| ひねもすサウンドトラック | （１） |
| ２０２５年１０月掲載 |
Soundtracks, A Go Go!
（このページの掲載作品： 人間の証明 ／ 野性の証明 ／ ベン・ハー［東芝EMI盤］ ／ ブルベイカー ／ アルカトラズからの脱出／突撃隊 ／ モニカ・マンシーニ ／ ドリームズ・オブ・ジョニー・マーサー ／ ニュー・シネマ・パラダイス（モニカ・マンシーニ） ／ イブニング・ウィズ・デイブ・グルーシン ／ ガガーリン 世界を変えた１０８分 ／ ドリーム［スコア盤］ ／ ドリーム［コンピレーション盤］ ／ ザ・ムーン ／ ＮＨＫスペシャル 銀河宇宙オデッセイ ／ 宇宙兄弟（アニメ）［スコア盤］ ／ 宇宙兄弟（アニメ）［コンピレーション盤］ ）
（ディスクデータは、メディア種別／発売年／レコード会社／レコードナンバー／原盤会社／定価／中古購入価格の順に記載）
人間の証明 PROOF OF THE MAN (1977)
音楽：大野雄二
監督：佐藤純彌／原作：森村誠一「人間の証明」
出演：岡田茉莉子、松田優作、ジョージ・ケネディ、ジョー山中、三船敏郎、岩城滉一、鶴田浩二、ハナ肇、鈴木瑞穂、地井武男、峰岸徹、夏八木勲、范文雀、長門裕之、ブロデリック・クロフォード、リック・ジェイソン、ロバート・アール・ジョーンズ
CD／1998／カルチュア・パブリッシャーズ（ボルケーノ）／CPC8-3002／アトランティック（ワーナー・パイオニア）／\2,279／\1,659［中古］
当時は、今でいう社会現象となり、後の映画興行の姿を変えてしまった、言わずと知れた角川映画第二作。 日本にやって来た黒人青年（ジョー山中）の殺人事件捜査が骨子。 劇場公開を見に行きましたが、管理人は当時は中学生なので、「映画を見た」という事実にいたく満足した覚えが。 後に地上波放映で見た時は、「あれ？これって駄作では？」と思ってしまいましたが。
今回、４５年ぶりに３度目の鑑賞となりましたが、決して良い作品ではないですよね。 全体に冗長でいらん描写が多すぎる。 交通事故の被害者が不倫関係の嫁（范文雀）で、旦那（長門）と浮気相手（夏木）が口論するとかいらんだろそんなシーン。
あと、これは原作の問題だろうけど（読んだけど完全に忘れた）、関係者の間に因縁があり過ぎ。 デザイナー八杉（岡田）が戦後米兵に襲われた時に、助けようとして殺された男の息子が担当の刑事（松田）だとか、その彼がアメリカに捜査行った時の相棒（ケネディ）が殺した方の米兵の一人だとか。 偶然って恐ろしいねぇ(笑)。
まあ、「瞼の母」と 「砂の器」 をやりかたかったのはよくわかる。 ハナ肇、松田の刑事コンビが過去をほじくり返すのは「砂の器」のイメージ。 物腰は柔らかいけどきっちり捜査を進めるハナさんが良い味だしてます。
ハナさんだけじゃなく、とにかくオールスターキャストなので今見ると懐かしい。 鶴田浩二が出てたの忘れてました。 徳間／大映の 「黄金の犬」 も出てましたけど、出版社系が仕掛けた大作でどちらもミソつけたのは可哀そうですなあ。
あとアメリカのキャスト。 ジョージ・ケネディはもちろんのこと、ブロデリック・クロフォード、 ロバート・アール・ジョーンズ、リック・ジェイソンとか出てたのね。 皆さん、芝居うまいわやっぱり。 若かりし松田優作とか初期の 「太陽にほえろ！」 まんまでいまいちだもんね。 存在感はあるけど。
今回、４５年ぶりに３度目の鑑賞となりましたが、決して良い作品ではないですよね。 全体に冗長でいらん描写が多すぎる。 交通事故の被害者が不倫関係の嫁（范文雀）で、旦那（長門）と浮気相手（夏木）が口論するとかいらんだろそんなシーン。
あと、これは原作の問題だろうけど（読んだけど完全に忘れた）、関係者の間に因縁があり過ぎ。 デザイナー八杉（岡田）が戦後米兵に襲われた時に、助けようとして殺された男の息子が担当の刑事（松田）だとか、その彼がアメリカに捜査行った時の相棒（ケネディ）が殺した方の米兵の一人だとか。 偶然って恐ろしいねぇ(笑)。
まあ、「瞼の母」と 「砂の器」 をやりかたかったのはよくわかる。 ハナ肇、松田の刑事コンビが過去をほじくり返すのは「砂の器」のイメージ。 物腰は柔らかいけどきっちり捜査を進めるハナさんが良い味だしてます。
ハナさんだけじゃなく、とにかくオールスターキャストなので今見ると懐かしい。 鶴田浩二が出てたの忘れてました。 徳間／大映の 「黄金の犬」 も出てましたけど、出版社系が仕掛けた大作でどちらもミソつけたのは可哀そうですなあ。
あとアメリカのキャスト。 ジョージ・ケネディはもちろんのこと、ブロデリック・クロフォード、 ロバート・アール・ジョーンズ、リック・ジェイソンとか出てたのね。 皆さん、芝居うまいわやっぱり。 若かりし松田優作とか初期の 「太陽にほえろ！」 まんまでいまいちだもんね。 存在感はあるけど。
［音楽とサントラ］
懐かしいですな、ジョー山中の歌う『人間の証明のテーマ』。 当時ビッグヒットとなりましたし、私もシングル買い込んでさんざん聞きました。 英語詞ですが、今でもソラで歌えます。
主題歌の挿入箇所も上手。 頭でも終わりでもなく、決定的な種明かしをするクライマックスの「崖」のシーン一発のみ。 この辺はセンスが良い。 場所が崖なのはちょっとと思いますが。
もちろん作曲と本編音楽は、70年代から今に至るまで大活躍の大野雄二。 久しぶりに見て・聴きましたけど、 「ルパン三世」 や 「大追跡」 を彷彿とさせるゴキゲン（死語）なフュージョン。 たまに 「ＮＨＫ 小さな旅」 があったりするけど、こんなチャラチャラしてたっけ？ 本編の「重さ」みたいなものはほとんどなくて、かなり明るめのアクション映画スコアです。 捨て曲なしの１３曲４２分収録。
ところで、もともとアルバム化されたのはレコード用録音ですが、それはそれとして本編スコアで未収録のものもかなりあるんですね。 特にクッソ長いファッションショーシーンのディスコ調の曲。 こんなのシネマ館あたりが商品化してないのかと思えば、ちゃんとブルーレイ特典として、本編音楽フル収録ＣＤになってる。 うーん、5000円オーバーか。悩ましいところです。 (2025/10/25：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 100%
主題歌の挿入箇所も上手。 頭でも終わりでもなく、決定的な種明かしをするクライマックスの「崖」のシーン一発のみ。 この辺はセンスが良い。 場所が崖なのはちょっとと思いますが。
もちろん作曲と本編音楽は、70年代から今に至るまで大活躍の大野雄二。 久しぶりに見て・聴きましたけど、 「ルパン三世」 や 「大追跡」 を彷彿とさせるゴキゲン（死語）なフュージョン。 たまに 「ＮＨＫ 小さな旅」 があったりするけど、こんなチャラチャラしてたっけ？ 本編の「重さ」みたいなものはほとんどなくて、かなり明るめのアクション映画スコアです。 捨て曲なしの１３曲４２分収録。
ところで、もともとアルバム化されたのはレコード用録音ですが、それはそれとして本編スコアで未収録のものもかなりあるんですね。 特にクッソ長いファッションショーシーンのディスコ調の曲。 こんなのシネマ館あたりが商品化してないのかと思えば、ちゃんとブルーレイ特典として、本編音楽フル収録ＣＤになってる。 うーん、5000円オーバーか。悩ましいところです。 (2025/10/25：管理人から一言)
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野性の証明 PROOF OF THE WILD (1978)
音楽：大野雄二
監督：佐藤純彌／原作：森村誠一「野性の証明」
出演：高倉健、中野良子、夏木勲、薬師丸ひろ子、ハナ肇、梅宮辰夫、舘ひろし、原田大二郎、佐藤オリエ、松方弘樹、金子信雄、中丸忠雄、成田三紀夫、北村和夫、田村高廣、鈴木瑞穂、山本圭、北林谷栄、リチャード・アンダーソン、三國連太郎、丹波哲郎 （ナレーター）田口計
CD／1995／日本コロムビア／COCA-12497／日本コロムビア／\1,800／\294［中古］
一集落が全滅する大量虐殺事件。 ただ一人の生き残り頼子（薬師丸）はその現場に居合わせた、自衛隊非合法特殊部隊の元一等陸曹・味沢（高倉）を父親として身を寄せていた。 集落のあった岩手県羽代市（架空の市）は大場一族（三國、舘）が支配しており、その汚職を追う新聞記者（中野）の姉は集落での虐殺の犠牲者だった。 虐殺の犯人として味沢を疑う刑事（夏木）は（中略）それやこれやで、自衛隊含め権力側は、非合法部隊や陰謀の発覚を恐れて３人の抹殺に乗り出す。
あらすじ書いてて、けっこう面倒くさい話だったので端折りました。 ご存知、薬師丸ひろ子を銀幕デビューさせた角川の劇映画第三作。 映画化前提に角川春樹から原作執筆を依頼されたのは西村寿行。
…え？ ジュコーじゃないの？ あー森村さんか。 自衛隊非合法部隊とか、日本に企業が完全支配する街があるとか、この辺の設定はジュコーっぽいよね。 「ＫＴ」 とかにも出てきたけど、この当時の自衛隊に非合法部隊を置く甲斐性があったら逆に驚くわ。 企業が司法も報道も支配する都市とか 「ワイルド７」 の原作エピソード、「灰のとりで」とか「緑の墓」を思い出しちゃったよ。
まあ、この頃の「野性時代」（角川の小説誌）とか角川文庫、あるいは６０〜７０年代日本のエンタテインメントの潮流ってこんな感じだったよね。 日本では一般市民のあずかり知らぬところで陰謀が企てられているという。 フリーメイソンとかイルミナティとか、世の中の人って陰謀好きよな。
これも４０年ぶりに見返したけど、尺をふんだんに使うことが許された「大作監督」佐藤純彌、やっぱりゆるゆると冗長です。 この辺が同じ大作職人のロバート・ワイズと違うところ。 まあでも、健さんの存在感と役者さんの顔ぶれで飽きずに見られました。 最後のアクションも凄いしね。
役者と言えば、初見の時以来、さまざまな邦画見た後に再び見ると違う感想が。 松方（特殊工作隊長）、梅宮（ヤクザ）、成田（大場の懐刀）、そして小者感満載の金子信雄とくると東映実録路線と勘違いしそうになりますわ。 文太とか北大路とか拓ちゃんや室田はなぜいない？ 加えて、東宝の嫌味な三番手悪役・中丸忠雄とか、 あぶ刑事 の鷹さんが 「人間の証明」 の岩城滉一同様のドチンピラのボンボンとか、いやもう興味深い。 タンバ様と健さんは 「網走番外地」 だしね。 役者さんたち眺めてるだけで浸れます。 良い映画だなあ。
あらすじ書いてて、けっこう面倒くさい話だったので端折りました。 ご存知、薬師丸ひろ子を銀幕デビューさせた角川の劇映画第三作。 映画化前提に角川春樹から原作執筆を依頼されたのは西村寿行。
…え？ ジュコーじゃないの？ あー森村さんか。 自衛隊非合法部隊とか、日本に企業が完全支配する街があるとか、この辺の設定はジュコーっぽいよね。 「ＫＴ」 とかにも出てきたけど、この当時の自衛隊に非合法部隊を置く甲斐性があったら逆に驚くわ。 企業が司法も報道も支配する都市とか 「ワイルド７」 の原作エピソード、「灰のとりで」とか「緑の墓」を思い出しちゃったよ。
まあ、この頃の「野性時代」（角川の小説誌）とか角川文庫、あるいは６０〜７０年代日本のエンタテインメントの潮流ってこんな感じだったよね。 日本では一般市民のあずかり知らぬところで陰謀が企てられているという。 フリーメイソンとかイルミナティとか、世の中の人って陰謀好きよな。
これも４０年ぶりに見返したけど、尺をふんだんに使うことが許された「大作監督」佐藤純彌、やっぱりゆるゆると冗長です。 この辺が同じ大作職人のロバート・ワイズと違うところ。 まあでも、健さんの存在感と役者さんの顔ぶれで飽きずに見られました。 最後のアクションも凄いしね。
役者と言えば、初見の時以来、さまざまな邦画見た後に再び見ると違う感想が。 松方（特殊工作隊長）、梅宮（ヤクザ）、成田（大場の懐刀）、そして小者感満載の金子信雄とくると東映実録路線と勘違いしそうになりますわ。 文太とか北大路とか拓ちゃんや室田はなぜいない？ 加えて、東宝の嫌味な三番手悪役・中丸忠雄とか、 あぶ刑事 の鷹さんが 「人間の証明」 の岩城滉一同様のドチンピラのボンボンとか、いやもう興味深い。 タンバ様と健さんは 「網走番外地」 だしね。 役者さんたち眺めてるだけで浸れます。 良い映画だなあ。
［音楽とサントラ］
音楽は「人間の証明」につづいて大野雄二。 まずは
「ベン・ハー」
をオマージュしたタイトル・テーマでかっ飛ばします。 俺、初見時に「ベン・ハー」はどっかで聴いてたらしく、なんか聴いたことある曲と思った記憶は確実。
基本的には「人間の証明」と同じくフュージョン基調ですが、オケの編成は大きくなりシンフォニックなスコアも。 ふわっとしたフルートのアンサンブル、波打ったりピーヒョロロしたりするシンセサイザー、そして泣きのサックス、リズムセクションのようにキレのいいブラスと、この頃から今まで大野雄二は大野雄二です。
大ヒットした町田義人の主題歌「戦士の休息」、同じく町田の歌う挿入歌「銀河を泳げ」（本編未使用）含めて捨て曲なしの１１曲４１分収録。
さて、「人間の証明」と同じく、アルバム化されたのはレコード用録音で、本編スコアで未収録のものがかなりある。 こんなのシネマ館あたりが商品化してないのかと思えば、ちゃんとブルーレイ特典として、本編音楽フル収録ＣＤになってる。 うーん、5000円オーバーか。悩ましいところです。 (2025/10/25：管理人から一言)
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基本的には「人間の証明」と同じくフュージョン基調ですが、オケの編成は大きくなりシンフォニックなスコアも。 ふわっとしたフルートのアンサンブル、波打ったりピーヒョロロしたりするシンセサイザー、そして泣きのサックス、リズムセクションのようにキレのいいブラスと、この頃から今まで大野雄二は大野雄二です。
大ヒットした町田義人の主題歌「戦士の休息」、同じく町田の歌う挿入歌「銀河を泳げ」（本編未使用）含めて捨て曲なしの１１曲４１分収録。
さて、「人間の証明」と同じく、アルバム化されたのはレコード用録音で、本編スコアで未収録のものがかなりある。 こんなのシネマ館あたりが商品化してないのかと思えば、ちゃんとブルーレイ特典として、本編音楽フル収録ＣＤになってる。 うーん、5000円オーバーか。悩ましいところです。 (2025/10/25：管理人から一言)
