東よりも邦画の城の描写にしか聴こえない。　そんな益体もないことを考えつつ楽しい１４曲３９分でした。　INTRADA から２枚組拡張盤も出てますが（右写真）、本盤は公開時の ARISTA のＬＰのＣＤ化です。 (2025/11/22：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　100%

TOP OF PAGE　 INDEX：歴史洋画　 INDEX：五十音洋画　 MENU　 HOME

　 追放された若い騎士（ストルツ）が、少年たちを率いてイングランド王リチャード１世（獅子心王＝ライオンハート）に味方して戦う物語。
　子供たちの十字軍＝「少年十字軍」（と日本では訳される）は実在しましたが、第４回十字軍の後に結成されてます。　本作の設定は第３回十字軍ですので、少年十字軍をベースにした完全フィクションです。

　日本には入ってこず、ビデオスルーでも公開されなかったようです。　制作にフランシス・フォード・コッポラ、その妹タリア・シャイア（ エイドリアンの人 、デビッド・シャイアの元妻）、監督はフランクリン・J・シャフナーと錚々たる名前が並ぶ作品なのに不思議。　とは言いつつ、IMDBでは５.１、rotten tomatoes に至っては２９％という低評価で、そら日本には来ないわなあ。

［音楽とサントラ］　 音楽はシャフナーの長年の盟友、ゴールドスミス。　未公開映画ですから国内盤サントラなど当時はもちろんなく、本来ならそうそう聴くことない音楽なのに、管理人が始めて本作「ライオンハート」の楽曲に触れたのは 下に紹介したゴールドスミスの再演奏盤「スイート＆テーマ」 に収録された "Robert's Theme"（主人公のテーマ） でした。　私がサントラを本格的に聴き始めた初期に買ったＣＤで、 「カプリコン・ワン」 で既に知っていたゴールドスミスではあるのですが、この曲にいたく感動。　荘重なモチーフを、楽器を厚くしつつも繰り返されるのは同じメロディなのに、こんな盛大に盛り上がれるものなんだ、と映画音楽の凄味を感じた曲でありました。

　ですから、日本未公開映画でありながらフルアルバムが出た時は驚き、かつ喜んだものです。　1998年の、ジェリー・ゴールドスミス来日記念に発売された国内盤（右写真はオビから抜粋）。　主人公、悪玉、ヒロイン等のテーマを設定し、それらを巧妙に組み合わせた音楽叙事詩。　そういや、ゴールドスミスって巨匠なのに意外とエピック・フィルム（叙事詩的映画）やコスチューム・プレイと呼ばれる史劇大作は少ない人で、他は「トゥルーナイト」ぐらいしかないのではないかな（こちらも良いですよ）。　もっとオファーする監督がいて欲しかったですね。

　先述の通りジェリー来日記念の発売で、邦題の「子供たちの十字軍」は原題の "THE CHILDREN'S CRUSADE" からのものですが、これはアメリカ公開版のタイトルで、アルバムには記載がありません。　当時の VARESE SARABANDE の原盤２枚計２０曲から、１９曲を本編使用順にセレクトしたもの。　漏れた１曲 "THE FUTURE" は、 ＳＬＣが出してたこちらのアルバム で聴けます。　その後も拡張盤が出たりしていますので、今から買うならそちらでしょうか。　本盤は１９曲７８分収録。　 (2025/11/22：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　68%（19曲中13曲）

TOP OF PAGE　 INDEX：歴史洋画　 INDEX：五十音洋画　 MENU　 HOME

［アルバム解説］　 1987年、ロンドンのコンサートホールでのゴールドスミス自作自演ライブのアルバム化です。　とは言っても拍手とか歓声はなく、スタジオ録音のような仕上がりです。　あと演奏も骨太で文句なし。
　 上の「ライオンハート」 にも書いた通り、私のサントラ収集の最初期に買ったアルバムで、このアルバムで初めて聴いた曲も多いんですよ。　その後、（テレビ音楽でリリースされてないものを除き）単独サントラ盤を全て買ってしまいましたから、沼に引きずり込んでくれたアルバムなのでした。

　個々のサントラあるから手放してもいいかな？とか昔は思ったこともあるのですが、曲目を見ればわかる通りメドレーまたは組曲が多く、要するにコンサート・ピースとして「聴かせる」演奏ですから、それは手放せないわけでした。　「ライオンハート」は、この曲の編曲では上のサントラ盤にないんですよ（最終トラックの後半がそれにあたる）。　というわけで一応持っている７トラック６５分でした。

　もっとも、 下のリマスター盤 買っちゃったから手放してもいんですけどね…。 (2025/11/22：管理人から一言)

［収録作品］（『 』内は曲名、【ひ】は当サイト単独盤・関連盤へのリンク）

• ブルー・マックス THE BLUE MAX (1966) 〜『SUITE』
• ００１１／ナポレオン・ソロ THE MAN FROM U.N.C.L.E. (1964) 〜『THE TELEVISION SUITE』（１トラック） 【ひ】
• ドクター・キルデア Dr.KILDARE (1961) 〜『THE TELEVISION SUITE』（１トラック）
• 黒人教師ディックス ROOM 222 (1969) 〜『THE TELEVISION SUITE』（１トラック） 【ひ】
• わが家は１１人 THE WALTONS (1972) 〜『THE TELEVISION SUITE』（１トラック）
• 名探偵ジョーンズ BARNABY JONES (1973) 〜『THE TELEVISION SUITE』（１トラック） 【ひ】
• 炎の砦マサダ MASADA (1981) 〜『THEME 』
• グレムリン GREMLINS (1984) 〜『SUITE』 【ひ】
• 砲艦サンパブロ THE SAND PEBBLES (1966) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック） 【ひ】
• チャイナタウン CHINATOWN (1974) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック）
• いつか見た青い空 A PATCH OF BLUE (1965) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック） 【ひ】
• ポルターガイスト POLTERGEIST (1982) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック）
• パピヨン PAPILLON (1973) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック） 【ひ】
• 風とライオン THE WIND AND THE LION (1975) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック） 【ひ】
• マッカーサー MacARTHUR (1977) 〜『THE GENERALS SUITE』（１トラック） 【ひ】
• パットン大戦車軍団 PATTON (1970) 〜『THE GENERALS SUITE』（１トラック） 【ひ】
• ライオンハート LIONHEART (1987) 〜『THEME（ROBERT'S THEME）』 【ひ】