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ベン・ハー［東芝EMI盤］ BEN-HUR (1959)
音楽：ミクロス・ローザ
演奏：カルロ・サヴィーナ指揮ローマ交響楽団（Carlo Savina conducts the Symphony Orchestra of Rome）
監督：ウィリアム・ワイラー／原作：ルー・ウォーレス「ベン・ハー：キリストの物語」
出演：チャールトン・ヘストン、ジャック・ホーキンス、ヒュー・グリフィス、スティーヴン・ボイド、ハイヤ・ハラリート、マーサ・スコット、キャシー・オドネル、サム・ジャッフェ
CD／1989／東芝EMI／TOCP-5966／EMI／\2,620／\1,000［中古］
アカデミー賞１１部門最多受賞記録を持つ、ヒストリカル・マスターピース。 ユダ（イスラエル）の街で生まれ育ったジュダ・ベン・ハー（ヘストン）の苦難の人生を、キリストの誕生と受難に絡めて描いています。
ランニングタイム３時間半の超大作なので、今回は見返すことは諦め、あまりに有名な二輪戦車競走とか良いところをつまみ食い。 やっぱり重厚かつ壮大な映画です。
しかし、チャールトン・ヘストンってお爺ちゃんになってからの印象が長いので、久しぶりに「青年」のヘストンを見たら、若いとはいえやたら存在感あるのね。 「ベン・ハー」当時３６歳ですがとんでもねえ貫禄です。
ランニングタイム３時間半の超大作なので、今回は見返すことは諦め、あまりに有名な二輪戦車競走とか良いところをつまみ食い。 やっぱり重厚かつ壮大な映画です。
しかし、チャールトン・ヘストンってお爺ちゃんになってからの印象が長いので、久しぶりに「青年」のヘストンを見たら、若いとはいえやたら存在感あるのね。 「ベン・ハー」当時３６歳ですがとんでもねえ貫禄です。
［音楽とサントラ］
これまたオールタイム・ベストというか、既に映画音楽としては殿堂入りになってるミクロス・ローザの音楽です。 ダイナミックなテーマ、キリスト、ベン・ハー、その妹エスターそれぞれのモチーフを設定し、さらにユダヤ音楽の旋律も随所に取り入れてます。
とにかく長い映画なのでそれぞれのシーンもまた長いのね。 例えばユダヤの地に到着するローマ軍の行進、競争前の二輪戦車のパレードとかえんえんとやるのですが、その間はローザの音楽をがっつり流す。 長いシーンをたっぷり「見せる」だけでなく、ダイナミックで変化に富んだ楽曲をたっぷり「聴かせる」映画でもあったのでした。 １４曲４０分収録です。
本盤は、1960年にＭＧＭレコードから出たＬＰのＣＤ化で、カルロ・サヴィーナが指揮したローマ交響楽団によるレコード用録音。 ところが、タイトル音楽とともに多くのカバー演奏が存在する、先に書いた "Parade Of The Charioteers"（二輪戦車のパレード）がなぜか含まれない。 サヴィーナに演奏を依頼する段階で落ちたのでしょうか。
これ以前にローザ自身が指揮したＭＧＭオーケストラによる演奏はあったそうですが、アメリカ音楽家組合と揉めたため（まーたユニオンとかそういう話か？）リリースできず、サヴィーナによって再度録音されたそうです。 ローザさん、演奏中は指揮するサヴィーナの傍にずっと陣取ってたらしいですが悔しかったんだろうな。 もちろん、ローザの録音はその後に商品化されています。 (2025/10/25：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 100%
とにかく長い映画なのでそれぞれのシーンもまた長いのね。 例えばユダヤの地に到着するローマ軍の行進、競争前の二輪戦車のパレードとかえんえんとやるのですが、その間はローザの音楽をがっつり流す。 長いシーンをたっぷり「見せる」だけでなく、ダイナミックで変化に富んだ楽曲をたっぷり「聴かせる」映画でもあったのでした。 １４曲４０分収録です。
本盤は、1960年にＭＧＭレコードから出たＬＰのＣＤ化で、カルロ・サヴィーナが指揮したローマ交響楽団によるレコード用録音。 ところが、タイトル音楽とともに多くのカバー演奏が存在する、先に書いた "Parade Of The Charioteers"（二輪戦車のパレード）がなぜか含まれない。 サヴィーナに演奏を依頼する段階で落ちたのでしょうか。
これ以前にローザ自身が指揮したＭＧＭオーケストラによる演奏はあったそうですが、アメリカ音楽家組合と揉めたため（まーたユニオンとかそういう話か？）リリースできず、サヴィーナによって再度録音されたそうです。 ローザさん、演奏中は指揮するサヴィーナの傍にずっと陣取ってたらしいですが悔しかったんだろうな。 もちろん、ローザの録音はその後に商品化されています。 (2025/10/25：管理人から一言)
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ブルベイカー BRUBAKER (1980)
音楽：ラロ・シフリン
監督：スチュアート・ローゼンバーグ／原作：トーマス・Ｏ・マートン、ジョー・ハイアムズ "ACCOMPLICES TO THE CRIME: THE ARKANSAS PRISON SCANDAL"（犯罪の共犯：アーカンソー刑務所の醜聞）
出演：ロバート・レッドフォード、ヤフェット・コットー、マーレイ・ハミルトン、ジェーン・アレクサンダー、デヴィッド・キース、モーガン・フリーマン、Ｍ・エメット・ウォルシュ
CD／2003／INTRADA／Intrada Special Collection Volume10／INTRADA／\4,179［輸入盤］
アーカンソー州ウェークフィールド刑務所。 囚人たちによる高度な自治という触れ込みの刑務所だったが、囚人同士の暴行や虐待、そして賄賂による不公平がまかり通る荒んだ状況だった。 新任の刑務所長ヘンリー・ブルベイカー（レッドフォード）は、実態を掴むため囚人として刑務所に潜入する。
レッドフォードらしい社会告発系映画。 何が凄いってこれが実話ベースというのに驚きます。 「委員」の囚人が銃を持たされて他の囚人管理するって、1960年代のアメリカって頭おかしいだろ。 囚人数に応じたベッドがないとか食材が着服されて横流しはまだしも、刑期が終わってる囚人が出所しないでまだいたり、所内で殺人事件が起きても警察来なかったり、脱獄囚追跡も警察抜きで所長と「委員」が追うって、そんなことある？
多少の誇張はあっても基本的な事実は正しいでしょうから、なんつうか凄い国だよねアメリカ。
土地の実力者たちは、安価な労働力としてしか囚人を見ておらず、過去の所内大量殺人すらもみ消そうとします。 終始一貫、毅然として「正義」を貫き、激昂して声を荒げることなく淡々としてるブルベイカーの人物像は、ローゼンバーグ監督の個性にもあってますね。
揉み消し依頼の時の会話がまた渋い。
「妥協はしないの？」
「作戦としてはしてもいい。だが原則はダメだ」
リベラル派を貫き続けたロバート・レッドフォードの面目躍如たる、アカデミー脚本賞受賞の良作。 苦いハッピーエンド？で見られるレッドフォードの表情は絶品。 オススメします。
レッドフォードらしい社会告発系映画。 何が凄いってこれが実話ベースというのに驚きます。 「委員」の囚人が銃を持たされて他の囚人管理するって、1960年代のアメリカって頭おかしいだろ。 囚人数に応じたベッドがないとか食材が着服されて横流しはまだしも、刑期が終わってる囚人が出所しないでまだいたり、所内で殺人事件が起きても警察来なかったり、脱獄囚追跡も警察抜きで所長と「委員」が追うって、そんなことある？
多少の誇張はあっても基本的な事実は正しいでしょうから、なんつうか凄い国だよねアメリカ。
土地の実力者たちは、安価な労働力としてしか囚人を見ておらず、過去の所内大量殺人すらもみ消そうとします。 終始一貫、毅然として「正義」を貫き、激昂して声を荒げることなく淡々としてるブルベイカーの人物像は、ローゼンバーグ監督の個性にもあってますね。
揉み消し依頼の時の会話がまた渋い。
「妥協はしないの？」
「作戦としてはしてもいい。だが原則はダメだ」
リベラル派を貫き続けたロバート・レッドフォードの面目躍如たる、アカデミー脚本賞受賞の良作。 苦いハッピーエンド？で見られるレッドフォードの表情は絶品。 オススメします。
［音楽とサントラ］
音楽はラロ・シフリン。 ローゼンバーグ監督の刑務所映画でシフリンとくれば、やはり思い出すのが
「暴力脱獄」
。 あちらと同じく、暖かく素朴な雰囲気のテーマ曲は同じ。 メロディ自体はまったく違うのに受ける印象が似通ってます。
このテーマとなるメロディはサスペンスや心理描写に展開。 間を埋めるのは、カントリーやブルーグラス、ブルース・ジャズの数々。 明るめの音楽ってこんなにあったっけ？と思ってしまった。 もちろん、ゼロではないのですが。
ボーカル曲が４曲。 うち１曲が本編に使われた "All For The Love Of Sunshine"。 そう、あの 「戦略大作戦」 から生まれて大ヒットした名歌です。 IMDBによれば、再び戦略と同じハンク・ウィリアムズが歌ってます。 そんなこんなで、聴いてて楽しい３３曲６５分でした。 INTRADA による初の商品化。 (2025/10/19：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 55%（ボーカル4曲除く29中14曲）
このテーマとなるメロディはサスペンスや心理描写に展開。 間を埋めるのは、カントリーやブルーグラス、ブルース・ジャズの数々。 明るめの音楽ってこんなにあったっけ？と思ってしまった。 もちろん、ゼロではないのですが。
ボーカル曲が４曲。 うち１曲が本編に使われた "All For The Love Of Sunshine"。 そう、あの 「戦略大作戦」 から生まれて大ヒットした名歌です。 IMDBによれば、再び戦略と同じハンク・ウィリアムズが歌ってます。 そんなこんなで、聴いてて楽しい３３曲６５分でした。 INTRADA による初の商品化。 (2025/10/19：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 55%（ボーカル4曲除く29中14曲）
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アルカトラズからの脱出／突撃隊 ESCAPE FROM ALCATRAZ (1979) / HELL IS FOR HEROES (1961)
「アルカトラズからの脱出」… 音楽：ジェリー・フィールディング／ 監督・製作：ドン・シーゲル／原案：Ｊ・キャンベル・ブルース "ESCAPE FROM ALCATRAZ"／ 出演：クリント・イーストウッド、パトリック・マッグーハン、ポール・ベンジャミン、ロバーツ・ブロッサム、ジャック・チボー、フレッド・ウォード、ラリー・ハンキン、フランク・ロンジオ、ダニー・グローヴァー
「突撃隊」… 音楽：レナード・ローゼンマン／ 監督：ドン・シーゲル／原作・共同脚本：ロバート・ピロッシュ "HELL IS FOR HEROES"／ 出演：スティーブ・マックィーン、ボビー・ダーリン、フェス・パーカー、ジェームズ・コバーン、ハリー・ガーディノ、ボブ・ニューハート、ニック・アダムス、マイク・ケリン、ボブ・マリキン、ジョセフ・フーバー
CD／2013／INTRADA／Intrada Special Collection Volume 236／INTRADA／\----／\4,400［輸入盤中古］
ドン・シーゲル監督作品をカップリングしたＣＤです。
「アルカトラズからの脱出」…難攻不落、脱獄不可能とされた 「ザ・ロック」 こと米国アルカトラズ刑務所からの脱獄に唯一成功するも、その後は杳として行方の知れぬ生死不明の実在の３名、フランク・モリス、アングリン兄弟を描いた脱獄サスペンス。 ロケもアルカトラズでやったそうです。
「ザ・ロック」は1963年に閉鎖されましたが、今年になってトランプ大統領が（どこまで本気か知りませんが）再開の指示を出したので、サイトに取り上げるタイミングもタイムリーでしょ？（そうか？）。
モリス（イーストウッド）がザ・ロックに到着・入獄するところから始まり、あとはほぼ刑務所内の描写のみ。 モリスやアングリン兄弟（チボー、ウォード。ちなみに全員実名）のシャバ時代の回想とかいっさいありません。
前半こそ所内の生活を、架空の話や、別の時間線で実際にあったエピソードを盛り込んでモリスが感じる不条理を描きますが、中盤からは丁寧に丁寧に脱獄のプロセスを描きます。
いつにも増して寡黙なイーストウッド、脱獄に協力する囚人たちのゆるいチームワークなど、静かな映画ですが十分な迫力。 多分に誇張されているであろう超冷酷なマッグーハン所長も含めて、脱獄サスペンスというよりプロジェクトＸ的な味わい。 劇場公開時から数えて３回目の鑑賞ですが、今回も傑作という思いを新たにしました。 淡々とした描写なのになぜこうも刺さるのか。 演出の凄みが良くわかる映画です。 ちなみに本作の権利をめぐってシーゲルとイーストウッドは喧嘩別れ。 二人の最後のコラボ作となりました。
「突撃隊」…ドイツの誇る防衛要塞群、ジークフリート線。 その目前で、本隊が留守にする丸一日の間、たった６名で拠点を守る命令をされた分隊。 独断専行が理由で主任軍曹から一兵士に降格されたリース（マックイーン）は、攻撃は最大の防御と考えて目前のドイツのトーチカを襲撃しようとする。
「荒野の七人」 で既にトップスターとなっているスティーブ・マックイーンとジェームズ・コバーンが、なぜか出演したＢ級モノクロ戦争映画。 「自己の信念に忠実な男」を演じ続けたマックイーンを、男の生きざまを描き続けたシーゲルが撮ったベストフィットな一本。
口数すくなくハードボイルドなマックイーン、飄々としたコバーンもさることながら、分隊の軍曹、兵士たちがとにかくプロフェッショナルで、与えられた任務をきっちりこなす。 この辺りはドン・シーゲルの面目躍如。 悲劇の結末に向けて突っ走る、（おそらく）低予算ながら緊張感に満ちた快作です。
「アルカトラズからの脱出」…難攻不落、脱獄不可能とされた 「ザ・ロック」 こと米国アルカトラズ刑務所からの脱獄に唯一成功するも、その後は杳として行方の知れぬ生死不明の実在の３名、フランク・モリス、アングリン兄弟を描いた脱獄サスペンス。 ロケもアルカトラズでやったそうです。
「ザ・ロック」は1963年に閉鎖されましたが、今年になってトランプ大統領が（どこまで本気か知りませんが）再開の指示を出したので、サイトに取り上げるタイミングもタイムリーでしょ？（そうか？）。
モリス（イーストウッド）がザ・ロックに到着・入獄するところから始まり、あとはほぼ刑務所内の描写のみ。 モリスやアングリン兄弟（チボー、ウォード。ちなみに全員実名）のシャバ時代の回想とかいっさいありません。
前半こそ所内の生活を、架空の話や、別の時間線で実際にあったエピソードを盛り込んでモリスが感じる不条理を描きますが、中盤からは丁寧に丁寧に脱獄のプロセスを描きます。
いつにも増して寡黙なイーストウッド、脱獄に協力する囚人たちのゆるいチームワークなど、静かな映画ですが十分な迫力。 多分に誇張されているであろう超冷酷なマッグーハン所長も含めて、脱獄サスペンスというよりプロジェクトＸ的な味わい。 劇場公開時から数えて３回目の鑑賞ですが、今回も傑作という思いを新たにしました。 淡々とした描写なのになぜこうも刺さるのか。 演出の凄みが良くわかる映画です。 ちなみに本作の権利をめぐってシーゲルとイーストウッドは喧嘩別れ。 二人の最後のコラボ作となりました。
「突撃隊」…ドイツの誇る防衛要塞群、ジークフリート線。 その目前で、本隊が留守にする丸一日の間、たった６名で拠点を守る命令をされた分隊。 独断専行が理由で主任軍曹から一兵士に降格されたリース（マックイーン）は、攻撃は最大の防御と考えて目前のドイツのトーチカを襲撃しようとする。
「荒野の七人」 で既にトップスターとなっているスティーブ・マックイーンとジェームズ・コバーンが、なぜか出演したＢ級モノクロ戦争映画。 「自己の信念に忠実な男」を演じ続けたマックイーンを、男の生きざまを描き続けたシーゲルが撮ったベストフィットな一本。
口数すくなくハードボイルドなマックイーン、飄々としたコバーンもさることながら、分隊の軍曹、兵士たちがとにかくプロフェッショナルで、与えられた任務をきっちりこなす。 この辺りはドン・シーゲルの面目躍如。 悲劇の結末に向けて突っ走る、（おそらく）低予算ながら緊張感に満ちた快作です。
［音楽とサントラ］
冒頭に書いた通り、ドン・シーゲル監督作品のカップリングＣＤ。 収録順は「突撃隊」→「アルカトラズからの脱出」。 「突撃隊」の音楽は「エデンの東」、
「スター・トレック４：故郷への長い道」
、
「ヘルファイター」
のレナード・ローゼンマン。 ただしその手のヒロイックなメロディはなく、戦争映画っぽい景気の良いマーチどころか、鼻歌できるフレーズすらないモザイク的に音を重ねた曲ばかり。 もともとシェーンベルクに師事してた人だし、前衛風の楽曲はお手の物でしょう。
くわえて、私は言語化できないんだけどこの人ってホーン・アンサンブルに特徴があり、米陸軍の兵士たちの姿と重ね合わせるとつまりは コンバット みが凄い。 ちょっと気を抜くと「コンバット」を見てる気分になりました(笑)。 １０曲１７分収録です。
「アルカトラズからの脱出」の音楽はジェリー・フィールディング。 こちらは「突撃隊」に輪をかけてどころか、ほぼメロディレス。 フィールディング的フレーズは、オープニングとエンディングに出てくるスネアドラムぐらい。 あとはストリングスと特殊パーカッションの効果音みたいな音楽で、もう前衛もいいところ。 モリコーネか 「惑星ソラリス」 かと言いたいところですが、フィールディング自身の 「メカニック」 に匹敵します。 「メカニック」は現実音楽に音楽らしい音楽があったのでアルバムとしては救いがあったのですが、本盤にはまったくかけらもなし。
なぜ買った俺、としか言いようがないのですが、これはこれで妙にクセになる１９曲５７分です。 えー？ そんなに曲があったの？
こうしてみると、ドン・シーゲルの２作に共通してるのは、「ヒーロー」を描いていないということが音楽からもわかりますね。 「突撃隊」は言うに及ばず、「アルカトラズ」もモリスやアングリン兄弟のキャラクターではなく脱獄そのものが焦点だったということでしょう。 (2025/10/19：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 （どちらも評価不能ですが俺は通しで聴けるぞ。でも車ではノーサンキューだ）
くわえて、私は言語化できないんだけどこの人ってホーン・アンサンブルに特徴があり、米陸軍の兵士たちの姿と重ね合わせるとつまりは コンバット みが凄い。 ちょっと気を抜くと「コンバット」を見てる気分になりました(笑)。 １０曲１７分収録です。
「アルカトラズからの脱出」の音楽はジェリー・フィールディング。 こちらは「突撃隊」に輪をかけてどころか、ほぼメロディレス。 フィールディング的フレーズは、オープニングとエンディングに出てくるスネアドラムぐらい。 あとはストリングスと特殊パーカッションの効果音みたいな音楽で、もう前衛もいいところ。 モリコーネか 「惑星ソラリス」 かと言いたいところですが、フィールディング自身の 「メカニック」 に匹敵します。 「メカニック」は現実音楽に音楽らしい音楽があったのでアルバムとしては救いがあったのですが、本盤にはまったくかけらもなし。
なぜ買った俺、としか言いようがないのですが、これはこれで妙にクセになる１９曲５７分です。 えー？ そんなに曲があったの？
こうしてみると、ドン・シーゲルの２作に共通してるのは、「ヒーロー」を描いていないということが音楽からもわかりますね。 「突撃隊」は言うに及ばず、「アルカトラズ」もモリスやアングリン兄弟のキャラクターではなく脱獄そのものが焦点だったということでしょう。 (2025/10/19：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 （どちらも評価不能ですが俺は通しで聴けるぞ。でも車ではノーサンキューだ）
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脱出 DELIVERANCE (1972)
音楽：エリック・ワイズバーグ、スティーブ・マンデル
監督・製作：ジョン・ブアマン／原作・脚本：ジェームズ・ディッキー "DELIVERANCE"
出演：ジョン・ヴォイト、バート・レイノルズ、ロニー・コックス、ネッド・ビーティ、ジェームズ・ディッキー、ホイト・ポラード
CD／2001／WARNER(GERMANY)／9362-48088-2／WARNER／\----／\945［輸入盤中古］
ダム建設のためまもなく水没する田舎へ都会からやって来た４人の男たちがいた。 自己主張のない意志薄弱なエド（ヴォイト）、弓を操るタフガイのルイス（レイノルズ）、お調子者のボビー（ビーティ）、法律やルールを守る常識人のドリュー（コックス）たちがカヌー下りをするさなか、エドとボビーが地元の男二人に因縁をつけられる。 その救出の際に一人を殺してしまった男たちは、死体を隠蔽して川を下って逃走するが、残りの一人が彼らを付け狙う。
あらすじだけ聴くとサスペンス・アドベンチャーかと思えばさにあらず。 そこはそれ「未来惑星ザルドス」や 「殺しの分け前 ポイント・ブランク」 のジョン・ブアマン、野茂並みにエゲツない変化球を投げるこの人がストレートなアクションものを作るわけがない。 まず襲われるボビーですが、おっさんがおっさんをレイプするとかもう。 地元民の男に狙われる４人の男が激流を下りながら、どんどん性格が歪んでいく様を描きます。
原作者（脚本も）や監督には、ダム建設という自然破壊に対するアンチテーゼという意図はあったらしいんですがね（そういやブアマンは、後に同じテーマで「エメラルド・フォレスト」とか撮ってました）。 ４人の男たちは都会の象徴であり、理由も背景も説明されずに因縁つける地元民は自然の象徴。 これに加えてブアマンは、極限状況下での人間の豹変という要素も加えました。 チームを引っ張るはずのルイスは中盤で実質的にリタイアし、弱気なエドがどんどん狂っていく様は圧巻。
他にも、ドリューは本当に撃たれたのか、４人を付け回してたのは本当に襲撃者二人の片割れなのか、殺した男は本当に襲撃者だったのか、何も明かさない不安定な状態でお話は収束。 いやなんなのこの話、という傑作です（アカデミー賞３部門ノミネート）。
実は襲撃に対する反撃は大して尺を使ってないのですが、４人の俳優がボディダブルなしで川下り、ヴォイトに至っては崖を自分で登ったというスタント映像も含めて（保険会社が引き受けを断ったそうです）、見ごたえのある作品でした。
あらすじだけ聴くとサスペンス・アドベンチャーかと思えばさにあらず。 そこはそれ「未来惑星ザルドス」や 「殺しの分け前 ポイント・ブランク」 のジョン・ブアマン、野茂並みにエゲツない変化球を投げるこの人がストレートなアクションものを作るわけがない。 まず襲われるボビーですが、おっさんがおっさんをレイプするとかもう。 地元民の男に狙われる４人の男が激流を下りながら、どんどん性格が歪んでいく様を描きます。
原作者（脚本も）や監督には、ダム建設という自然破壊に対するアンチテーゼという意図はあったらしいんですがね（そういやブアマンは、後に同じテーマで「エメラルド・フォレスト」とか撮ってました）。 ４人の男たちは都会の象徴であり、理由も背景も説明されずに因縁つける地元民は自然の象徴。 これに加えてブアマンは、極限状況下での人間の豹変という要素も加えました。 チームを引っ張るはずのルイスは中盤で実質的にリタイアし、弱気なエドがどんどん狂っていく様は圧巻。
他にも、ドリューは本当に撃たれたのか、４人を付け回してたのは本当に襲撃者二人の片割れなのか、殺した男は本当に襲撃者だったのか、何も明かさない不安定な状態でお話は収束。 いやなんなのこの話、という傑作です（アカデミー賞３部門ノミネート）。
実は襲撃に対する反撃は大して尺を使ってないのですが、４人の俳優がボディダブルなしで川下り、ヴォイトに至っては崖を自分で登ったというスタント映像も含めて（保険会社が引き受けを断ったそうです）、見ごたえのある作品でした。
［音楽とサントラ］
音楽はエリック・ワイズバーグとスティーブ・マンデル。 ワイズバーグはブルーグラスのシンガーおよびバンジョー・プレイヤーとして有名な人だそうで、マンデルさんはバンジョー兼ギターマン。 この二人がギターとバンジョーでバトルする、実質的なメインテーマである "Dueling Banjos" は当時大ヒットしたとか。 本編では、ドリューのギターと障害のある少年の演奏合戦という形で使われています。
もっとも、作中できちんと使われた音楽はこの曲とエンドタイトルぐらいで、他の音楽はたまにボロンとギターかバンジョーが鳴る程度の、ほぼ音楽レスの建付け。 ところがこのサントラは１８曲３５分もあります。 ワイズバーグが盟友マーシャル・ブリックマンと1963年にリリースしたアルバム "NEW DIMENSIONS IN BANJO AND BLUEGRASS" から、"No Title Yet Blues" と "Black Rock Turnpike" を落とし、 "Dueling Banjos" とエンド曲である "End Of A Dream" に入れ替えてリリースしたもの。 つまり１６曲は映画と関係のない、バンジョー閃くご陽気なブルーグラス。 ま、こういうのも悪くないよね。 " (2025/10/19：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 100%
もっとも、作中できちんと使われた音楽はこの曲とエンドタイトルぐらいで、他の音楽はたまにボロンとギターかバンジョーが鳴る程度の、ほぼ音楽レスの建付け。 ところがこのサントラは１８曲３５分もあります。 ワイズバーグが盟友マーシャル・ブリックマンと1963年にリリースしたアルバム "NEW DIMENSIONS IN BANJO AND BLUEGRASS" から、"No Title Yet Blues" と "Black Rock Turnpike" を落とし、 "Dueling Banjos" とエンド曲である "End Of A Dream" に入れ替えてリリースしたもの。 つまり１６曲は映画と関係のない、バンジョー閃くご陽気なブルーグラス。 ま、こういうのも悪くないよね。 " (2025/10/19：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 100%
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モニカ・マンシーニ MONICA MANCINI
歌：モニカ・マンシーニ
作曲：ヘンリー・マンシーニ
編曲：指揮：パトリック・ウィリアムズ
演奏：パトリック・ウィリアムズ・オーケストラ
CD／1998／PBS RECORDS(WARNER)／9 47115-2／PBS RECORDS／\----／\1,768［輸入盤中古］
［アルバム解説］
モニカ・マンシーニは、ヘンリー・マンシーニの双子の娘の一人。 母親で歌手のジニー・オコナー、姉フェリスとともに幼少期はヘンリー・マンシーニ合唱団に在籍。 カーペンターズが歌っている "Sometimes" という曲は、フェリスの詞に父ハンクが作曲したもの。 モニカはその後スタジオ・シンガーとして活動。 ソロ歌手としてアルバムに初めてクレジットされたのが、ホレス・シルヴァー1976年の「シルヴァー・ン・ヴォイシズ」"SILVER 'N VOICES" ですから、若い頃からやってますね（右のマンシーニ家族写真はブックレットより）。
1994年ハンク逝去の後、ビル・コンティからソロ歌手としてのオファーが入り、それが1998年の本盤、初のリーダー・アルバムにつながりました。 モニカ４１歳ですから遅咲きというか満を持してデビューというか。
そこで選んだのが、アルバムまるまる１枚父親の曲で、つまりこれは「マンシーニ(娘)・シングス・マンシーニ(父)」というていのアルバムです。