【個人的収録曲ヒット率】　（ベスト盤なので対象外）

TOP OF PAGE　 INDEX：作曲家別コンピ　 MENU　 HOME

［アルバム解説］　 上に載せた、 ゴールドスミスの「スイート＆テーマ」 の１４年後のリマスター盤です。　音質は向上…してるんでしょう、たぶん。　うちの貧弱なオーディオではわかりません。

　良かったのは、１７分ある「ブルー・マックス」組曲をトラック分けしてくれたことですね。　だったら他のメドレー曲もやってくれよ。
　あと、ボーナストラックとして、アメリカ公開版がタンジェリン・ドリームに差し替えられたという、いわくつきの「レジェンド 光と闇の伝説」がボーナストラックで追加されています。　これのみ、ナショナル・フィルハーモニック・オーケストラの演奏です。　１２トラック７１分収録。 (2025/11/22：管理人から一言)

［収録作品］（『 』内は曲名、【ひ】は当サイト単独盤・関連盤へのリンク）

• ブルー・マックス THE BLUE MAX (1966) 〜『SUITE（Overture、First Flight、The Bridge、The Attack、Finale）』
• ００１１／ナポレオン・ソロ THE MAN FROM U.N.C.L.E. (1964) 〜『THE TELEVISION SUITE』（１トラック） 【ひ】
• ドクター・キルデア Dr.KILDARE (1961) 〜『THE TELEVISION SUITE』（１トラック）
• 黒人教師ディックス ROOM 222 (1969) 〜『THE TELEVISION SUITE』（１トラック） 【ひ】
• わが家は１１人 THE WALTONS (1972) 〜『THE TELEVISION SUITE』（１トラック）
• 名探偵ジョーンズ BARNABY JONES (1973) 〜『THE TELEVISION SUITE』（１トラック） 【ひ】
• 炎の砦マサダ MASADA (1981) 〜『THEME 』
• グレムリン GREMLINS (1984) 〜『SUITE』 【ひ】
• 砲艦サンパブロ THE SAND PEBBLES (1966) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック） 【ひ】
• チャイナタウン CHINATOWN (1974) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック）
• いつか見た青い空 A PATCH OF BLUE (1965) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック） 【ひ】
• ポルターガイスト POLTERGEIST (1982) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック）
• パピヨン PAPILLON (1973) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック） 【ひ】
• 風とライオン THE WIND AND THE LION (1975) 〜『THE MOTION PICTURE SUITE』（１トラック） 【ひ】
• マッカーサー MacARTHUR (1977) 〜『THE GENERALS SUITE』（１トラック） 【ひ】
• パットン大戦車軍団 PATTON (1970) 〜『THE GENERALS SUITE』（１トラック） 【ひ】
• ライオンハート LIONHEART (1987) 〜『THEME（ROBERT'S THEME）』 【ひ】
• レジェンド 光と闇の伝説 LEGEND (1985) 〜『FAERIE DANCE/RE-UNITED』

【個人的収録曲ヒット率】　（ベスト盤なので対象外）

TOP OF PAGE　 INDEX：作曲家別コンピ　 MENU　 HOME

　 移民してきた異星人がともに暮らす近未来のロサンゼルス。　この異星人たちにだけ効果のある麻薬の密売ルートを、地球人（カーン）と異星人（パティンキン）の刑事コンビが捜査するＳＦ刑事ドラマ。

　建付けとしては「ＳＦ」アクションですが、本質的には、生き方の差やカルチャー・ギャップのあるコンビが連携する、良くあるバディ・ストーリー。　異星人がスーツをビシっと決めたマジメ人間で、主役の地球人刑事が無頼派というのも 「レッドブル」 や 「リーサル・ウェポン」 にみたいなありがちの設定です。　まあ異星人が腐った牛乳飲んで酔っ払う、カルチャーどころか生物としてのギャップもあったりしますが、刺身のツマ程度です。
　異星人が、アメリカへの外国人移民のメタファーというのは明らかで、監督もそれに触れたうえで、「あんまりＳＦだと思ってない」みたいな発言をしてたそうです。　まあ単なるＢ級アクションとしてはそこそこ面白かったと記憶してます。

　しかし、異邦人側がマジメでアメリカ人が無頼派という類型はどうにかならんのですかね。　数年前、Ｊ・Ｊ・エイブラムスが仕掛けたＳＦ刑事テレビシリーズ、「オールモスト・ヒューマン」も、主人公刑事は無頼派、相棒のアンドロイドはマジメでした。　でも、旧型のこのアンドロイドは「感情機能」を持ってて普通に人間みたいな喋りをしてて、いやアンドロイドである必要は特になさそうだがエイブラムスさんよ、と思ったものです。　案の定、シリーズは１クールで終了となりました。

［音楽とサントラ］　 音楽は、ジェリー・ゴールドスミスが作曲して録音までしておきながらリジェクトされ、当時の若手のソーベルという人に差し替えられました。　この当時、ゴールドスミス御大を蹴っ飛ばすって凄いよな、監督か会社（フォックス）の判断か知りませんが。　この監督さん、７年前に「オーメンIII」で御大と組んでいるのに。
　本作で最も有名なのは、リジェクトされたことで後に 「ロシア・ハウス」 に流用され、歌詞が付いて主題歌 "Alone In The World" にまでなったメインテーマでしょう（歌唱はパティ・オースティン）。　美しく哀愁に満ちたゴールドスミスでも屈指の名曲のひとつで、二作品を聴き比べると、「ロシア」ではメロディを少しいじって、さらにジャズ・イディオムを採用、より落ち着いた雰囲気になっています。　ちなみに、元々は 「ウォール街」 のために作曲されたとか。　オリバー・ストーンが好みそうじゃないし、誰が書かせたんだろう。

　楽曲は 「未来警察」 同様、オール・シンセサイザー。　今回はリジェクト版の紹介ということで、音楽の使われ方だけ確認するほどの映画じゃなし本編は見返してないのですが、サントラをサントラとして聴いててもなぜリジェクトされたかわからない。　正直、オリバー・ストーンなら気難しそうな人だしわからんでもないのですが、Ｂ級映画でダメなのこれ？と不思議。　もっと言えば、ゴールドスミス担当作だったらもっと映画としての「格」も上がったと思うのですけど。

　前述のテーマメロディはアンダースコアでも何曲か展開されています。　　つうか、俺は当然、「ロシア・ハウス」を見て・聴いてから本作版のこの曲を聴いたわけで、エレクトリックな「ロシア・ハウス」もええな、という感想なのでした。　サントラマニアのお友達、VARESE SARABANDE が掘り起こした本盤は１８曲４６分収録。　笑っちゃうことに、このアルバムが出た当時、本編採用のソーベル版の音楽はリリースされていませんでした。　後に、採用版、リジェクト版を併せた拡張盤ＣＤが出ています（右写真）。 　 (2025/11/15：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　61%（18曲中11曲）

TOP OF PAGE　 INDEX：ＳＦ洋画　 INDEX：五十音洋画　 MENU　 HOME

　 上の映画は 出来としては並のレベルだったの思うのですが、設定がウケたのかテレビシリーズ化されました。　製作総指揮は「６００万ドルの男」とそのスピンオフ「バイオニック・ジェミー」、「Ｖ」、「超人ハルク」等を手がけた、６０〜８０年代のＳＦに強かったケネス・ジョンソン。　 「ショート・サーキット」 の続編「ショート・サーキット２」の監督でもあります。
　オファーを受けたジョンソンさんはあまり乗り気ではなかったようですが、たまたま構想中だった 「リーサル・ウェポン」 ＳＦ版と似ていたので話に乗ったとか。　アクションものというよりも、異星人の異文化描写の比重がけっこう高かった話だそうです。

　そこそこ人気はあったそうですが、スポンサーがつかなかったらしく１シーズンで打ち切り。　しかし熱心なファンの活動で、数年後に、クリフハンガーだった最終回から直接つながる続編、さらに数本のテレビスペシャルが製作されたようです。　日本ではケーブルテレビ（ＦＯＸチャンネル）で放送されました。　そうです。

［音楽とサントラ］　 そうです。　ようです。　…ばっかりですが、おれ、一回も見たことねんだコレ。　でもサントラがお手頃価格だったのでつい購入。　音楽は、スティーブ・ドーフ、ラリー・ハーブストリット、デビッド・カーツという人たちが担当してます（すみませんプロフは調べてません）。
　楽曲は映画版同様にシンセサイザー。　上に書いた通りアクションものではなかったのでしょう、楽曲はリリカルな美しい曲のほか、緊迫あるいはダウナーなサスペンススコアばかりで、ハイテンポのアクション曲はありません。　尾行っぽい曲はありますけどね。

　で、「異星人の異文化を描く」本作において、音楽が表現する「異文化」は、どうやら民族音楽がベース。典型的なのがメインタイトルである主題歌で、特殊なパーカッションが閃くアフリカ音楽。　　アメリカを故郷とするアフリカ系アメリカ人じゃなく、大陸の方ね。　ジョン・ウィリアムスの「アミスタッド」あたりを想像していただければ。
　一風変わった東欧音楽風アカペラや、ケーナっぽい音が入った南米フォルクローレ風の曲など、異文化の象徴は非英語圏のエキゾチズムとしてるようです。　なかなか面白いアイディアの音楽でした。　３１曲５３分収録。 (2025/11/15：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　36%（ボーカル曲6曲除く25曲中9曲）

TOP OF PAGE　 INDEX：ＳＦ特撮TV海外　 INDEX：五十音TV海外　 MENU　 HOME

［アルバム解説］　 ジョー・ハーネル作品の２枚組アルバムです。　ジョー・ハーネル（ジョセフ・ハーネル、1924-2005、享年８０）は、ヴォードビルの芸人を父親に持つアメリカの音楽家。　従軍時代は陸軍航空隊のグレン・ミラー慰問楽団に在籍。　従軍中から除隊後にかけ、ナディア・ブーランジェ、ウィリアム・ウォルトン、アーロン・コープランド、レナード・バーンスタインに師事したというからすげえ音楽エリートです。　除隊後はジャズ／ポップス系のピアニストやアレンジャーとして活動、ペギー・リーの専任だった時代もあります。
　ヒットしたボサノバのアルバム「FLY ME TO THE MOON AND THE BOSSA NOVA POPS」（右写真にAmazonリンク）などリーダーアルバムを発表後、映像音楽家に転身、主にテレビドラマの音楽を担当しています。

　とは言え、日本では知名度は低そうだなあ。　後述する、本盤収録のテレビ作品にはメジャーなものも並びますが、最も有名なのは、ユナイテッド・アーティスツのロゴ音楽ではないでしょうか。　真っ暗な画面に１本の線が浮かびあがり、ドアが開くように横に広がっていくと「ＵＡ」の文字になるやつ。　憶えてません？
　ＵＡの８０年代に使われていたもので、その頃出たＵＡのセルソフトの冒頭もこれだったような。　２枚組の本盤のディスク１の１曲目に収録されています。　ディスク２の１曲目はそれの alternative take。　メロディは同じですがピアノを中心にした柔らかいアレンジの曲で、実際には使われなかったのですがハーネル本人はお気に入りだそうです。