選曲はびっくりするほど定番曲で、特に冒険はなし。 映画本編はいまいち残ってないけど、父親のお気に入りだった「ニューヨークの恋人」"DEAR HEART" もしっかりチョイス。 『ミュージック・オン・ザ・ウェイ』は（たぶん）映画と関係ない父親のオリジナル曲で、これが珍しいぐらいか。
いずれもしっとりしたバラードで、少しテンポがあるのは「シャレード」ぐらい。 かなり落ち着いた歌声で、ゆったりと聞けるアルバムです。 「ピーター・ガン」から生まれたスタンダード "Dreamsville" はジョニー・マティスとのデュエット。
編曲と指揮は、ヘンリー・マンシーニ・インスティチュート・オーケストラの首席指揮者だった、父親と同じ映画音楽コンポーザーでもあるパトリック・ウィリアムズ（このオケは現在は解散）。 演奏は彼が率いるパトリック・ウィリアムズ・オーケストラですが、レギュラー・バンドじゃないでしょう。 ドラムはモニカの夫であるグレッグ・フィールドで、アルバムのプロデューサーでもあります。
名匠の娘のデビュー・アルバムだけにスタッフは豪華ですね。 ピアノに映画音楽スタジオ・ミュージシャンの大ベテラン、マイケル・ラングや、フルートには巨匠ヒューバート・ロウズの名前も見えます。 つうかロウズって当時まだ５０代だったんだね。 大昔からいるからそんなにお若いとは思わなかった。 １３曲４６分収録。 秋の夜長に流しっぱなしでワインが似合いそうなアルバムです。 (2025/10/11：管理人から一言)
［収録作品］（『 』内は曲名、作曲は全曲マンシーニ、【ひ】は当サイト単独盤へのリンク）
【個人的収録曲ヒット率】 （対象外）
1994年ハンク逝去の後、ビル・コンティからソロ歌手としてのオファーが入り、それが1998年の本盤、初のリーダー・アルバムにつながりました。 モニカ４１歳ですから遅咲きというか満を持してデビューというか。
そこで選んだのが、アルバムまるまる１枚父親の曲で、つまりこれは「マンシーニ(娘)・シングス・マンシーニ(父)」というていのアルバムです。
選曲はびっくりするほど定番曲で、特に冒険はなし。 映画本編はいまいち残ってないけど、父親のお気に入りだった「ニューヨークの恋人」"DEAR HEART" もしっかりチョイス。 『ミュージック・オン・ザ・ウェイ』は（たぶん）映画と関係ない父親のオリジナル曲で、これが珍しいぐらいか。
いずれもしっとりしたバラードで、少しテンポがあるのは「シャレード」ぐらい。 かなり落ち着いた歌声で、ゆったりと聞けるアルバムです。 「ピーター・ガン」から生まれたスタンダード "Dreamsville" はジョニー・マティスとのデュエット。
編曲と指揮は、ヘンリー・マンシーニ・インスティチュート・オーケストラの首席指揮者だった、父親と同じ映画音楽コンポーザーでもあるパトリック・ウィリアムズ（このオケは現在は解散）。 演奏は彼が率いるパトリック・ウィリアムズ・オーケストラですが、レギュラー・バンドじゃないでしょう。 ドラムはモニカの夫であるグレッグ・フィールドで、アルバムのプロデューサーでもあります。
名匠の娘のデビュー・アルバムだけにスタッフは豪華ですね。 ピアノに映画音楽スタジオ・ミュージシャンの大ベテラン、マイケル・ラングや、フルートには巨匠ヒューバート・ロウズの名前も見えます。 つうかロウズって当時まだ５０代だったんだね。 大昔からいるからそんなにお若いとは思わなかった。 １３曲４６分収録。 秋の夜長に流しっぱなしでワインが似合いそうなアルバムです。 (2025/10/11：管理人から一言)
［収録作品］（『 』内は曲名、作曲は全曲マンシーニ、【ひ】は当サイト単独盤へのリンク）
- その日その時 MOMENT TO MOMENT (1965) 〜『MOMENT TO MOMENT』
- いつも２人で TWO FOR THE ROAD (1967) 〜『TWO FOR THE ROAD』 【ひ】
- ピーター・ガン PETER GUNN (1958) 〜『Dreamsville』 《ジョニー・マティスとデュエット》 ［ ヘンリー・マンシーニ］ 【ひ】
- ビクター／ビクトリア VICTOR/VICTORIA (1982) 〜『Crazy World』
- ザ・ソーン・バーズ THE THORN BIRDS (1983) 〜『Anywhere the Heart Goes (Meggie's Theme)』
- ひまわり SUNFLOWER (1970) 〜『Loss of Love』 【ひ】
- 暁の出撃 DARLING LILI (1970) 〜『Whistling Away the Dark』 【ひ】
- シャレード CHARADE (1963) 〜『CHARADE』 【ひ】
- 酒とバラの日々 THE DAYS OF WINE AND ROSES (1962) 〜『THE DAYS OF WINE AND ROSES』
- ミスター・ラッキー（ついてる男） Mr. LUCKY (1959) 〜『Slow Hot Wind（Lujon）』 【ひ】
- ニューヨークの恋人（劇場未公開TV放映） DEAR HEART (1964) 〜『DEAR HEART』
- ティファニーで朝食を BREAKFAST AT TIFFANY'S (1961) 〜『Moon River』
- ミュージック・オン・ザ・ウェイ（非映画音楽） Music on the Way (1998) 〜『Music on the Way』
【個人的収録曲ヒット率】 （対象外）
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ドリームズ・オブ・ジョニー・マーサー THE DREAMS OF JOHNNY MERCER
歌：モニカ・マンシーニ
CD／2000／CONCORD RECORDS／CCD-4937-2／CONCORD RECORDS／\----／\300［輸入盤中古］
［アルバム解説］
上で紹介したモニカ・マンシーニ
の、コンコード・ジャズへ移籍しての２枚目のアルバム。 今回選んだのは、アメリカ・ポピュラーソング界のレジェンドであり、作詞家としては父ヘンリーとの名コンビでも知られるソングライター、ジョニー・マーサー。 幼少期から家族ぐるみのお付き合いがあった「優しくして親切な小父さん」（"He was a sweet and kind man"、ブックレットより）の楽曲群です。
上の「モニカ・マンシーニ」で「ティファニーで朝食を」、「酒とバラの日々」、「シャレード」等のマーサー作詞曲を取り上げていますので、本盤は映画の曲よりも一般のヒット曲中心。 たとえば、ホーギー・カーマイケル（作曲）と共作してスタンダードになった "Skylark" とか。
他は、マーサーとバリー・マニロウが組んで楽曲提供したナンシー・ウィルソンの「恋の景色 あなたを愛するための12のバラード」"With My Lover Beside Me" から多く取り上げています。 つうか収録１２曲中、７曲がそれ。 "With My Lover Beside Me"、"When The Meadow Was Bloomin'" など前作と同じくしっとり系のバラードが多いですが、"Love Is Where You Find It"、ボサノバ調の "Something Tells Me" など明るい曲も。
明るいといえば本盤イチ明るいのが、"The Weekend Of A Private Secretary"。 シャーリーン・バートレイという幻のジャズ・ボーカリストが唯一残したアルバムのタイトル曲で、バーニー・ハニゲンが曲を書いていますが、ゴリゴリのラテンというかハバナな感じのクッソ明るい曲でノリノリです。
バートレイのアルバムは日本盤もリリースされたそうですが、邦題は「秘書の週末」とそのまんま。 作曲のハニゲンは作詞家でもあり、ジャズの名曲『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』に歌詞を付けて、『ラウンド・ミッドナイト』として完成させている人です。
映画音楽は３曲。 "Ac-Cent-Tchu-Ate The Positive" は1944年の「WAVESがやって来る」"HERE COME THE WAVES" の挿入歌。 海軍婦人部隊である WAVES への勧誘を目的とした国策映画で、日本未公開なので邦題は管理人訳。 作曲はハロルド・アーレンでアカデミー歌曲賞ノミネート。 モニカはアカペラをバックにスインギーに歌っています。
"On The Atchison, Topeka And The Santa Fe" は1946年、ジョージ・シートン監督のミュージカル西部劇「ハーヴェイ・ガールズ」の作中で、主演のジュディ・ガーランドが歌った曲。 モニカはギター、ベース、ピアノをバックに歌うブルース・アレンジで。 本盤で随一のカラーの違う曲ですが、粘っこく歌ってる割にもともとの声質が美しいので、他の曲と同じく爽やかになっちゃってます。 ジョニー・マーサー、初のアカデミー受賞曲です。
映画音楽の最後は父親の曲で、「ピンクの豹」の名歌 "It Had Better Be Tonight"。 原曲以上のラテンな雰囲気に、しかも英語じゃなくイタリア語で歌ってるバージョンでこれは珍しい。 初めて聴いた。 ジョニー・マーサー、イタリア語でも書けるんだスゲエと思ってブックレット確認したら、イタリア語詞はフランコ・ミグリアッチという人でした。 …そら、原詞はマーサーだろうけどさあ、とオチを付けてくれた１２曲４５分です。 (2025/10/11：管理人から一言)
［映像関連の収録作品］（『 』内は曲名、［ ］は作曲者、【ひ】は当サイト単独盤へのリンク）
【個人的収録曲ヒット率】 （対象外）
上の「モニカ・マンシーニ」で「ティファニーで朝食を」、「酒とバラの日々」、「シャレード」等のマーサー作詞曲を取り上げていますので、本盤は映画の曲よりも一般のヒット曲中心。 たとえば、ホーギー・カーマイケル（作曲）と共作してスタンダードになった "Skylark" とか。
他は、マーサーとバリー・マニロウが組んで楽曲提供したナンシー・ウィルソンの「恋の景色 あなたを愛するための12のバラード」"With My Lover Beside Me" から多く取り上げています。 つうか収録１２曲中、７曲がそれ。 "With My Lover Beside Me"、"When The Meadow Was Bloomin'" など前作と同じくしっとり系のバラードが多いですが、"Love Is Where You Find It"、ボサノバ調の "Something Tells Me" など明るい曲も。
明るいといえば本盤イチ明るいのが、"The Weekend Of A Private Secretary"。 シャーリーン・バートレイという幻のジャズ・ボーカリストが唯一残したアルバムのタイトル曲で、バーニー・ハニゲンが曲を書いていますが、ゴリゴリのラテンというかハバナな感じのクッソ明るい曲でノリノリです。
バートレイのアルバムは日本盤もリリースされたそうですが、邦題は「秘書の週末」とそのまんま。 作曲のハニゲンは作詞家でもあり、ジャズの名曲『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』に歌詞を付けて、『ラウンド・ミッドナイト』として完成させている人です。
映画音楽は３曲。 "Ac-Cent-Tchu-Ate The Positive" は1944年の「WAVESがやって来る」"HERE COME THE WAVES" の挿入歌。 海軍婦人部隊である WAVES への勧誘を目的とした国策映画で、日本未公開なので邦題は管理人訳。 作曲はハロルド・アーレンでアカデミー歌曲賞ノミネート。 モニカはアカペラをバックにスインギーに歌っています。
"On The Atchison, Topeka And The Santa Fe" は1946年、ジョージ・シートン監督のミュージカル西部劇「ハーヴェイ・ガールズ」の作中で、主演のジュディ・ガーランドが歌った曲。 モニカはギター、ベース、ピアノをバックに歌うブルース・アレンジで。 本盤で随一のカラーの違う曲ですが、粘っこく歌ってる割にもともとの声質が美しいので、他の曲と同じく爽やかになっちゃってます。 ジョニー・マーサー、初のアカデミー受賞曲です。
映画音楽の最後は父親の曲で、「ピンクの豹」の名歌 "It Had Better Be Tonight"。 原曲以上のラテンな雰囲気に、しかも英語じゃなくイタリア語で歌ってるバージョンでこれは珍しい。 初めて聴いた。 ジョニー・マーサー、イタリア語でも書けるんだスゲエと思ってブックレット確認したら、イタリア語詞はフランコ・ミグリアッチという人でした。 …そら、原詞はマーサーだろうけどさあ、とオチを付けてくれた１２曲４５分です。 (2025/10/11：管理人から一言)
［映像関連の収録作品］（『 』内は曲名、［ ］は作曲者、【ひ】は当サイト単独盤へのリンク）
- （日本未公開）WAVESがやって来る HERE COME THE WAVES (1944) 〜『Ac-Cent-Tchu-Ate The Positive』 ［ハロルド・アーレン］
- ハーヴェイ・ガールズ THE HARVEY GIRS (1946) 〜『On The Atchison, Topeka And The Santa Fe』 ［ハリー・ウォーレン］
- ピンクの豹 THE PINK PANTHER (1963) 〜『It Had Better Be Tonight』 【ひ】
【個人的収録曲ヒット率】 （対象外）
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ニュー・シネマ・パラダイス（モニカ・マンシーニ） CINEMA PARADISO
歌：モニカ・マンシーニ
CD／2003／ビクターエンタテインメント／VICJ-61030／CONCORD RECORDS／\2,520／\500［中古］
［アルバム解説］
モニカ・マンシーニ、３枚目のアルバム。 実は管理人が初めて買ったモニカのＣＤです。 ブックオフ国道1号多摩川大橋店の安売りコーナーで見つけ、そういやマンシーニって娘いたよな、と買ってみたらなかなか良いので、遡って
上の２枚