　他の収録作品は、上のテレビ版「エイリアン・ネイション」のプロデューサー、ケネス・ジョンソン製作の作品群です。　「クリフハンガー」"CLIFFHANGERS" は映画草創期の1910年代に流行した、１０〜２０分の連続物短編映画を何本かまとめて毎週上映する興行形態 "serial film"（日本語では「連続活劇」）を現代のテレビで再現しようとした番組で、１時間に３本の作品が放送されていました。　後述する「ドラキュラの呪い」はこの枠で放送された作品です。
　そもそも、連続ドラマで結末がわからないまま次回に持ち越す手法を表す「クリフハンガー」という言葉は、この興行形態が発祥です。　メインタイトルとエンド・クレジットを１トラックで収録しています。　ドラマ内容に合わせた切羽詰まった曲調です。

　以後は番組ごとに複数曲の収録。　まずは「６００万ドルの男」からスピンオフし、本家を食う人気となった「バイオニック・ジェミー」。　数年前にＣＳで全話放送されたので少し見たのですが、いやもう懐かしい。　オープニングのコンピュータ音声のナレーションとか笑っちゃいますな（←誉めてます）。
　メインテーマはジェリー・フィールディングですが、ハーネルはエピソード音楽を何本も担当しており、本盤にはエピソードごとに音楽を組曲化したものを７トラック収録。　エピソードＢＧＭですから比較的落ち着いた曲が多く、「これは！」と刺さることはなかなかないですが、「シスター・ジェミーに御恵みを」"Sister Jaime" ではクラシックをベースにしたジャズ、「ゴールドマン局長暗殺指令」"Kill Oscar Part 3" ではマーチに始まり最後までアップテンポの曲を聴かせてくれます。　３９分収録。

　アメコミの「ハルク」は何度も映像化されていますが、本盤収録はビル・ビクスビー主演版「超人ハルク」（ビクスビーは後年に続編単発作品を製作・監督）。　ジョー・ハーネルはメイン担当で、テーマ曲だけじゃなくエピソード音楽も９割がた担当。　ロードムービー・ドラマながらアクションシーンも多いため、流石に派手な曲も聴かれます。
　「ジェミー」同様、エピソードごとに使用曲を組曲化したもので、ビッグバンドからバップまでジャズばかりやっている曲も。　タカタカなり続ける背後のパーカッションはいかにもこの頃の音楽。　最後はハルクのキャラクター・テーマ、哀愁の "The Lonely Man Theme" で締め。　１０トラック３６分収録。

　「白熱の追跡」"HOT PURSUIT" はおそらく日本未放映（邦題は管理人訳）。　妻の殺人の冤罪から逃れて逃亡する夫婦を描いた逃亡ロードムービー・ドラマ。　２年間続いたようなのでそこそこ人気はあったみたい。　普通のアクションドラマなので、テンポの良い曲が多いです。　雄大な橋を車が疾走するエンド・クレジットの曲はなぜか爽やかで優雅。　５トラック１０分収録。
　「ドラキュラの呪い」"THE CURSE OF DRACULA" も日本未放映（邦題は管理人訳ですが他に訳しようがない）。　先述の「クリフハンガー」枠の一篇で、主演は 下に紹介した「ヒドゥン」 のマイケル・ヌーリー。　１２分１トラックの組曲です。　ホラーにありがちな、ダウナーの音をやたら並べるのではなく、意外や音楽としてメロディを奏でてます。　なお1958年の同名の映画とはおそらく無関係。

　「エイリアン・ネイション」はテレビシリーズ。　レギュラー放送の音楽担当は 上でご紹介したＣＤ の通りですが、ここに収録されたのは、シリーズに先立って制作・放映されたパイロット版の音楽です。　オール・シンセのレギュラー・シーズンの音楽と違い、シンセサイザーも隠し味に使うものの生楽器での演奏がメイン。　ただタイトル曲がアフリカンというかオペレッタっぽいのはシーズンと同じなので、これはジョンソンのオーダーでしょうね。　エンドタイトルとかけっこう盛り上がりますのでレギュラーもこの人でも良かったんじゃないの？ジョンソンさん。　４曲１０分収録。

　「Ｖ／ビジター」は、1983年にテレビ・ミニシリーズとして放映され、日本でも大ヒットしてちょっとしたブームになったＳＦドラマ。　最新の特撮技術を駆使して、後の 「インディペンデンス・デイ」 みたいな「リアルな宇宙人地球侵略」を描いた作品の嚆矢となったドラマと言っていいのではないでしょうか。　私は、ミニ・シリーズ分は見たのですが割と面白かった記憶があります。　１時間枠１９話のシリーズもの「Ｖ２/ビジターの逆襲」は見てませんが。　2009年（日本放映は2011年）のリメイク版は２話ぐらい見て挫けました。　録画、残ってるかなあ。
　ハーネルの音楽は、正面からガブリ寄って来る正統派シンフォニックスコア。　サスペンス、情愛、人間描写はもちろんのこと、戦闘シーンのミリタリなスコアでは、ハーマンの 「北北西に進路を取れ」 や「ワルキューレの騎行」をかすかに引用しながら、９分間派手に鳴らし続けるトラックも。　…こんな長いなら曲ごとにトラック分けしてくれよ。　分割するのめんどいんだけど。
　惜しむらくは、「これぞ"Ｖ"のテーマ！」と言える印象的なメロディが弱いので、盛り上がる聴きどころがいまいち。　さっきのミリタリ系トラックぐらいかな。　１３トラック４４分なので単独サントラと呼べる規模の収録です。