を購入した次第。 この人のリーダー・アルバムは今のところあと１枚しかないので、そのうちコンプリートしようかな。
……と、思えるほど思い入れはないんですけどね。 本盤もしっとりバラード路線で、曲のチョイスも半数以上が定番なので、爆発的に聴きたい！と思えるほどではない。 そのうち気が向いたら買ってみよう。
そのチョイスされ歌曲について。 タイトル・チューンである「ニュー・シネマ・パラダイス」のボーカル版は珍しいと思ったら、モニカの夫で、本盤でもプロデューサーをしているグレッグ・フィールドが歌詞を書き下ろしたそうです。 ですから本盤での録音が唯一無二。 「思い出の夏」、「アルフィー」、「いそしぎ」はいずれもスタンダード化した名曲。 "A Day In The Life Of A Fool"は「黒いオルフェ」のテーマ『カーニバルの朝』の英語歌詞版で、これもスタンダード。
スティーブ・マックイーン主演の『雨の中の兵隊』は父ハンク作で、お気に入りなのかセルフカバーも多い曲です（右写真は「モニカ・マンシーニ」のブックレットから。割と有名な父娘のスナップ）。 「グリーン・デスティニー」は本盤のチョイ前公開の映画だからセレクトか。 逆に唐突にまで古い「恋愛準決勝戦」は1951年のフレッド・アステアのミュージカル。 兄妹ダンスチームのラブコメで、初期は姉とコンビでのダンスが有名だったアステアへのアテ書きか。 これもバラードです。
さらに古いのが「ダンボ」でこれは1941年。 『Senza Fine 終わり無く』も古い曲ですが、もともとイタリアのポピュラーソングで、これもチョイ前公開の映画「ゴーストシップ」に使われたのが理由のようです。 しかし私にとっては「飛べ！フェニックス」の歌ですかね。 映画に使われたコニー・フランシスが歌ったバージョンはシングルで発売されました。
ラスト２曲。 "I'll Never Say Goodbye" はデビッド・シャイアの曲で、日本未公開映画「約束」"THE PROMISE" の主題歌。 本サイトでは デビー・ブーンによるカバー を紹介していますが、けっこうメジャーな曲なんですね。
オーラスは、メジャーの極北ともいえるアメリカ人の心の歌「虹の彼方に」。 これまたしっとりと歌っています。 そんな１２曲５０分でした。 (2025/10/11：管理人から一言)
［収録作品］（『 』内は曲名、［ ］は作曲者、【ひ】は当サイト単独盤へのリンク）
【個人的収録曲ヒット率】 （対象外）
……と、思えるほど思い入れはないんですけどね。 本盤もしっとりバラード路線で、曲のチョイスも半数以上が定番なので、爆発的に聴きたい！と思えるほどではない。 そのうち気が向いたら買ってみよう。
そのチョイスされ歌曲について。 タイトル・チューンである「ニュー・シネマ・パラダイス」のボーカル版は珍しいと思ったら、モニカの夫で、本盤でもプロデューサーをしているグレッグ・フィールドが歌詞を書き下ろしたそうです。 ですから本盤での録音が唯一無二。 「思い出の夏」、「アルフィー」、「いそしぎ」はいずれもスタンダード化した名曲。 "A Day In The Life Of A Fool"は「黒いオルフェ」のテーマ『カーニバルの朝』の英語歌詞版で、これもスタンダード。
スティーブ・マックイーン主演の『雨の中の兵隊』は父ハンク作で、お気に入りなのかセルフカバーも多い曲です（右写真は「モニカ・マンシーニ」のブックレットから。割と有名な父娘のスナップ）。 「グリーン・デスティニー」は本盤のチョイ前公開の映画だからセレクトか。 逆に唐突にまで古い「恋愛準決勝戦」は1951年のフレッド・アステアのミュージカル。 兄妹ダンスチームのラブコメで、初期は姉とコンビでのダンスが有名だったアステアへのアテ書きか。 これもバラードです。
さらに古いのが「ダンボ」でこれは1941年。 『Senza Fine 終わり無く』も古い曲ですが、もともとイタリアのポピュラーソングで、これもチョイ前公開の映画「ゴーストシップ」に使われたのが理由のようです。 しかし私にとっては「飛べ！フェニックス」の歌ですかね。 映画に使われたコニー・フランシスが歌ったバージョンはシングルで発売されました。
ラスト２曲。 "I'll Never Say Goodbye" はデビッド・シャイアの曲で、日本未公開映画「約束」"THE PROMISE" の主題歌。 本サイトでは デビー・ブーンによるカバー を紹介していますが、けっこうメジャーな曲なんですね。
オーラスは、メジャーの極北ともいえるアメリカ人の心の歌「虹の彼方に」。 これまたしっとりと歌っています。 そんな１２曲５０分でした。 (2025/10/11：管理人から一言)
［収録作品］（『 』内は曲名、［ ］は作曲者、【ひ】は当サイト単独盤へのリンク）
- ニュー・シネマ・パラダイス NEW CINEMA PARADISE (1989) 〜『Cinema Paradiso』 ［エンニオ・モリコーネ］ 【ひ】
- 黒いオルフェ BLACK ORPHEUS (2002) 〜『A Day In The Life Of A Fool（Manha de Carnaval）カーニバルの朝』 ［ルイス・ボンファ］
- 思い出の夏 SUMMER OF '42 (1971) 〜『The Summer Knows 思い出の夏』 ［ミシェル・ルグラン］
- グリーン・デスティニー CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON (2000) 〜『A Love Before Time』 ［タン・デュン］
- 雨の中の兵隊 SOLDIER IN THE RAIN (1963) 〜『SOLDIER IN THE RAIN』 ［ヘンリー・マンシーニ］
- アルフィー ALFIE (1966) 〜『ALFIE』 ［バート・バカラック］ 【ひ】
- 恋愛準決勝戦 ROYAL WEDDING (1951) 〜『Too Late Now』 ［バートン・レイン］
- いそしぎ THE SANDPIPER (1965) 〜『The Shadow Of Your Smile いそしぎ』 ［ジョニー・マンデル］
- ダンボ DUMBO (1941) 〜『Baby Mine 私の赤ちゃん』 ［フランク・チャーチル］
- 飛べ！フェニックス THE FLIGHT OF THE PHOENIX (1961) 〜『Senza Fine 終わり無く』 ［ジーノ・パオリ］ 【ひ】
- （日本未公開）約束 THE PROMISE (1979) 〜『I'll Never Say Goodbye』 ［デビッド・シャイア］
- オズの魔法使い THE WIZARD OF OZ (1939) 〜『Over The Rainbow from 虹の彼方に』 ［ハロルド・アーレン］
【個人的収録曲ヒット率】 （対象外）
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イブニング・ウィズ・デイブ・グルーシン AN EVENING WITH DAVE GRUSIN
編曲・指揮：デイブ・グルーシン
演奏：ヘンシー・マンシーニ・インスティテュート・オーケストラ
ゲスト・プレーヤー：アルトゥーロ・サンドヴァル（tp）、サミー・フィゲロア（ds）、ゲイリー・バートン（vib）、ネスター・トーレス（fl）
ゲスト・ボーカリスト：ジョン・セカダ、パティ・オースティン、モニカ・マンシーニ
CD／2011／JAZZ ROOTS(CONCORD MUSIC)／HUI-31995-2／JAZZ ROOTS／\----／\850［輸入盤中古］
［アルバム解説］
2009年12月にマイアミ・デイド州ジェームズ・Ｌ・ナイト・コンサートホールで行われたデイブ・グルーシンのコンサートを収録したライブ盤。 演奏はヘンリー・マンシーニ・インスティテュート・オーケストラ（現在は解散）。 ＣＤは、ＧＲＰレコードでグルーシンの相棒だったラリー・ローゼンがおこしたレーベル JAZZ ROOTS からリリースされています（ローゼンは2015年逝去）。
さてグルーシンの名を冠したアルバムなので、販売する時のカテゴリは "ジャズ" なのですが、面白いことに自作やスタンダードの純ジャズはまったく選曲されず、全て映画関係なこと。 もちろん、ジャジーなプレイ、ボーカルである曲も多いのですが、１、２トラック目の『フラッテリ・チェイス』や、「黄昏」のメドレーは普通にオーケストラル・スコアです。
しかしそれ以降はボーカルにしろ演奏にしろジャジー。 上に並べたゲスト陣がリラックスした雰囲気で演奏し歌ってます。 パティ・オースティンはどんな歌詞なのかわかりませんが笑いまでとってます。 「ウエスト・サイド物語」からの選曲が多いですが、グルーシンはガーシュウィンを演奏したアルバムも出してましたね。
モニカ・マンシーニは父を恩師と仰ぐグルーシンに迎えられ、父ゆかりのオーケストラをバックに父の名曲を歌ってます。 個人的なベストトラックは、ゲイリー・バートンによる『ピーター・ガン』。 導入こそ盛大なオーケストラですが、その後につづくバートンのヴィブラフォンがめっさカッコええ。
アルバム最後は、「ザ・ファーム」の "Memphis Stomp" を原曲同様に、グルーシンのピアノ・ソロで締めくくります。 その後にプレーヤーの紹介ＭＣが入りますから、コンサートの最終曲でもあります。 アンコールっぽいかな？ １４トラック６８分収録ですが、うち２トラックはオースティンとセカダのＭＣです。 臨場感あって満足できる１枚でした。 (2025/10/11：管理人から一言)
［映像関連の収録曲］（『 』内は曲名、《 》はソロ・プレーヤーまたはボーカリスト、［ ］は作曲者、【ひ】は当サイト単独盤へのリンク）
【個人的収録曲ヒット率】 （対象外）
さてグルーシンの名を冠したアルバムなので、販売する時のカテゴリは "ジャズ" なのですが、面白いことに自作やスタンダードの純ジャズはまったく選曲されず、全て映画関係なこと。 もちろん、ジャジーなプレイ、ボーカルである曲も多いのですが、１、２トラック目の『フラッテリ・チェイス』や、「黄昏」のメドレーは普通にオーケストラル・スコアです。
しかしそれ以降はボーカルにしろ演奏にしろジャジー。 上に並べたゲスト陣がリラックスした雰囲気で演奏し歌ってます。 パティ・オースティンはどんな歌詞なのかわかりませんが笑いまでとってます。 「ウエスト・サイド物語」からの選曲が多いですが、グルーシンはガーシュウィンを演奏したアルバムも出してましたね。
モニカ・マンシーニは父を恩師と仰ぐグルーシンに迎えられ、父ゆかりのオーケストラをバックに父の名曲を歌ってます。 個人的なベストトラックは、ゲイリー・バートンによる『ピーター・ガン』。 導入こそ盛大なオーケストラですが、その後につづくバートンのヴィブラフォンがめっさカッコええ。
アルバム最後は、「ザ・ファーム」の "Memphis Stomp" を原曲同様に、グルーシンのピアノ・ソロで締めくくります。 その後にプレーヤーの紹介ＭＣが入りますから、コンサートの最終曲でもあります。 アンコールっぽいかな？ １４トラック６８分収録ですが、うち２トラックはオースティンとセカダのＭＣです。 臨場感あって満足できる１枚でした。 (2025/10/11：管理人から一言)
［映像関連の収録曲］（『 』内は曲名、《 》はソロ・プレーヤーまたはボーカリスト、［ ］は作曲者、【ひ】は当サイト単独盤へのリンク）
- グーニーズ THE GOONIES (1985) 〜『Fratelli Chase』 ［デイブ・グルーシン］ 【ひ】
- 黄昏 ON GOLDEN POND (1981) 〜『On Golden Pond/Hornpipe Medley』 ［デイブ・グルーシン］
- ウーピー！ WHOOPEE! (1928) 〜『Makin' Whoopee』《パティ・オースティン Patti Austin》 ［ガス・カーン/ウォルター・ドナルドソン］
- ポーギーとベス PORGY AND BESS (1959) 〜『PORGY & BESS Medley』 ［ジョージ・ガーシュウィン］ 【ひ】
- ウエスト・サイド物語 WEST SIDE STORY (1961) 〜『Cool』《ゲイリー・バートン Gary Burton》 ［レナード・バーンスタイン］ 【ひ】
- ウエスト・サイド物語 WEST SIDE STORY (1961) 〜『Somewhere』《ジョン・セカダ/パティ・オースティン Jon Secada/Patti Austin》 ［レナード・バーンスタイン］
- ミラグロ 奇跡の地 MILAGRO BEANFIELD WARS (1988) 〜『Suite From The Milagro Beanfield War』 ［デイブ・グルーシン］
- ウエスト・サイド物語 WEST SIDE STORY (1961) 〜『Maria』《ジョン・セカダ Jon Secada》 ［レナード・バーンスタイン］
- ウエスト・サイド物語 WEST SIDE STORY (1961) 〜『I Feel Pretty』 ［レナード・バーンスタイン］
- ティファニーで朝食を BREAKFAST AT TIFFANY'S (1961) 〜『Moon River』《モニカ・マンシーニ Monica Mancini》 ［ヘンリー・マンシーニ］
- ピーター・ガン PETER GUNN (1958) 〜『PETER GUNN』《ゲイリー・バートン Gary Burton》 ［ヘンリー・マンシーニ］ 【ひ】
- ザ・ファーム 法律事務所 THE FIRM (1993) 〜『Memphis Stomp』《デイブ・グルーシン》 ［デイブ・グルーシン］ 【ひ】
【個人的収録曲ヒット率】 （対象外）
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ガガーリン 世界を変えた１０８分 GAGARIN. PERVYY V KOSMOSE (2013) aka: GAGARIN: FIRST IN SPACE
音楽：ジョージ・カリス
監督・共同脚本：パヴェル・パルホメンコ
出演：ヤロスラフ・ザルニン、ミハイル・フィリポフ、オルガ・イヴァノヴァ、ナジェジダ・マルキナ、ヴィクトル・プロスクーリン、セルゲイ・カラシニコフ
CD／2013／MOVIESCORE MEDIA／MMS-13007／MOVIESCORE MEDIA／\----／\1,200［輸入盤中古］
人類初の有人軌道宇宙飛行を成し遂げたソ連の宇宙飛行士、ユーリ・ガガーリン（ザルニン演）のロシア製伝記映画。 この偉業の映像化は、ドキュメンタリー映画は大昔にあったようですが、劇映画としては初めてのようです。
地球というゆりかごの中に
人類がとどまることはないだろう
（オープニングのテロップ。「宇宙旅行の父」と呼ばれる
ソ連の物理学者、コンスタンチン・ツィオルコフスキーの言葉）
ボストーク１号がリフト・オフしてから、ガガーリンが地球にパラシュート降下で帰還するまでの１０８分の間に、ガガーリンの幼少時代、家族・結婚などプライベート、宇宙飛行士候補生時代、訓練風景、ボストークの開発エピソード等を回想として適宜挿入するオーソドックスな構成。 いたずらにハッタリかまして盛り上げることなく、かと言って淡々というほどパッションがないわけでもなく、理性的にガガーリンの人となりやボストーク開発を描いています。
イデオロギーとかそういう視点はなく、 「アポロ１３」 と同じく、あくまで宇宙開発物語であり、偉業の物語。 ヘタなハリウッド映画だと候補生どうしの足の引っ張り合いとか盛り込みそうですが、登場人物みなさんいたって冷静で、ひとつの目標に向かって突き進む善い人たちです。 ガガーリンさんて生来の人たらしの人好きする人だったそうで、そういう人物には（事実でも創作でも）似合わないしね。
バズ・オルドリンと同じ「二番目の男」、最終候補に残りながら落選し、ボストーク２号で２５時間の宇宙滞在をしたゲルマン・チトフとの関係をもっと膨らます手もあったかもしれんが、それだと 「ライトスタッフ」 になっちゃうし、焦点がボケる。 3000名→20名→6名→2名と絞られていったパイロット候補たちの苦闘や、落選者たちのユーリに対する期待と友情は、断片的ではありますが十分伝わりました。
ハッピーエンドがわかっている話ではあるけれど、芝居がかった無駄な盛り上げがない分、事実の重みが感じられる良作だと思います。 その最も大きな要因が、渋い役者陣。 俺、ロシアの役者さんは全く知らないのですが、いずれも彫りの深い、味のあるフェイスであり表情です。 年齢を無視して６０〜７０年代の英米の役者に例えるとすれば、頑固一徹ブルドッグ顔のコロリョフ設計技師長（フィリポフ）はジョージ・Ｃ・スコット、プロジェクト責任者の将軍はロッド・スタイガーかＥ・Ｇ・マーシャル、地上班の指揮官はベン・ギャザラ、プロジェクトの重圧で胃痛に苦しむスタッフはブルース・ダーンかハリー・ディーン・スタントンといったところ。 少しユーモラスに描かれている書記長フルシチョフはキャロル・オコンナーか。 ネッド・ビーティだと怒られそう。
ガガーリン？ ティモシー・ボトムズあたりでいいんじゃない？←テキトー。 こうしてみると、やっぱり宇宙開発映画のキモ、裏方だが主役は「地上」にありだと思うのですよ。
作戦中に昇進したガガーリン「少佐」が、中尉である自分の息子と思わず、最後に事実を知ってニンマリする大工の父親（プロスクーリン演）が、存在感と表情が激烈にシブい。 イメージは、リチャード・ウィドマークで。 ロシアの爺い役者って良いなあ、みんな。
ちなみにユーリ・ガガーリンは、ソ連の広告塔として大事にされる一方、それが故に熱望していた宇宙飛行士復帰は危険を理由にかなわず。 それなのに３４歳で飛行機事故で早逝しています。 最終階級は大佐。 「二番目の男」チトフは、最終階級大将で退役、後にロシア議会の議員になって、６５歳で没しています。
地球というゆりかごの中に
人類がとどまることはないだろう
（オープニングのテロップ。「宇宙旅行の父」と呼ばれる
ソ連の物理学者、コンスタンチン・ツィオルコフスキーの言葉）
ボストーク１号がリフト・オフしてから、ガガーリンが地球にパラシュート降下で帰還するまでの１０８分の間に、ガガーリンの幼少時代、家族・結婚などプライベート、宇宙飛行士候補生時代、訓練風景、ボストークの開発エピソード等を回想として適宜挿入するオーソドックスな構成。 いたずらにハッタリかまして盛り上げることなく、かと言って淡々というほどパッションがないわけでもなく、理性的にガガーリンの人となりやボストーク開発を描いています。
イデオロギーとかそういう視点はなく、 「アポロ１３」 と同じく、あくまで宇宙開発物語であり、偉業の物語。 ヘタなハリウッド映画だと候補生どうしの足の引っ張り合いとか盛り込みそうですが、登場人物みなさんいたって冷静で、ひとつの目標に向かって突き進む善い人たちです。 ガガーリンさんて生来の人たらしの人好きする人だったそうで、そういう人物には（事実でも創作でも）似合わないしね。
バズ・オルドリンと同じ「二番目の男」、最終候補に残りながら落選し、ボストーク２号で２５時間の宇宙滞在をしたゲルマン・チトフとの関係をもっと膨らます手もあったかもしれんが、それだと 「ライトスタッフ」 になっちゃうし、焦点がボケる。 3000名→20名→6名→2名と絞られていったパイロット候補たちの苦闘や、落選者たちのユーリに対する期待と友情は、断片的ではありますが十分伝わりました。
ハッピーエンドがわかっている話ではあるけれど、芝居がかった無駄な盛り上げがない分、事実の重みが感じられる良作だと思います。 その最も大きな要因が、渋い役者陣。 俺、ロシアの役者さんは全く知らないのですが、いずれも彫りの深い、味のあるフェイスであり表情です。 年齢を無視して６０〜７０年代の英米の役者に例えるとすれば、頑固一徹ブルドッグ顔のコロリョフ設計技師長（フィリポフ）はジョージ・Ｃ・スコット、プロジェクト責任者の将軍はロッド・スタイガーかＥ・Ｇ・マーシャル、地上班の指揮官はベン・ギャザラ、プロジェクトの重圧で胃痛に苦しむスタッフはブルース・ダーンかハリー・ディーン・スタントンといったところ。 少しユーモラスに描かれている書記長フルシチョフはキャロル・オコンナーか。 ネッド・ビーティだと怒られそう。
ガガーリン？ ティモシー・ボトムズあたりでいいんじゃない？←テキトー。 こうしてみると、やっぱり宇宙開発映画のキモ、裏方だが主役は「地上」にありだと思うのですよ。
作戦中に昇進したガガーリン「少佐」が、中尉である自分の息子と思わず、最後に事実を知ってニンマリする大工の父親（プロスクーリン演）が、存在感と表情が激烈にシブい。 イメージは、リチャード・ウィドマークで。 ロシアの爺い役者って良いなあ、みんな。
ちなみにユーリ・ガガーリンは、ソ連の広告塔として大事にされる一方、それが故に熱望していた宇宙飛行士復帰は危険を理由にかなわず。 それなのに３４歳で飛行機事故で早逝しています。 最終階級は大佐。 「二番目の男」チトフは、最終階級大将で退役、後にロシア議会の議員になって、６５歳で没しています。
［音楽とサントラ］
音楽はジョージ・カリス。 1974年キプロス島出身、ロサンゼルスをベースに活動する音楽家で、純ロシア映画の本作に起用された経緯は不明。 劇場映画では2006年の戦争映画「レジスタンス」"JOY DIVISION" が最初。 フィルモグラフィには、伝奇ＳＦアクションの名作「ハイランダー」シリーズの続編のテレビドラマのそのまた続編のテレビムービー「ハイランダー ネクスト」や、NETFLIX の「アフター」シリーズ等があります。
こういう映画ですから、ストリングスがバックでリズムを刻むジマー・スタイル。 つうかシマー流というより、もはや現代映画音楽における「荘厳」を表現する定番となってしまいましたね。 私はカリスを聴くのは初めてなのですが、平凡というのは言い過ぎだとしたら、手堅く、オーソドックスにまとまっています。 管楽器メインの情愛の描写も歌い過ぎない奥ゆかしさ。
でもボストーク１号や、その発射シーンは流石に盛り上がりますね。 随所にロシア音楽のフレーズを混ぜ込んでくるのも独自性があって良し。 エンド・クレジットでは、ロシア的コーラスを織り込みつつ、ハリウッド映画的荘重な雰囲気で綺麗に締めくくってくれます。 ２１曲４９分収録です。 (2025/10/04：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 57%（21曲中12曲）
こういう映画ですから、ストリングスがバックでリズムを刻むジマー・スタイル。 つうかシマー流というより、もはや現代映画音楽における「荘厳」を表現する定番となってしまいましたね。 私はカリスを聴くのは初めてなのですが、平凡というのは言い過ぎだとしたら、手堅く、オーソドックスにまとまっています。 管楽器メインの情愛の描写も歌い過ぎない奥ゆかしさ。
でもボストーク１号や、その発射シーンは流石に盛り上がりますね。 随所にロシア音楽のフレーズを混ぜ込んでくるのも独自性があって良し。 エンド・クレジットでは、ロシア的コーラスを織り込みつつ、ハリウッド映画的荘重な雰囲気で綺麗に締めくくってくれます。 ２１曲４９分収録です。 (2025/10/04：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 57%（21曲中12曲）
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ドリーム［スコア盤］ HIDDEN FIGURES - Original Score (2016)
音楽：ハンス・ジマー、ファレル・ウィリアムズ、ベンジャミン・ウォールフィッシュ
監督：セオドア・メルフィ／原作：マーゴット・リー・シェタリー「ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち」
出演：タラジ・Ｐ・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケヴィン・コスナー、キルステン・ダンスト、ジム・パーソンズ、マハーシャラ・アリ
DL(MP3)／2016／COLUMBIA RECORDS(SONY MUSIC)／----／COLUMBIA RECORDS／\----／\2,500
ドリーム［コンピレーション盤］ HIDDEN FIGURES - The Album (2016)
作曲・歌：ファレル・ウィリアムズほか
CD／2016／COLUMBIA RECORDS(SONY MUSIC)／88985390592／COLUMBIA RECORDS／\----／\871［輸入盤中古］
ＮＡＳＡ初の黒人女性の天才数学者キャサリン（ヘンソン）、ＮＡＳＡ初の黒人女性管理職ドロシー（スペンサー）、ＮＡＳＡ初の黒人女性宇宙船技術者メアリー（モネイ）、黒人差別、女性差別にめげず、アメリカの宇宙計画を縁の下で支えた「陰の立役者」（原題）の３人を描いた、実話に基づくヒューマン・ストーリー。
ごく普通に感動的です。 つうかもう、実話という時点で感動が約束されたようなもの。 シングルマザー生活や夫とのいさかい、それぞれのバックストーリーを絡ませながら、邦画のようにそっちが焦点と間違えないのが良いところ。 それはあくまでバックストーリーなんですね。 その辺の微妙な手綱さばきは慣れたものです。
描かれているのは主に、アポロ計画の前の有人宇宙飛行士を軌道上に送るマーキューリー計画なのですが、それを描いた 「ライトスタッフ」 の、それこそバックストーリーです。 白人男性だけじゃなく女性からも差別にあい、黒人女性の計算手（Colored Computers）は隔離された部屋に置かれ、ＩＢＭの Computer 導入により失業の危機。 しかしドロシーの機転で全員が自主学習、プログラマへの職種転換を果たすとか、黒人女性「にも」あいそが良いマーキュリーセブンの宇宙飛行士ジョン・グレンが、キャサリンの計算結果がなければ飛べないと言い出すとか、エピソードには事欠きません。 100分の映画に綺麗にまとめ、結末はやっぱり涙ぐんじゃったよ。 しかし流石ジョン・グレン、後に上院議員になるだけのことはある。
ただね、調べて知ったのですが、マーキュリー計画の時は既にドロシーは管理職だったし、有色人種専用トイレなんて既になかったそうな。 ちょっとシラけてしまうのですが、まあ映画で描いた時期の前後には同じことがあったんだろうし、そういうエピソードを適宜挿入したんでしょうね。 原作者も「それはそれでヨシ！」と言ってたらしいですし。
ちなみに有色人種専用トイレをぶち壊すのは、マーキュリー計画本部長コスナー。 別に差別撤廃論者でも黒人の味方でもなく、「計画の成功のためにゃ白も黒も関係あるかー！」って人で、なかなかの好演でした。 キルステン・ダンストは「ナチュラルに差別する」側の白人女性で、ちょっと可哀そうな役柄でありました。
しかし、それにしてもひでえ邦題だね。 元々は「ドリーム アポロ計画を支えた〇△」ってタイトルでしたが、アポロ描かれてないじゃんという多数のツッコミにあって、うるさいわー！って言ったかどうか知らんが「ドリーム」だけになったとか。 逆ギレかよおい。
原題を直訳すると「隠れた人物」だけど、FIGURES には「数字」という意味もあって、最初から最後まで登場人物が計算しつづけてる内容とのダブルミーニングになってるそうです。
ごく普通に感動的です。 つうかもう、実話という時点で感動が約束されたようなもの。 シングルマザー生活や夫とのいさかい、それぞれのバックストーリーを絡ませながら、邦画のようにそっちが焦点と間違えないのが良いところ。 それはあくまでバックストーリーなんですね。 その辺の微妙な手綱さばきは慣れたものです。
描かれているのは主に、アポロ計画の前の有人宇宙飛行士を軌道上に送るマーキューリー計画なのですが、それを描いた 「ライトスタッフ」 の、それこそバックストーリーです。 白人男性だけじゃなく女性からも差別にあい、黒人女性の計算手（Colored Computers）は隔離された部屋に置かれ、ＩＢＭの Computer 導入により失業の危機。 しかしドロシーの機転で全員が自主学習、プログラマへの職種転換を果たすとか、黒人女性「にも」あいそが良いマーキュリーセブンの宇宙飛行士ジョン・グレンが、キャサリンの計算結果がなければ飛べないと言い出すとか、エピソードには事欠きません。 100分の映画に綺麗にまとめ、結末はやっぱり涙ぐんじゃったよ。 しかし流石ジョン・グレン、後に上院議員になるだけのことはある。