　以上、購入後は割とほったらかしてたのですが、久しぶりに聴いてみればなかなか良かった２枚組、４３トラック２時間３１分でした。　単独サントラアルバムは、「バイニック・ジェミー」（ハーネル担当分）、「超人ハルク」、「ドラキュラの呪い」、「Ｖ／ビジター」（とその続編群）がリリースされています。　上記の右側にジャケット載せときました。　私はどれも持っていませんが。 (2025/11/15：管理人から一言)

［映像関連の収録作品］（【ひ】は当サイト関連盤へのリンク）

• ユナイテッド・アーティスツ・ロゴ UNITED ARTISTS Logo Theme (1982) （2曲）
• クリフハンガー（日本未放映） CLIFFHANGERS (1979) （1トラック）
• バイオニック・ジェミー THE BIONIC WOMAN (1976) （7トラック）
• 超人ハルク THE INCREDIBLE HULK (1977) （10トラック）
• 白熱の追跡（日本未放映） HOT PURSUIT (1984) （5トラック）
• ドラキュラの呪い（日本未放映） THE CURSE OF DRACULA (1979) （1トラック）
• エイリアン・ネイション（テレビシリーズ・パイロット） ALIEN NATION (1989) （4トラック） 【ひ】
• Ｖ／ビジター -来訪者- V: THE First Mini Series (1983) （13トラック）

【個人的収録曲ヒット率】　（ベスト盤なので対象外）

TOP OF PAGE　 INDEX：作曲家別コンピ　 INDEX：五十音TV海外　 INDEX：五十音洋画　 MENU　 HOME

　 ＳＦ作家ハル・クレメントが「二十億の針」で確立した「地球人に寄生する宇宙人どうしの追跡劇」を、当時のセンスで映画に仕上げたＳＦアクション。　ファンタジー系映画の祭典である「アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭」で強敵 「ロボコップ」 を抑えてグランプリを受賞した、８０年代ＳＦ映画を代表する大Ｂ級作品です。

　劇場で見て以来久しぶりに見たけど、快調に突っ走って面白いのは初見時と同じ。　ハードロック好きスポーツカー好き女好きエイリアンというケレン味のある設定も笑えます。　お話の展開上唯一のダレ場である、地球人刑事（ヌーリー）の家族と宇宙人憑依捜査官（マクラクラン）の交流は、ちゃんと結末の伏線になってる。　友人知人を撃つのになんのためらいも葛藤もない登場人物たちもＢ級らしくて良い。　そこでダラダラしたらテンポ悪くなるもんね。

　質的にも良い映画を「傑作」というのならば、傑作と呼ぶのはためらわれますが面白い快作であるのは間違いない作品。　続編も制作されましたが、私は途中から早送り。　作らなくて良かったのに。

［音楽とサントラ］　 音楽はマイケル・コンバーティノ。　「サンタクロース」とか聴いてると別にメロディアスな曲を書けない人ではないのでしょうが、本作では「動き」のあるシーンを全部、挿入されたハードロックにさらわれてますので、アンダースコアの大半はメロディレスで不協和音が連なるメタ音楽一辺倒。　独立した音楽としてはどうかな、という仕上がりで、これ買う人はかなりマニアックだと思います。
　いや俺は新譜で買っちゃってるんだけどね。　エンディング主題歌の "Hidden" が収録されていると勘違いした結果でした（実際には未収録です）。

　あと不思議なのが、アルバムの収録曲順が本編の進行とまったく関係ないバラバラなこと。　最終トラックの "Mannequin" は、中盤のマネキン倉庫での銃撃戦の曲なんだけど、最後に置くほどまとまった曲じゃない。　逆に、実際の本編エンディングで、感動的な雰囲気を演出した "Final Transference" は真ん中あたり置いてる。　まだ映画使用順だったら聴かせるのになあ。　自身がアルバム・プロデューサーでもあるコンバーティノさんが何を考えてんだか良くわからん、１４曲３９分でした。 (2025/11/15：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　（評価不能）

TOP OF PAGE　 INDEX：ＳＦ洋画　 INDEX：五十音洋画　 MENU　 HOME

　 1996年の、スーパー戦隊シリーズ第２０作。　自動車会社の社員たちが○○レンジャーで、車が変身するらしい。　見たことないです。

［音楽とサントラ］　 見たことないんですけど、ディスクユニオン中野店で見かけたらお手頃価格だったため、佐橋俊彦の音楽はどんなだと購入してみました。　この店はマニアックなロック系がメインの店なので、サントラはそこそこ安いことが多いんです。
　買ってみれば、佐橋さんの初のスーパー戦隊シリーズ参加作品とのこと。　ＣＤは、放送当時のサントラＣＤを ANIMEX1200シリーズとして復刻したものです。

　本編は番組キャッチフレーズが「戦う交通安全」というコメディタッチだったそうですが、楽曲はホーンを並べてゴリゴリと迫りくる正統派アクション音楽。　もちろんコミカルな曲もありますが、変にフザけてはいません。　アルバム後半では、フュージョン調の疾走感ある曲から、ウルトラシリーズの佐橋版格闘テーマとも共通する、ダイナミックなアクション曲も聴かれます。
　バッキングがシンセサイザー中心なので金属的な雰囲気の主題歌も、インスト版はホーン・セクションで豪華なアレンジ。　宇宙暴走族ボーゾックのテーマは、金管やサックスの叫びが心地いい暗めのビッグバンド・ジャズ。　いや楽しい。　番組にはまったく興味がないですが、音楽は楽しめます。　主題歌『激走戦隊カーレンジャー』、エンド主題歌『天国サンバ』はテレビサイズで収録。　１５トラック４７分。 　 (2025/11/09：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　ほぼ100%

TOP OF PAGE　 INDEX：SF特撮TV日本　 INDEX：五十音TV日本　 MENU　 HOME

　 明治維新の頃から存在を秘匿されていた、日本国内の独立国家「大阪国」。　会計検査院の検査でこれが明るみに出ようとするが、大阪府民、いや大阪国民は「あるもの」を守るため立ち上がろうとする。

　録画がなかったので今回は見返すのを断念。　レンタルするほどのものじゃなし。　こういう、壮大な「冗談」は、やっぱり実写映画じゃ無理があるよね。　生身の役者さんが目の前にいる「リアル」の前にこの手の冗談は色あせる。　小説（まあ原作は小説だが）か、映像作品ならせいぜいアニメだと思う。　個々の役者さんの演技は堪能したけれど、全体のフレームワークがツッコミどころだらけで、虚心にノッて見るのは難しいところです。

　実写でやるなら、徹底的にオフザケか（当たった時の福田雄一あたり）、矛盾上等で委細構わずとことん大真面目にとるか（ 「２０世紀少年」 ）、どちらかしかないんじゃないかなあ。　これはマジメ寄りではあるんですけど、設定のバカバカしさに真面目が負けちゃったか。　見終わった後の感想は「ふーん？」でした。　十字架とか父子の絆とかなんだったのあれ。

［音楽とサントラ］　 音楽は佐橋俊彦によるフルオーケストラ。　映画構造的にはシリアスなので、緊迫シーンのスコアとか、こちらも真面目にやってます。　品格あるストリングスの人物描写と、ブラスが雄大に情景描写する曲が並び、ドシリアスな歴史ドラマの趣きすらあります。　いや、製作意図としてはそれでいいのか。

　しかし、何より聴きたかったのは、佐橋さんお得意の、盛大に気持ちよく鳴る大阪国ファンファーレ。　終盤で流れるのですが、そりゃサントラ買いますがな。　まあ中古で見つけるまで待ちましたけど。　３２曲７９分収録です。 (2025/11/09：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　50%（ボーカル2曲除く30曲中15曲）

TOP OF PAGE　 INDEX：ＳＦ邦画　 INDEX：五十音邦画　 MENU　 HOME

　 オイルメジャー所属のダム技師（モース）が南米の反政府組織に誘拐された。　いったんは誘拐交渉人テリー（クロウ）が派遣されるも、誘拐保険が解約されていたため離任する。　しかし、モースの妻アリス（ライアン）にほだされたテリーは、手弁当で誘拐交渉にあたることになる。　タイトルの「プルーフ・オブ・ライフ」は、人質が存命であることを知らせる「生存証明」の意。

　公開前に、メグ・ライアンとラッセル・クロウの不倫話で盛り上がった、アクション・ラブロマンス(笑)。　アクション映画界隈が２１世紀を迎えるころは、ネゴシエイター（交渉人）映画が花盛りでしたが（エディ・マーフィの「ネゴシエーター」とか、ケビン・スペイシーの 「交渉人」 とか）、本作もその一環でしょうか。　ただ誘拐後の交渉期間が３ヶ月に及ぶ長丁場なので、クロウはいちおう交渉人らしく描かれますが、ネゴシエイターらしい冴えた場面はほとんどなし。　最後はハリウッド映画お約束の人質奪還ドンパチになりますので、長ーい序章と言いますか。
　で、その序章で何を描いたかといいますと、クロウとライアンのラブ・ロマンス。　いやいや旦那の救出を待つ嫁が浮気はあかんだろ。　スニーク・プレビューでも試写を見た観客から文句が出たそうで、二人のベッドシーンがカットされたとか。

　このパッケージだと２時間１５分はいささか長尺なんですが、監督サンはこの二人のロマンスをねっとり描くつもりだったんでしょうね。　その割に二人の心理描写はいまひとつだし、やっぱりお互い惚れ合う展開そのものがちょっとね。　時たま挿入される人質モースの監禁生活は緊迫感を高めて悪くない描写だったし、プロフェッショナリズムに徹した交渉人に人質嫁がほのかに恋情を抱く、あるいはその逆でもいいけど、相思相愛というのは無理がある建付けだったと思う。　悪くはない映画なので、その辺は勿体なかったかな。

　クロウの相棒として、これまた自腹で誘拐対策に協力する、 「ＣＳＩ：マイアミ」 のデヴィッド・カルーソが、裏表のない友情に厚い良い人。　なかなかの儲け役でした。

［音楽とサントラ］　 音楽はダニー・エルフマン。　南米が舞台だけにケーナやアクースティック・ギターをフィーチャーし、色どりとしてシンサイザーを添えたアクション・スコアがメイン。　ただしヒロイックな、メロディで聴かせる曲はなく、派手に鳴るドラムワークの前で様々な楽器がアンサンブル。　音楽は前面に立たない、当時から今どきのアクション映画のシリアス系音楽です。　グレアム・レヴェルよりは高低差があるかな、程度。
　絵に乗ってる時はもちろん問題なく緊迫感を高めてはくれるのですが。　映画音楽だからそれでいいんだけど、せめてしっとりしたシーンはもう少し歌ってくれても良かったのにもったいないと思った次第。　９曲３１分収録。 (2025/11/09：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　44%（9曲中4曲）

TOP OF PAGE　 INDEX：アクション洋画　 INDEX：五十音洋画　 MENU　 HOME

　 出光興産の「ゼアスガソリン」販促のために企画された、ウルトラシリーズ初のタイアップ・ヒーロー劇場映画作品。　実は劇場完全新作としては初めてだということは、今回調べて初めて知りました。

　当時、出光の一連のＣＭに出演していたとんねるずが実質的な主役で、１作目の「ウルトラマンゼアス」はコメディ路線。　防衛チーム「MYDO」はもちろん、出光の「MYDOカード」から。　ただコメディ路線はいいのだけれど、とんねるずの二人のオチャラケた演技が鼻につくというか、ちょっと白ける。　普通にやっても良かったと思うのですが。　ゼアスへの変身に電動歯ブラシ使うとか、旧ウルトラ出演陣のゲスト出演とか笑いが取れる要素はあるので、ＺＡＺやメル・ブルックスみたいに芝居は真面目にやってもいけたんじゃないの？。
　ランニングタイム５０分だし、どうにでもやれたと思うのですが。　もっともギャグを盛るのが前提なので、長坂秀佳（１作目の脚本）がそんなホンを書けるのか不明。　能力ではなく向き不向きの問題で。　悪役宇宙人ベンゼン星人を演じた鹿賀丈史がいたって楽しそうに演じたのが面白い。