ただね、調べて知ったのですが、マーキュリー計画の時は既にドロシーは管理職だったし、有色人種専用トイレなんて既になかったそうな。 ちょっとシラけてしまうのですが、まあ映画で描いた時期の前後には同じことがあったんだろうし、そういうエピソードを適宜挿入したんでしょうね。 原作者も「それはそれでヨシ！」と言ってたらしいですし。
ちなみに有色人種専用トイレをぶち壊すのは、マーキュリー計画本部長コスナー。 別に差別撤廃論者でも黒人の味方でもなく、「計画の成功のためにゃ白も黒も関係あるかー！」って人で、なかなかの好演でした。 キルステン・ダンストは「ナチュラルに差別する」側の白人女性で、ちょっと可哀そうな役柄でありました。
しかし、それにしてもひでえ邦題だね。 元々は「ドリーム アポロ計画を支えた〇△」ってタイトルでしたが、アポロ描かれてないじゃんという多数のツッコミにあって、うるさいわー！って言ったかどうか知らんが「ドリーム」だけになったとか。 逆ギレかよおい。
原題を直訳すると「隠れた人物」だけど、FIGURES には「数字」という意味もあって、最初から最後まで登場人物が計算しつづけてる内容とのダブルミーニングになってるそうです。
［音楽とサントラ］
音楽はハンス・ジマー、ファレル・ウィリアムズ、ベンジャミン・ウォールフィッシュの共作。 アンビエントとジャズの狭間を突くような楽曲群で、
下の「ザ・ムーン」
と同じく、「宇宙冒険挑戦」的な派手なスコアはなく、静かなヒューマン映画らしいスコア。 巨匠ハービー・ハンコックを招いたピアノは、ウインダムヒルかヴァンゲリスのような肌合い。 マーキュリー計画の宇宙船「フレンドシップ７」のリフト・オフのシーンも、静かに喜びを表す「ザ・ムーン」と同じ導入。 後半は盛り上がりますけど。 まあ、こういう風になるよな、今どきのノンフィクション映画だと。
そんな中で、黒人計算技師たちが勇躍、ＩＢＭコンピュータ室に配属のため行進してくるユーモラスな楽曲も。 マーチなんですが、デイブ・ブルーベックの名曲「テイク・ファイブ」を彷彿とさせる曲です。 ここぞ！という曲がないのは最近のジマーらしいのですが、なぜかこれはけっこう楽しめる２６曲５０分でした。
もう１枚のボーカル・コンピレーション盤は、この当時の昔の曲を集めたんだろうなと思ったら、人気シンガー、ファレル・ウィリアムズがほとんど作曲にクレジットされていて、本作オリジナルの歌曲らしいです。 少なくとも昔の曲ではなさげ。 実は差別を扱った映画と言えどいたずらに深刻にならず、３人の女性の不屈のしたたかさを軽々と描いています。 そのライトな雰囲気を演出するのがこちらの歌曲群なのでした。 ハードロックが混じるとかそういうことはなく、雰囲気は６０年代、でも間違いなく新しい。 こっちはこっちで良い、１０曲３４分でした。 (2025/10/04：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 ［スコア盤］58%（26曲中15曲）
そんな中で、黒人計算技師たちが勇躍、ＩＢＭコンピュータ室に配属のため行進してくるユーモラスな楽曲も。 マーチなんですが、デイブ・ブルーベックの名曲「テイク・ファイブ」を彷彿とさせる曲です。 ここぞ！という曲がないのは最近のジマーらしいのですが、なぜかこれはけっこう楽しめる２６曲５０分でした。
もう１枚のボーカル・コンピレーション盤は、この当時の昔の曲を集めたんだろうなと思ったら、人気シンガー、ファレル・ウィリアムズがほとんど作曲にクレジットされていて、本作オリジナルの歌曲らしいです。 少なくとも昔の曲ではなさげ。 実は差別を扱った映画と言えどいたずらに深刻にならず、３人の女性の不屈のしたたかさを軽々と描いています。 そのライトな雰囲気を演出するのがこちらの歌曲群なのでした。 ハードロックが混じるとかそういうことはなく、雰囲気は６０年代、でも間違いなく新しい。 こっちはこっちで良い、１０曲３４分でした。 (2025/10/04：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 ［スコア盤］58%（26曲中15曲）
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ザ・ムーン IN THE SHADOW OF THE MOON (2007)
音楽：フィリップ・シェパード
監督：デヴィッド・シントン
出演（インタビュイー）： （アポロ8号/13号）ジム・ラヴェル、 （9号/15号）デイヴ・スコット、（10号/16号）ジョン・ヤング、 （10号/17号）ジーン・サーナン、（11号）バズ・オルドリン、マイク・コリンズ （12号）アラン・ビーン、 （14号）エドガー・ミッチェル、 （16号）チャーリー・デューク、 （17号）ハリソン・シュミット
CD／2007／デラ／DLDH-1832／LAKESHOP RECORDS／\----／\400［中古］
「ザ・ムーン」と聞くと、ジョージ秋山の陰惨なマンガを真っ先に思い浮かべる還暦の私ですが、どっこいこれは宇宙計画ドキュメンタリー。
上の映画はソ連のボストーク計画
ですが、こちらはアメリカのアポロ計画。 ただし制作国はイギリスです。 原題は "IN THE SHADOW OF THE MOON"（月の影の中で）。
これは、出演して証言したアポロ・パイロットの一人の言葉、「そこへ着くまで月は見えなかった。月の存在は感じるがその姿は見えない。ふいに闇に包まれた。我々は月の影にいたんだ」"We were in the shadows of the moon" から取られたものでしょう。 もちろん、月面探査計画のバックストーリーという意味もあると思います。
ちなみに同年に、同名のノンフィクションがイギリスで出版されていますが、本作とはまったく関係ないそうです。
1968〜1972年に
９つのアメリカの宇宙船が月に行った
ごく普通の人々が別の世界を訪れたのだ
これは彼ら自身が語った
月へ行った男たちの物語である
（本編開始直後のテロップ）
計画中の殉職パイロット８名、月に到達した者２４名、うち月面を歩いた者１２名。 そのうち１０名がインタビュイーとして出演。 特徴的なのはナレーションがいっさいなく（説明は字幕テロップのみ）、作中の音声は記録映像内の音声と、インタビューを受けたパイロットたちの音声しかない。 なかなか渋い構成。
映像も、ＮＡＳＡに冷却保存されていた蔵出し映像をリマスターしたものと、パイロットたちのインタビュー映像だけ（ただしエンディングに「現代地球の日常」的新撮映像はあり）。 このパイロットたちの顔つきが、これまた渋いのよ。 全員、役者にしてもいいぐらい（ バズ・オルドリンはちょっとやってる けど）。
淡々とアポロ計画を描いていくんですが、パイロットたちの話の面白さ、珍しさもあいまってかなりの迫力。 ただ、どうしたって、初の月面着陸を成し遂げた１１号、奇跡の生還を果たし 大ヒットした劇映画にもなった１３号 が中心にはなっちゃう。 ８〜１０号や１４号以降（１７号まで）の話も、もっと見たかったですね。 各号機に乗ったパイロットたちの体験談は、１１号が行って帰るまでの間に、その行程に応じて適宜挿入されはするのですが。
ともあれ、描かれた事実の物凄さに圧倒されるし、それを先述の渋い構成で見事に描いてます。 なんかなあ、「成し遂げた人たち」って単純に凄いよね。 １１号月面着陸のテレビ中継がおぼろに記憶のある俺はそろそろ終活を考える歳だけど、これから社会に出ていく若い人に見せたいと思うよ単純に。
セルＤＶＤには特典映像として、本編から泣く泣くカットしたとおぼしきパイロットたちのインタビューが。 これが１時間もあるから、もうひとつの本編と言っても過言ではありません。 １２号の搭乗者で人類で４番目に月面を歩いたアラン・ビーンが、写真でも言葉でもなく自分の心の中を伝えたいと、絵で宇宙計画の模様や飛行士たちを描いているのは感動的（いやぜんぶ感動はしてるのですが）。 本編のエンディングに持っていくかどうかメッチャ悩んだと思うよ監督は。 これから見る方は中古でいいから、特典付きＤＶＤをオススメします（俺が持ってるのは右写真のＤＶＤ）。
しかし、ガイジンさんってジョーク好きよね。 「俺、時速１７キロでローバー（月面探索車）の速度記録持ってるよ」、「対向車がいなくて良かったよ」 ＜月面到達の１２人だけが言えるギャグ笑った。
これは、出演して証言したアポロ・パイロットの一人の言葉、「そこへ着くまで月は見えなかった。月の存在は感じるがその姿は見えない。ふいに闇に包まれた。我々は月の影にいたんだ」"We were in the shadows of the moon" から取られたものでしょう。 もちろん、月面探査計画のバックストーリーという意味もあると思います。
ちなみに同年に、同名のノンフィクションがイギリスで出版されていますが、本作とはまったく関係ないそうです。
1968〜1972年に
９つのアメリカの宇宙船が月に行った
ごく普通の人々が別の世界を訪れたのだ
これは彼ら自身が語った
月へ行った男たちの物語である
（本編開始直後のテロップ）
計画中の殉職パイロット８名、月に到達した者２４名、うち月面を歩いた者１２名。 そのうち１０名がインタビュイーとして出演。 特徴的なのはナレーションがいっさいなく（説明は字幕テロップのみ）、作中の音声は記録映像内の音声と、インタビューを受けたパイロットたちの音声しかない。 なかなか渋い構成。
映像も、ＮＡＳＡに冷却保存されていた蔵出し映像をリマスターしたものと、パイロットたちのインタビュー映像だけ（ただしエンディングに「現代地球の日常」的新撮映像はあり）。 このパイロットたちの顔つきが、これまた渋いのよ。 全員、役者にしてもいいぐらい（ バズ・オルドリンはちょっとやってる けど）。
淡々とアポロ計画を描いていくんですが、パイロットたちの話の面白さ、珍しさもあいまってかなりの迫力。 ただ、どうしたって、初の月面着陸を成し遂げた１１号、奇跡の生還を果たし 大ヒットした劇映画にもなった１３号 が中心にはなっちゃう。 ８〜１０号や１４号以降（１７号まで）の話も、もっと見たかったですね。 各号機に乗ったパイロットたちの体験談は、１１号が行って帰るまでの間に、その行程に応じて適宜挿入されはするのですが。
ともあれ、描かれた事実の物凄さに圧倒されるし、それを先述の渋い構成で見事に描いてます。 なんかなあ、「成し遂げた人たち」って単純に凄いよね。 １１号月面着陸のテレビ中継がおぼろに記憶のある俺はそろそろ終活を考える歳だけど、これから社会に出ていく若い人に見せたいと思うよ単純に。
セルＤＶＤには特典映像として、本編から泣く泣くカットしたとおぼしきパイロットたちのインタビューが。 これが１時間もあるから、もうひとつの本編と言っても過言ではありません。 １２号の搭乗者で人類で４番目に月面を歩いたアラン・ビーンが、写真でも言葉でもなく自分の心の中を伝えたいと、絵で宇宙計画の模様や飛行士たちを描いているのは感動的（いやぜんぶ感動はしてるのですが）。 本編のエンディングに持っていくかどうかメッチャ悩んだと思うよ監督は。 これから見る方は中古でいいから、特典付きＤＶＤをオススメします（俺が持ってるのは右写真のＤＶＤ）。
しかし、ガイジンさんってジョーク好きよね。 「俺、時速１７キロでローバー（月面探索車）の速度記録持ってるよ」、「対向車がいなくて良かったよ」 ＜月面到達の１２人だけが言えるギャグ笑った。
［音楽とサントラ］
音楽はフィリップ・シェパード。 名前のイメージから、アンビエント系かウィンダムヒルの人かと勝手に思ってましたが、1969年生まれの、イギリスのクラシック畑の人でした。 絶対音感を持っていて、「音楽が見える」と語る天才肌の御仁です。 映像音楽ではドキュメンタリー作品が多く、普段は大学でチェロも教えているとか。
ＢＭＧのライブラリ音源に残していたスコアが、予告編用音楽を探していたスタッフの耳にとまり、今回の起用につながりました。 最初は宇宙開発ドキュメンタリーということでダイナミックなシンフォニック・スコアを考えたそうですが、いやこれは「フロンティア」（開拓）の物語だと思いなおし、抑えた曲調に変更。 メロディのキモをフロンティア・スピリット溢れるアメリカ中西部に求め、そのイメージで作曲したそうな。
そこで出来上がったのが、数十の弦楽器を並べ、ピアノと若干の打楽器、コーラスと電子音がからむ、ほぼホーンレスのオーケストラル・スコア。 ストリングスも「あえてビブラートを抑えた素朴な」演奏にしたそうです。 結果的にアンビエント系とまでは言わないまでも、パイロットたちやグランド・スタッフの奮闘を讃える、静謐かつ誠実なスコアとなっています。
興味深いのがアポロ１１号リフト・オフのシーン。 鍵盤打楽器マリンバの密やかな導入からシームレスにつながるストリングスで、抑えた曲調のまま、発射管から噴き出す紅蓮の火炎を彩ります。 いやーセンスええわ。
でもアルバムを通しで聴くと、悪くはないのですが、同じリズム、同じメロディをリフレインするミニマルすれすれの曲が多いので、いまひとつ起伏に乏しいというのが個人的感想。 この辺は好みかな。 エンドタイトルでは、マリンバ、コーラス、タイコにストリングス、そしてここぞとばかりホーンが参加して、フルオケで大いに盛り上げてくれましたが。 ２４曲５６分収録です。 (2025/10/04：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 50%（24曲中12曲）
ＢＭＧのライブラリ音源に残していたスコアが、予告編用音楽を探していたスタッフの耳にとまり、今回の起用につながりました。 最初は宇宙開発ドキュメンタリーということでダイナミックなシンフォニック・スコアを考えたそうですが、いやこれは「フロンティア」（開拓）の物語だと思いなおし、抑えた曲調に変更。 メロディのキモをフロンティア・スピリット溢れるアメリカ中西部に求め、そのイメージで作曲したそうな。
そこで出来上がったのが、数十の弦楽器を並べ、ピアノと若干の打楽器、コーラスと電子音がからむ、ほぼホーンレスのオーケストラル・スコア。 ストリングスも「あえてビブラートを抑えた素朴な」演奏にしたそうです。 結果的にアンビエント系とまでは言わないまでも、パイロットたちやグランド・スタッフの奮闘を讃える、静謐かつ誠実なスコアとなっています。