　ここで紹介する第２作の悪役宇宙人は神田うの。　良いキャスティング(笑)。　スケジュールの関係で隊長職だったとんねるずが参謀に昇格してチョイ出演になったため、森次晃嗣演じるモロボシ・ダンもとい薩摩萬（サツマ・バン）を新隊長に招聘。　薩摩はもちろん 「セブン」 になる前の青年・薩摩次郎からですが、名前のバンは 「帰ってきたウルトラマン」 の企画段階でキャンセルされた設定、バン・ヒデキからでしょうね。　団時朗さんもニュースキャスター役で友情出演しています。
　その２作目はコメディ路線は捨てて（比較的）真っ当なウルトラもの。　女ベンゼン星人うのが操る、ウルトラマンを模した悪役キャラ「シャドー」との対決というウルトラ物でお馴染みの設定。　主人公（関口）がアンディ・フグや角田信朗が師範代を務める正道会館に入門して鍛えるあたりは レオ っぽいかな。　この建付けだから森次さん呼んだのでしょうか。　でもこうなるとランニングタイム６６分はちょっと長い。　あと１０分削って良かったんじゃ。　まあそれなりの出来の映画でした。　最後のセリフが「ゼアス…、我々の希望」なんだけど、いやもうガッツリ宣伝しとるなあ(笑)。

　ちなみに、劇中の給油シーンで表示されたガソリン、１５リッター1730円、単価５８円とあるんだが計算間違ってるぞおい。　政府の統計によれば1997年の平均ガソリン価格はリッター１０７円。　今の価格はその１．５倍！。　暫定税率廃止は年末だそうですが（それまでは補助金が出るらしい）、早くしてくれよ。　つうか代替財源とかまだ言ってるんだけど「暫定」だろ？　なに言ってんだあの馬鹿共は。　出費を絞るんだよ。

［音楽とサントラ］　 「ゼアス２」のサントラです。　「１」は単独サントラ盤は出ていない模様。　音楽は１，２ともにジェイムス下地。　ウルトラシリーズではまったく名前を聴かない人ですが、ＣＭ音楽やポップス畑の方です。　とんねるずの曲を担当していた関係の登板でしょう。

　だけど主題歌「シュワッチ！ウルトラマンゼアス」はちゃんと特撮ソング。　歌詞はお笑い路線だけど（１作目の監督が作詞）、メロディは普通にウルトラソングとして聴けますし、サビのところとかつい鼻歌出ちゃう。　いや俺がこの手の曲好きだからというのもあるけどよ。　ただ、とんねるずはもう少し真面目に歌って欲しかった。　こういうのはかっちり歌った方が笑いが取れると思う。
　この主題歌は残念ながら本盤には未収録で、公開当時プロモーション用非売品ＣＤのみでしか入手できなかったとか。　私は、本曲が初商品化された「ウルトラマン 主題歌大全集」（右写真）で供給しました。

　本盤収録のスコアは、「１」の音楽が混在しているわけじゃなく第２作のみの収録。　実は 防衛チーム・テーマ集「ワンダバ!!」 に収録された本シリーズの防衛隊「MYDO」メカニックの出動テーマ、"SKY SHARK" を聴いた私はそれが大層お気に入り。　盛大なファンファーレからクッソ元気な主題につながるいかにもウルトラ防衛チームの楽曲でして、他の楽曲でも良いものが聴けるのではないかと映画も見ずにサントラを購入してしまったのです。　サントラ買ってから、いちおう本編も見たという。　何やってんだ。
　そんなわけでサントラ聴いてみましたら、一部コミカル描写の電子音楽曲は入るにしろ、オーケストラで生真面目にスコアやってます。　特に主題歌のフレーズをあちこちに仕込んでますので、一本の映画のサントラとしては十分な仕上がりだと思います。　ちなみに "SKY SHARK" は 「ワンダバ!!」 収録バージョンに３０秒ほどの後奏が追加された少し長いバージョンです。

　その "SKY SHARK" は良かったんだけど、未収録楽曲もいくつか。　特に主人公の正道会館での訓練シーンや、クライマックスでのゼアス優勢の戦いでの主題歌アレンジ曲が未収録なのは勿体ない。　そういうのが聴きたいのに。　そのうち完全盤が出るかな。　日コロじゃなくソニーだから出ないか。
　未収録といえば、最大の問題は、MYDO隊員出動時の「MYDOのテーマ」が未収録なこと。　♪M･Y･D･O、ま〜いど〜、まいど・まいど・まいど♪ とひたすら「まいど」を連呼する、ウルトラお馴染みのスキャットとは言え大笑い。　「ワンダバマイド」と表現されてることもありますが、いやワンダバちゃうやろ。
　これがねえ、音源入手したくて探したんだけど商品化されているかどうかわからない。　ネットに上げてる人がいるから存在はするとは思うのですが。　 「ワンダバ!!」 はこっちも収録して欲しかった。　大人の事情でもあるのでしょうか。　"MYDO" に商標権でも設定されてるか？
　ということで、中古なのにほぼ新品と同じという微プレミア価格で購入しましたが、楽しませていただきました。　「ゼアス」ブロックは１３曲２７分収録。