興味深いのがアポロ１１号リフト・オフのシーン。 鍵盤打楽器マリンバの密やかな導入からシームレスにつながるストリングスで、抑えた曲調のまま、発射管から噴き出す紅蓮の火炎を彩ります。 いやーセンスええわ。
でもアルバムを通しで聴くと、悪くはないのですが、同じリズム、同じメロディをリフレインするミニマルすれすれの曲が多いので、いまひとつ起伏に乏しいというのが個人的感想。 この辺は好みかな。 エンドタイトルでは、マリンバ、コーラス、タイコにストリングス、そしてここぞとばかりホーンが参加して、フルオケで大いに盛り上げてくれましたが。 ２４曲５６分収録です。 (2025/10/04：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 50%（24曲中12曲）
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ＮＨＫスペシャル 銀河宇宙オデッセイ A GALACTIC ODYSSEY (1990)
音楽：ＨＡＲＵ（ハル＝高内春彦）
制作：ＮＨＫ
出演：グレゴリー・ベンフォード（声：日下武史）、（ドラマパート→）リタ・ゾハール、ウィリアム・ヘイズ、キャスリン・マッキー、ステイシー・エリオット、フィッツ・ヒューストン、別所哲也、長山藍子（声）
CD／1990／東芝EMI／TOCP-6254／東芝EMI／\3,000／\500［中古］
前年の
「驚異の小宇宙 人体」
につづき、ＣＧをフル活用かつ当時の最新鋭ハイビジョンカメラを駆使して撮影した天体映像を使って製作された1990年放映のＮＨＫスペシャル。 地球を飛び立った宇宙船ヘリオス号（同名の衛星等はあるが架空の宇宙船）が出会うさまざまな天文現象を逐次解説していきます。 1990年下半期に、総集編を含む全１１回の放送。 ＶＨＳ化、ＬＤ化はされましたがＤＶＤ以降は未発売だそうです。
［音楽とサントラ］
とは言っても、実は私は上記の番組のサントラだから買ったわけではなく、中古屋のワゴンセールで「あー。スペーシーなジャケットだー。どんなだろー」とアホのような姿勢で買ったものでありました。 買った後ブックレット読んでから、そういや「銀河宇宙オデッセイ」何回か見たわ、と思い出した次第。
音楽は高内春彦。 この当時はニューヨークをベースに活動していたジャズ・ギタリスト。 松坂慶子の旦那さんです。 今は日本にいる模様。
で、この音楽が、オープニングとクロージングこそ、Ｎスペの宇宙特集らしいフルシンセサイザーのスペーシーな曲ですが、それに挟まれた楽曲群はゴリっとしたスムース・ジャズ。 シンサイザーもかなり使って宇宙っぽさ(？)を演出してはいるものの、基本のイディオムはジャズで、夢幻的なギター、ハーフテンポのギターとキーボードのユニゾン、さらにテーマとなるモチーフのバリエーションに参加してくるフリーなサックスと、ごく普通にジャズです。
このサックスがまた、巨匠ウェイン・ショーターだから驚く。 高内氏はショーターにオファーする時に「Ｍ７８星雲から来た宇宙人だが、前世の前世で友人だったあなたにぜひ再会したい」と、若さ溢れる痛い手紙を書いたそうですが（当時ハルさん３０代）、オファーを受けたショーター、会った時に「１万年ぶりだな」と返してくれたという。 つうかウェイン・ショーター、ウルトラマン知ってたんかい？
綺麗に決まってるテーマの演奏にアドリブ吹いて飛び込んでくるだけじゃなく、最初から最後までフリー・ジャズ・セッションみたいな曲もあって、なかなか冒険しよるなあＮＨＫ、宇宙にジャズとは。 いや、良いことですよ。 ドラムに、パット・メセニーやゲイリー・バートンのグループにいたダニー・ゴットリーブの名前も見えます。
宇宙映画特集ということでン十年ぶりに聴き返したんですが、良いじゃんこれ。 もっと聴いときゃ良かったと思った９曲５１分でした。
パーソネル： 高内春彦（el-g, synth）、ロブ・シュウィマー（p, synth）、ジェフ・アンドリュース（el-b）、大根田恒二（ac-b）、アート・タンクボヤッチ（perc, vocal）、ダニー・ゴットリーブ（ds）、（ゲスト・プレーヤー）ウェイン・ショーター（s-sax, t-sax） (2025/10/04：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 78%（9曲中7曲）
音楽は高内春彦。 この当時はニューヨークをベースに活動していたジャズ・ギタリスト。 松坂慶子の旦那さんです。 今は日本にいる模様。
で、この音楽が、オープニングとクロージングこそ、Ｎスペの宇宙特集らしいフルシンセサイザーのスペーシーな曲ですが、それに挟まれた楽曲群はゴリっとしたスムース・ジャズ。 シンサイザーもかなり使って宇宙っぽさ(？)を演出してはいるものの、基本のイディオムはジャズで、夢幻的なギター、ハーフテンポのギターとキーボードのユニゾン、さらにテーマとなるモチーフのバリエーションに参加してくるフリーなサックスと、ごく普通にジャズです。
このサックスがまた、巨匠ウェイン・ショーターだから驚く。 高内氏はショーターにオファーする時に「Ｍ７８星雲から来た宇宙人だが、前世の前世で友人だったあなたにぜひ再会したい」と、若さ溢れる痛い手紙を書いたそうですが（当時ハルさん３０代）、オファーを受けたショーター、会った時に「１万年ぶりだな」と返してくれたという。 つうかウェイン・ショーター、ウルトラマン知ってたんかい？
綺麗に決まってるテーマの演奏にアドリブ吹いて飛び込んでくるだけじゃなく、最初から最後までフリー・ジャズ・セッションみたいな曲もあって、なかなか冒険しよるなあＮＨＫ、宇宙にジャズとは。 いや、良いことですよ。 ドラムに、パット・メセニーやゲイリー・バートンのグループにいたダニー・ゴットリーブの名前も見えます。
宇宙映画特集ということでン十年ぶりに聴き返したんですが、良いじゃんこれ。 もっと聴いときゃ良かったと思った９曲５１分でした。
パーソネル： 高内春彦（el-g, synth）、ロブ・シュウィマー（p, synth）、ジェフ・アンドリュース（el-b）、大根田恒二（ac-b）、アート・タンクボヤッチ（perc, vocal）、ダニー・ゴットリーブ（ds）、（ゲスト・プレーヤー）ウェイン・ショーター（s-sax, t-sax） (2025/10/04：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 78%（9曲中7曲）
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宇宙兄弟 （アニメ）［スコア盤］ (2012)
音楽：渡辺俊幸［３枚組］
制作：読売テレビ、A-1 Pictures／放映：日本テレビ系／監督：渡辺歩／アニメーション制作：A-1 Pictures／原作：小山宙哉「宇宙兄弟」
声の出演：平田広明、KENN、池田昌子、沢城みゆき、大塚明夫、津田健次郎、川原慶久、綾戸智恵、立木文彦、石田太郎、 大塚芳忠
CD／2012／アニプレックス／SVWC7965〜7／アニプレックス／\3,666／\1,760［中古］
宇宙兄弟 コンプリート・ベスト （アニメ）［コンピレーション盤］ (2012)
［ボーカル・コンピレーション盤］
歌：ユニコーン、Raki、アンジェラ・アキ、スキマスイッチ、真心ブラザーズほか
CD／2012／アニプレックス／SVWC-70006／アニプレックス／\3,850／\330［中古］
実写版の映画
はご紹介済みですが、この２枚はアニメのサントラ。 社会現象になった原作コミックスでありアニメなので、今さら作品について触れても仕方ないですね。 つうか、俺、アニメ１秒たりとも見てないのよ。
［音楽とサントラ］
ところがなぜ故サントラ盤を持ってるかというと、３年ほど前、ブックオフ国道1号多摩川大橋店のワゴンセールで投げ売りされているのを見つけたため。 ３３０円で５，６枚並んでました。 在庫がそれだけダブつくってことは、ようけ売れて、そして皆さん手放したってことでしょうね。
まあ値段も値段なのでノールックで購入したら、ホントにノールックもいいところで、スコア盤じゃなくてコンピ盤でした。 いや興味ねえわ。 でも奥田民生（ユニコーン）とかスキマスイッチ、秦基博、アンジェラ・アキ等、俺が知らない人もいるけど当代の名うてのミュージシャンが並んでまして、アニメ関係なしに良いアルバムでした。 スキマスイッチいいよね。
くどいようですが、アニメにまったく興味ないのでスコア盤を買う予定はなかったのですが、ある日ネット動画で、自衛隊音楽隊が演奏する「宇宙兄弟のテーマ」を聴いてしまったのが運のつき。 けっこう良い曲だし、渡辺俊幸なので買っても良いかと思ったのですが、3000円オーバーはちょっとなあ。 と思ってたらブックオフ光が丘店でお手頃価格で見つかるもんだから、天は我に金を使わせようというのかー！と八甲田山のマネをしつつ、サクっと買ってしまったわけです。 俺のコレクションの半分はブックオフで出来ています。 バファリンのマネしてるようですが単なる事実。 …しかし、なんつうどうでも良い話だ。
今回上に並べたノンフィクション映画、 「ガガーリン」 、 「ザ・ムーン」 、 「ドリーム」 のいずれも、本編音楽は静かなアプローチですよね。 特にリフト・オフ（離昇）シーンなんてみなさんハイセンス。 でもね、やっぱりロケットが飛ぶときは派手な音楽ききたいよね。 そういう意味ではアニメ音楽はミッキーマウジングで良い。 『リフト・オフ』はロケットが発射される感じだし、『眼下の地球』も眼下に地球が広がる曲。 『スペースセンター』もなんか建物が見えるし。
ミッキーマウジングって言葉使っちゃったけど、これは別に馬鹿にしているのではなく、アニメはどうしても音楽で説明しなきゃいけない瞬間があるので、こういうアプローチにならざるを得ないと思うのです。 ライブラリ音源として使うだろうしね。
ともあれ、『宇宙兄弟のテーマ』、いいですね。 そら自衛隊音楽隊もレパートリーにするわ。 オケのフロントにエレキギターがいるのはサントラ音楽ならではの楽器編成です。 このモチーフは随所にアレンジされて登場、ロック調に編曲された曲とかもう単純にカッコいい。
さらに多数の映画・映像作品に使われている『ダニーボーイ』なんてのも出てきます。 元は男女の別れの歌らしいのですが、戦地に人を送るために残された家族の歌という解釈が多く、 「メンフィス・ベル」 なんてそういう使われ方です。 本作でも、宇宙に送る人々のテーマでしょうか。
『空飛ぶモジャ』という曲でも引用が。 オマージュなのかジョン・ウィリアムスの 「Ｅ．Ｔ．」 のフレーズが聴かれます。 流石に、"Flying" を引用するほど露骨ではないですが。
というわけで、派手な曲に情愛描写、心理描写、サスペンス曲まで、渡辺さん書きも書いたり８２曲２時間５４分。 聴き応え十分だし、アニメ関係なしに楽しんでます。 (2025/10/04：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 （多すぎなので評価不能）
まあ値段も値段なのでノールックで購入したら、ホントにノールックもいいところで、スコア盤じゃなくてコンピ盤でした。 いや興味ねえわ。 でも奥田民生（ユニコーン）とかスキマスイッチ、秦基博、アンジェラ・アキ等、俺が知らない人もいるけど当代の名うてのミュージシャンが並んでまして、アニメ関係なしに良いアルバムでした。 スキマスイッチいいよね。
くどいようですが、アニメにまったく興味ないのでスコア盤を買う予定はなかったのですが、ある日ネット動画で、自衛隊音楽隊が演奏する「宇宙兄弟のテーマ」を聴いてしまったのが運のつき。 けっこう良い曲だし、渡辺俊幸なので買っても良いかと思ったのですが、3000円オーバーはちょっとなあ。 と思ってたらブックオフ光が丘店でお手頃価格で見つかるもんだから、天は我に金を使わせようというのかー！と八甲田山のマネをしつつ、サクっと買ってしまったわけです。 俺のコレクションの半分はブックオフで出来ています。 バファリンのマネしてるようですが単なる事実。 …しかし、なんつうどうでも良い話だ。
今回上に並べたノンフィクション映画、 「ガガーリン」 、 「ザ・ムーン」 、 「ドリーム」 のいずれも、本編音楽は静かなアプローチですよね。 特にリフト・オフ（離昇）シーンなんてみなさんハイセンス。 でもね、やっぱりロケットが飛ぶときは派手な音楽ききたいよね。 そういう意味ではアニメ音楽はミッキーマウジングで良い。 『リフト・オフ』はロケットが発射される感じだし、『眼下の地球』も眼下に地球が広がる曲。 『スペースセンター』もなんか建物が見えるし。
ミッキーマウジングって言葉使っちゃったけど、これは別に馬鹿にしているのではなく、アニメはどうしても音楽で説明しなきゃいけない瞬間があるので、こういうアプローチにならざるを得ないと思うのです。 ライブラリ音源として使うだろうしね。
ともあれ、『宇宙兄弟のテーマ』、いいですね。 そら自衛隊音楽隊もレパートリーにするわ。 オケのフロントにエレキギターがいるのはサントラ音楽ならではの楽器編成です。 このモチーフは随所にアレンジされて登場、ロック調に編曲された曲とかもう単純にカッコいい。
さらに多数の映画・映像作品に使われている『ダニーボーイ』なんてのも出てきます。 元は男女の別れの歌らしいのですが、戦地に人を送るために残された家族の歌という解釈が多く、 「メンフィス・ベル」 なんてそういう使われ方です。 本作でも、宇宙に送る人々のテーマでしょうか。
『空飛ぶモジャ』という曲でも引用が。 オマージュなのかジョン・ウィリアムスの 「Ｅ．Ｔ．」 のフレーズが聴かれます。 流石に、"Flying" を引用するほど露骨ではないですが。
というわけで、派手な曲に情愛描写、心理描写、サスペンス曲まで、渡辺さん書きも書いたり８２曲２時間５４分。 聴き応え十分だし、アニメ関係なしに楽しんでます。 (2025/10/04：管理人から一言)
【個人的収録曲ヒット率】 （多すぎなので評価不能）
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