　カップリングされたのは、ゼアス併映のアニメ作品「ウルトラニャン 星空から舞い降りたふしぎネコ」（ＣＤは「ウルトラニャン」のみ表記。右写真はブックレットのスチルを引用）。　 超ネコ戦士ウルトラニャンが猫密売業者と戦う話だと。　未ＤＶＤ化。　音楽の山本健司は編曲メインで活動されている方。　作曲もやってるけど、ウィキ見てみたら、ＢＧＭで盗作騒ぎも起こしてますね。
　シンセサイザーが主の優しい楽曲が大半ですが、雄大な曲もちらちらとあって、書ける人なのに勿体ない。　魔が差したんでしょうかね。　本編アニメにはまったく興味がないですが、音楽は良いですよ。　１４曲２１分収録です。　シングル未発売のエンド主題歌「MY SWEET LOVE SONG」も収録。 (2025/11/03：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　「ゼアス」62%（13曲中8曲）、「ニャン」54%（主題歌除く13曲中7曲）

TOP OF PAGE　 INDEX：ウルトラシリーズ　 INDEX：五十音邦画　 MENU　 HOME

　 アメリカン・フィルム・インスティテュート選出の「アメリカ映画ベスト100」第１位に輝く、言わずと知れた歴史に残る大名作。　オーソン・ウェルズは若干２５歳、ウェルズ劇団員であり彼の映画の常連ジョセフ・コットンの映画デビュー作。　今回調べたら編集がロバート・ワイズなのな。　ビックリした。
　昔見て、いたって面白かったという記憶はありつつも４０年ぶり２度目の鑑賞。　フラッシュバックなど脚本の技法、パンフォーカスや長回し、足元からのアップショットなど、撮影技法も当時としては革新的だったらしいんだけど私ゃ玄人筋ではないのでその辺はどうでもいいかな。　新聞王ハーストをモデルにしたケーンの生涯を追う新聞記者の顔がほとんど映らないのはなるほどね、と思いました。

　でもまあ、確かに見応えはあるのよね。　ただ、お話の鍵となる「バラのつぼみ」（Rosebud）という言葉が、最初こそウェルズの口の極端なアップショットで目立ちますが、その後はいまいち強調されていない気もする。　とはいえ、存命だったハーストは、自分がこんな風に描かれたらそら上映妨害もするわな、と納得。
　傑作だけに再見しても面白かったのは確かですが、すごく映画と距離を置いて冷静に見ている自分を発見。　「愛情を得るために他人に施す」ケーンの人物像も、まあそんな人もいるよね、と今見るとそれほどいびつでもない。　作品内のケーンの年齢に近いと感じ方はそんなもんでは？と思うのでした。

［音楽とサントラ］　 音楽はオーソン・ウェルズとラジオ時代からの盟友であるベニー・ハーマン。　本作が劇場用映画第１作であり、オスカーにノミネートされています。
　本盤の録音はサウンドトラックではなくオリジナル・スコア演奏。　「市民ケーン」だとチャールズ・ゲルハルト／ナショナル・フィルのもの等が有名ですが、これはオーストラリア交響楽団が出した「バーナード・ハーマン・アンソロジー」シリーズの第２巻。　ゲルハルト版は組曲でしたが、本盤はフル・アルバムです。　ダイナミックですが端正なハーマンの音楽を再現。　後年のソリッドな雰囲気を彷彿とさせる、いっそホラー映画みたいな楽曲すら展開されます。　ただ、ストーリーの進行に合わせてハシャイだ曲も多く聴かれるのは意外。
　作中ではオペラも歌われてますが、これって既成曲じゃなく、ウェルズが「面白いことができるぞ」って書かせたんですってね。

　ハーマンの音楽は論客が多くて怖いのでこんなもんにしておくかな。　俺はそんなにこの人に思い入れないので。　「市民ケーン」の音楽は本盤以外にも再演奏や組曲、本編スコアをそのまま商品化したもの等多数あります。　本盤は２１曲４４分収録。 　 (2025/11/03：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　57%（21曲中12曲）

TOP OF PAGE　 INDEX：ヒューマン映画　 INDEX：五十音洋画　 MENU　 HOME

　 1999年４月に放映された、とんねるずの木梨さん主演のコメディドラマ。　ちょうど、本サイトを開設した頃ですね。　私は基本的に日本のドラマは刑事物以外ろくに見てませんのでもちろん見てません。

［音楽とサントラ］　 それどころか、 映画史に残った超大名作 を恐れ多くもパロったタイトルのドラマなぞ、ブックオフ新所沢店で本盤を見かけるまで存在自体知りませんでした。　フザけたタイトルだななんじゃこりゃ、と思ったけど、音楽が佐橋俊彦なのでエイヤと購入。

　さすが佐橋さん、相変わらずフルオケでブリバリと鳴らしてくれていたく満足。　手抜きとは言いませんが省エネで、テーマとなるメロディはひとつだけでそれをバリエーション展開。　他のメロディが欲しい時は、ブラームスの「ハンガリー舞曲 第５番」とか引用してすませています。　また、タイトル音楽ではこのテーマメロディを「ツァラトゥストラはかく語りき」序曲風に盛り付け、荘厳さを出したりしてます。　良い意味での職人仕事の醍醐味を聴かせてくれました。　３３曲４４分収録です。

　このドラマ、ＤＶＤ化もされてないようだし完全に埋もれてしまった作品ですが、使われた楽曲群も単純に電波の上で消費されておしまいになっちゃうってことで、ホント勿体ない。　中古とはいえサントラ盤が残ってて良かったです。　日本のテレビドラマのサントラは、ケースから見える位置に作曲家の名前がないことが多いですが、載っけてくれればこうやって買うこともあるのにな。　レコード各社さんには一考をお願いしたいところです。 (2025/11/03：管理人から一言)

【個人的収録曲ヒット率】　82%（33曲中27曲）

TOP OF PAGE　 INDEX：その他テレビ日本　 INDEX：五十音テレビ日本　 MENU　 HOME

Copyright[C] 1999-2025 ＦＵＮＡ ← →